金正日政権が警戒するも北で市場が盛況

平壌の統一通り市場には三つの建物に駐車場まで

「商品とともに情報も流通、北朝鮮の変化は市場から」

 北朝鮮には全国におよそ300カ所以上の市場が存在し、当局の統制にもかかわらず、非常に活発な商取引が行われていることが分かった。

 国会外交通商統一委員会所属の尹相炫(ユン・サンヒョン)議員(ハンナラ党)は、情報当局などから提出された複数の資料を総合し、その結果を13日に公表した。それによると、平壌を含む北朝鮮各地には常設の総合市場がすでに数多く開設されているという。北朝鮮で市場は「黄色い風」(資本主義的な文化を意味する北朝鮮固有の語)の震源地として、常に警戒の目が向けられている。尹議員は、「北朝鮮の市場は商品の売り買いをする場所であると同時に、情報もやりとりされている。また、市場を敵視する北朝鮮政権にとっては非常に脅威でもある」と述べた。北朝鮮当局は市場の拡大を黙認しているが、それは、住民に必要十分な生活必需品を配給できていない現実の状況を埋め合わせるというのが名目だった。ところが市場は、今や体制そのものを揺るがす要因として認識されるほど、活発な活動が行われているという。

 平壌の統一通りにある中央市場をはじめとして、平安南道平城、江西、黄海北道沙里院、黄海南道山城、平安北道彩霞、咸鏡北道会寧などの市場が北朝鮮では代表的な総合市場として知られている。中でも平壌市楽浪区域で2003年8月にオープンした統一通り市場は、三つの建物に駐車場まで完備されている。同じく平壌市中区域の中央市場は単一のドーム型の建物で、やはり駐車場が完備されている。

 平安南道では2004年にオープンした江西市場と、その翌年にオープンした平城市場がよく知られている。とりわけ平城市場は羅先、新義州、元山地域の物流の拠点でもあり、北朝鮮では最大の卸・小売りの中心となっている。しかし、昨年6月に行われた市場統制での見せしめとして、現在は閉鎖されているという。

 平安北道新義州市彩霞洞にある彩霞市場は、中国からの輸入品が一堂に集まる拠点として知られている。この地を通じて入ってきた中国製品は、北朝鮮の全土に流通しているようだ。咸鏡北道会寧市の豆満江沿いにある会寧市場(国境市場とも呼ばれる)は、金正日(キム・ジョンイル)政権が、財源を確保し、外国商品を統制する目的で設立した市場で、中国商人にも販売が許可されている。黄海北道では沙里院市場、黄海南道ではサンソン市場が総合市場として知られている。沙里院市場では穀物、衣料、食料品などが大量に取引されている。

 金正日政権は市場を掌握するため、2005年10月に穀物流通を禁止し、07年には市場の取り締まり、さらに08年末にも総合市場を農民市場に変えようとするなど、何度も統制を試みたが、あまり効果は挙がらなかったようだ。昨年は貨幣改革と同時に市場内での工業製品の取引禁止、外貨の使用禁止といった措置が取られたが、住民が集団で抗議し、またそれを取り締まる政府関係者が市場の関係者に暴行を加えたことなどから不満が高まり、結局2月に市場の取り締まりはストップしたという。尹議員は、「北朝鮮の変化は市場から始まり、市場でその結果が最初に現れる。そのため、市場の動向には常に注目しておかなければならない」と述べた。

辛殷珍(シン・ウンジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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