日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムの社会ページです。



ここからこのサイトのナビゲーションです

共通メニュー

企画アーカイブズ

QAなう


  1. ニッカンスポーツ・コムホーム
  2. 社会
  3. 国際ニュース

鉱石の「手土産」生還も チリ落盤事故

 【サンパウロ(ブラジル)13日=エリーザ大塚通信員】チリ北部コピアポ郊外のサンホセ鉱山落盤事故で13日午前0時(日本時間同正午)すぎ、1人目が無事に救出され、その後も続々と作業員が元気な姿でカプセルから出て、同正午すぎまでに15人が救出された。ピニェラ大統領は同日中(日本時間14日午前)に作業が終わるだろうと述べた。事故から69日ぶりの地上への生還で、家族と抱き合い、政府関係者から祝福されるなど歓喜に沸いた。中には地底から持ち帰った鉱石を手土産にするパフォーマンスも飛び出した。

 13日午前0時11分、最初の生還者、フロレンシオ・アバロスさん(31)が地上に戻ってきた。救出用カプセル「フェニックス(不死鳥)」がトンネルから浮かび上がった。金網越しに関係者から「コモエスタ(調子はどう?)」と尋ねられ、アバロスさんは「ビエン(元気だ)」としっかりした声で返した。1歩踏み出すと「パパ~」と涙声で叫ぶ息子に抱きつかれ、続いて妻も寄り添ってきた。暗闇の中、拍手と歓声が鳴りやまなかった。

 直径約70センチの狭いトンネルは約620メートル続く。東京スカイツリーの完成時の高さ(634メートル)に匹敵する距離を引き上げられてきた。約15分。用意されたカプセルは長さ約4メートルと約2・5メートルの2種だった。直径はいずれも54センチで、身動きはとれない。13日のトンネルの状態などから短いタイプが使われた。

 作業員らはここ数日、太ってカプセルに入れなくなることがないよう食事制限をしていた。救出隊員が地下に降り、簡単に説明したあと、33人を「緊急事態に対応可能な人物」「心身虚弱」「頑丈」の3グループに分け順に乗せていった。

 アバロスさんは現場副監督で、事故後はカメラを撮影し、地下生活の実情を正確に伝えてきた。今回、最初にカプセルに入ることとなったのは、責任感が強く、異変が発生しても沈着に行動できる人物として、チリ政府から白羽の矢を立てられたからだ。

 2番目に地上に戻ったのは、政府関係者と情報交換をしていた広報担当のマリオ・セプルベダさん(40)だった。アバロスさんの生還から59分後、昇っている最中も「ブラボー」と叫び続け地上に戻った。袋から小さな岩を取り出し、周囲に配って回った。地下生活をしている最中に偶然見つけた「金の付着した岩なんだ」と触れ回り、ピニェラ大統領ともがっちりと熱い抱擁を交わした。

 地下約700メートルからの帰還直後ではあったが、セプルベダさんのパフォーマンスは終わらなかった。そのまま、鉱山仲間らが詰めかけたバリケード前まで突進して「チ、チ、チ、チリ万歳、チリ万歳、チリ万歳」と仲間とハイタッチしながら大合唱し、喜びを爆発させた。テレビのインタビューでは「私は芸術家でも芸人でもない。この仕事が好きなんだ。何者でもなく、これからも鉱山労働者でいたい」と今後も鉱山で働くことを宣言していた。

 [2010年10月14日8時39分 紙面から]


関連ニュース




キーワード:

チリ鉱山落盤事故




社会ニュース

記事バックナンバー


政治ニュース

記事バックナンバー


経済ニュース

記事バックナンバー


国際ニュース

記事バックナンバー





この記事を読んだ人は以下の記事も読んでいます





日刊スポーツの購読申し込みはこちら

  1. ニッカンスポーツ・コムホーム
  2. 社会
  3. 国際ニュース

データ提供

日本プロ野球(NPB):
日刊編集センター(編集著作)/NPB BIS(公式記録)
国内サッカー:
(株)日刊編集センター
欧州サッカー:
(株)日刊編集センター/InfostradaSports
MLB:
(株)日刊編集センター/(株)共同通信/STATS LLC

ここからフッターナビゲーションです