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きょうのコラム「時鐘」 2010年10月15日
人里で暴れるクマの被害がやまない。好んで殺生するはずもないが、連日のように射殺の報が届く
丘陵地にある高速道の休憩所で「クマに注意」の張り紙を見た。万一、遭遇したときの心得も書いてある。慌てて逃げ出すと、相手を刺激する。ゆっくりと後ずさりを繰り返して、その場を去れ、とあった 親切なようだが、よほど肝の太い人物でなければ、実行できない相談である。出合ったら百年目と観念せよ、とも読み取れる。クマはやがて冬眠し、長い時間、姿を消す。飢えて人里を襲うことはない。本来は感心な習性の持ち主のはずである 頻繁に騒動が続くのは、偶然や突発ではなく、クマの世界に異変が起き、縄張りの拡張をもくろんでいるように映る。そうだとしたら、南や北の海だけでなく、ふるさとの里山も厄介な「領土問題」を抱えたことになる 麻酔銃で眠らせる「強制退去」を続けるか、銃規制を緩めて住宅地周辺でも駆除を強化するか。防衛問題の大切さを、冬眠前のクマが教えてくれる。防衛論議から目を背け、共生や友愛を叫ぶだけでは、クマにとっても里にとっても迷惑であろう。 |