北朝鮮の朝鮮労働党創建65周年記念式典に出席のため訪朝していたアントニオ猪木・IGF会長(67)が13日、北京経由で帰国し、成田空港で会見。北朝鮮No.2の金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長と言葉を交わし、朝鮮労働党国際部長の金永日(キム・ヨンイル)党書記と会談したことを明かした。軍事パレードでは金正日(キム・ジョンイル)総書記を目撃したものの、後継者の三男・正恩(ジョンウン)氏とは“ニアミス”に終わったという。
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猪木が21回目の訪朝で初めて、党書記クラスとの会談に成功した。
猪木は10日、北朝鮮No.2の金永南氏が主催した昼食会に出席。約500人が招かれた大規模なもので、猪木は永南氏と握手し、言葉も交わしたという。11日には金永日党書記と党本部で30〜40分間にわたって会談し、永日氏が主催した約2時間の夕食会にも出席。関係者によると、夕食会で猪木と永日氏は正対して着席し、会話を続けた。
「いろんな話をざっくばらんにさせてもらった」という猪木によれば、北朝鮮側は「日本の誰と話をしていいのか」という困惑と不信感を示す一方、自衛隊関係者を含む訪朝団の受け入れには前向き。正恩氏の表記については「『恩』という字は発表していない。ハングルしか出していない」と説明した。
これまで、猪木が訪朝した際には朝日友好親善協会会長が応対していただけに、異例の“歓待”は北朝鮮の日本へのシグナルと見ることもできそう。猪木は「たぶん今後、交渉するときはこの方(永日氏)が出てくると思う」との見方を示した。
また、猪木は10日の軍事パレードと式典に出席したが、9日のアリラン祭は疲労で欠席。出席した関係者によれば左斜め前、10メートル強の位置に総書記や正恩氏が着席していたという。正恩氏が後継者に決まってからは初めて目撃した日本人となったこの関係者は、「刈り上げが目立っていた。体が大きく首が太かった」と証言。猪木は軍事パレードで総書記を目撃し「顔色は元気そうでした。パレードは(過去)最大規模」と印象を語った。
正恩氏とはニアミスに終わったが、闘魂外交に励んできた猪木は「ご飯を丸のみにしてノドに刺さった骨を取るくらいの度量がある政治家が出てくれば、問題は問題ではない。オレが総理なら(総書記に)『オレも手を半分下げるから、お前も半分下げろ』と言う。早い時期に訪問団を組織して…」と、日本の政治家に呼びかけていた。