という訳で前回納得行ってなかったり、後から何とか形にしよう
そんな理由で詰め込んでなかった部分をみっちりと詰め込んで再スター
前回の記事では殆ど説明してなかった製作工程なんかもある程度紹介します
スカルピーの使い方は今回初めてなんである程度調べましたが、製作に当たってのアプローチは完全に我流なんでメチャクチャ効率が悪いです
作ろうって人の参考になれば良いんですが、あまりそうはならない様な、、。
まずは立ち直る為の足固め、生き残った旧パーツとアニメのOP画像を
比較してそれに準拠したものを作るべく採寸と検討を開始。
イメージ重視で作ってたのを完全に止めて全パーツのサイズと形状も完全に変更、モニタの映像とにらめっこすること一晩
ドリルと言ってもこの頃資料らしい資料も無く、各映像によって形もまちまちで、オフィシャルで配布されてるドリル消しゴムはかなりはしょった作り
となれば一番書き込みが細かくてかつOP冒頭ででっかく登場する
このバージョンが一番奇麗なのでそれに合わせたシャープな形に変更
高校時代に使った製図用の道具で採寸していくんですが
大きさが大きさなんで一ミリ変えると印象が変わってしまいます。
色々迷いながらも自分のさじ加減で最終決定していきました
今でも正直変更が効く部分は後数パターン実際に作って検討したい位正解が見つかってません。
検討が終わったパーツはサッサと製作開始
工作用紙で作った型に型離れを良くする為の離型剤代わりにベビーパウダーをまぶし
小学生の粘土細工よろしくスカルピーを練り込みオーブンで焼く
出来上がったペラペラの板を必要な数量産します
「なんで紙やねん?」と聞かれますがプラスチックで作ると
オーブンに入れた時に熱で溶けるんですよ。
紙だと溶けないし切るの楽だし一石二鳥
気軽に盛り削りできる代わりに直線とか出すの難しいですねコレ。
」
さっきのスカルピーの板(以降スカ板)を溶いたスカで張り合わせしてオーブンで焼き
でもってガイドになる工作用紙と張り合わせ←また紙かよ。
そこに程々に練ったスカをすり込んで、余分をそぎ落とし
こんな工程を繰り返してるうちにツマミというかグリップ部分の形になる不思議
隣で見てるとお菓子の落雁みたいなのをチマチマチマチマ作ってる様で
相当イラ付くらしいです。仕方ないじゃないか、不器用なんだから
確かにプロの原型師さんならヘラ一個渡せば30分で出来るような作業だと思うよ
そんな技術はないけど奇麗に作りたいから無い知恵を絞り手間を掛ける。
それが俺のドリル。
次は台座というかベース部分ですね
発光ギミック仕込む余剰スペースになってたりするが見た目優先の為小型化
しかしユニット自体小型化の余地こそあれど今後どういう形になるか予断を許さないパーツ
調子よく作ってたらうっかり写真取り損ねましたが
工程的には全く一緒なので旧バージョンの写真で説明します
機械工作に明るい人なら旋盤使ってハイ終了なパーツなんですが
モデラーでも無いので普通に考えてそんなもの持ってるハズも無く、又工作用紙に頑張って貰う事にしました。
コンパスカッターで切り出したリングを巻いたコピー用紙に差してテープで固定
そこにさっきと同じくスカをもってそぎ落とし、形が出たらオーブンへGO
コピー用紙を外すと凸凹の裏面が出てくるのでこっちもスカ盛って削ぐ
出来上がったリングにピッタリな底を工作用紙で作って落雁方式で板を作る
それを張り合わせたら落雁の型紙の切れ端にグリップ部分の寸法の穴を書いて切り出し
それをテンプレにして穴の形の溝を針なんかを使ってうっすらと彫る
それをはみ出さない様に注意しながらコツコツ彫っていけば奇麗な穴の完成ですよ。
さてココからが今回の本番のドリルです
上の写真にある検討図面を見れば構造は分かると思いますが
発光ギミックの再現の為にはココの工作で精度を出す事が必須でした。
外同様内部も円錐状に加工してなおかつそこに小型の円錐が入り
それをクリア樹脂で成型して光らせる
透けて見えるって事でそれなりの精度も要求されたりします
前回はコレをどうするか未解決のまま作り始めまして
アイデアはあったものの試すことなくドリル大破というオチが付いてしまいました。
無い知恵を知恵熱出すまで絞った結果
台座部分の工作の発展系で行ってみようという事で
上下を直線で結ぶと求める円錐の角度になるように配置したリングにスカを盛っていきます
同様に内部の円錐ですがコレも空洞の内部に一枚リングを入れてやる事で
後から中にもスカを盛れば円錐を作れるだろうという事で何とか解決
こうやって出来たこの台形パーツに少しずつスカを盛ることで
最終的にニ分割可能なドリル部分を作ってやろうという魂胆です。
空洞の外側と上部に取り付けたリングにそってスカを盛り付けていく
何とか内部を円錐状に加工するのに成功したっぽい瞬間。
外周の形が出ているか不安だったので工作用紙でゲージを製作
尿の工作に工作用紙は欠かせません、在庫切らすと死ぬかも。
形出てたのでそれにそって上半分をバベルの塔の様に盛ったり削ったり
見えないけど内側もガイドに沿うように少しずつ盛ってます
形が出来た所で上下にカパっと分離、それぞれの内部にベビーパウダー塗って
スカルピーを押し付けた奴を焼いて内部の円錐を製作
色々考えたけど中をしっかり作ってるとコレが一番精度出ると分かったので
焼いたスカの余分な部分を切り落として溶いたスカ塗って接着後整形
最大のヤマ場を越えたようで全然越えてなかったりします。
仮組みしてみましたが当然の如く何かが足りない。
螺旋の刻まれていないドリルに螺旋力が宿る訳がありません
やり直し無しの一発勝負スタート。
あらかじめコピー用紙でパターンを検討した後ドリルの表面にスジを彫る
十字に四分割、螺旋の為に縦方向に六分割して製図用のディバイダ(針だけのコンパス)
使って螺旋のピッチを正確にするための目印を少しずつ刻んでいく
縦の六分割の一コマの高さをを十字に合わせてさらに四分割
そしてその間のフォローの為に中間地点で更に分割するので一コマ八分割
コレに曲線でも貼れる京商のミクロラインテープで滑らかなラインを貼っていく
中学生の頃にミニ四駆の塗装なんかで使ったことあるので実に手になじむ
今考えたらあの頃は毎日何か作ってられたら幸せだったなあ。
ラインの微妙なブレを修正する為に違和感を感じたら
その部分の高さを測って納得行くまで修正、何回やり直したか忘れました。
凡人がそれなりのモノを作りたいと思ったらココが力の入れどころ
溝を掘るノミは精密ドライバーのマイナスを研ぎ出して自作
カッターとノミを使い分けて緊張で死にそうになりながら螺旋彫り終了
前回のドリル大破からここまで戻ってくるのに一ヶ月以上掛かりました。
やっと元のラインまで戻ったけれど螺旋になんか違和感を感じる
奇麗に彫れてるんだけど上まで彫りすぎてたり、溝の断面がシャープ過ぎたり
余りその辺カチッとやり過ぎると複製前の表面処理が複雑になり過ぎるのでちょっと検討
スカ盛って半円断面にしましたが違和感あるので思い切って二面で処理したら大成功
仕上げ作業中数年前のWHFのエビス堂さんで購入した「芸人サンダー」の凄さを体感
スピンリューターともどもシンプルながらなんという使いやすさ
螺旋彫りが完了したので仮組みして撮影
前回のドリルと比較したら比較にならないほど精度出てる事に気付く
やっぱり手間かけたらちゃんと帰ってくるものだなと妙に感心してみた。
原型がひとまず落ち着いたので型取りすることにしました
使ったのはボークスの透明シリコン、最後に封開けたの2年前のだけどな
テストショットを取り出してみるとやはりクリア部分の気泡が気になる
キャスト部分も気泡の様なひずみが湯穴に対して垂直に発生している
硬化中に反応熱で膨張した気泡が上に上がっていく時に引きずられるのだろうか?
テストショットだと自分を言い聞かせて表面処理もそこそこに
アルクラッドでクローム調に塗装、下地処理が足りないので輝きは今ひとつ
こちらも試作中の発光ユニット取り付けてイベントに持って行ってお披露目
キャストで抜いたテストショット知り合いに配ったら評判良かった
余りモノのドリルがあったので知り合いに二つ渡す
イベントで頭のツノが妙にドリルっぽいラムを見かけたらそれは尿の仕業です
この後殆ど話を詰めてなかったコミケ話が本決まりになり
机の隅っこに置かせてもらうことになり修羅場を見るとは本人も知らず。
ココから先は色々ありすぎて頭の中で整理が出来てません
理想と時間的現実の狭間でのたうちまわってましたよフハハハハ
レジンの硬化時間が暑さで半減したが十二時間掛かかるので一日二つ抜くのが限度
歩留まりの劣悪さに耐えかねキャスト版も平行して抜きぬき
買い物運の悪さで多分2日くらい棒に振りながら睡眠削って頑張りましたよ
その辺の事はココではどうでもいいのでミクのほうで日記でも書きます
ガレキイベントじゃないんだからって事で急遽完成品の製作に掛かったのが出発一時間半前
600番で表面撫でたらハイ塗装、表面処理も何もあった物じゃありませんよ
食器乾燥機と言う名の乾燥ブースで強制乾燥させこの状態で東京へGO
完成品組み立てたのは有明の駐車場の中でした
で
こんな感じで展示させてもらってました、恐ろしい事に一般入場で納品と言う暴挙
ディスプレイも用意してないのでラガンに持たせて間に合わせの発光ユニットで点滅させてました。
手に取ってくれる人に時間がありませんでしたと言い訳するたびにかなり凹みました
それでも大喜びで受け取ってくれた方々、本当に有り難うございました。
自分が好きで作った物で他の人にも喜んで貰えるってのは素直に嬉かったです。
その後知り合いのメーカー関係の人に製作中の写真見てもらったら
「自分が知ってる限りこんなあたま悪い事をやっている原型師は一人も居ないよ」(褒め言葉)
と言われました、実際本人もあたま悪いと思ってたので最高の褒め言葉ですよ。
プロから見れば失笑してしまうような出来なんでしょうけど今の尿にはコレが精一杯。
型取りの時に原型が少し破損したので補修と型の再設計なんかもやる予定です
とりあえず今は真空瓶と加圧注型の検証中、ではまた。