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20100930[vol:238]
【国会3】菅改造内閣女性閣僚わずか2人 9月17日 

 菅直人首相は9月17日、改造内閣を発足させました。
 注目の女性閣僚は、続投の蓮舫行政刷新担当大臣と少子化・男女共同参 画担当の岡崎とみ子大臣のわずか2人に留まりました。
 岡崎大臣は就任会見で「実効性のある第3次男女共同参画基本計画を今 年度中に策定する。政策方針決定過程に女性の参画が拡大すること、ワー ク・ライフ・バランスを推進していくこと、女性に対する暴力の根絶に積 極的に取り組みたい」と述べましたが、具体的な政策には言及しませんで した。
 政府は、2020年までにあらゆる分野で指導的地位に女性が占める割 合が、少なくとも30%程度になることを目指していますが、大臣の女性 比率は18人中2人の11.1%、副大臣は22人中1人の4.5%、大 臣政務官は26人中2人の7.7%と、ジェンダーバランスに問題のある 人事といえます。
 ちなみに、女性の比率が最も高いのは第1次小泉純一郎内閣で、18人 中5人の27.8%です。

20100909[vol:237]
【裁判】離婚後300日規定違憲訴訟で広島高裁が控訴を棄却 9月3日 

 民法772条の規定により実父の子としての出生届を不受理としたのは 「法の下の平等」を定めた憲法に違反するとして、子どもの両親が居住す る総社市と国に計330万円の損害賠償を求めていた裁判の控訴審判決が 9月3日、広島高裁岡山支部(山崎和信裁判長)で行われ、一審の「民法 の規定についても、出生届の不受理処分についても憲法違反はない」とし た岡山地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却しました。
 女性は06年2月に婚姻しましたが、夫の暴力が原因で半年後に実家の ある岡山県に戻り、岡山地裁にDV防止法に基づく保護命令を申し立てま した。同年10月には地裁が保護命令を出しました。07年3月、女性は 家裁に離婚訴訟を提起し、10月に離婚を認める判決が出ましたが、夫が 控訴したため離婚が成立せず、08年3月に訴訟上の和解により離婚が成 立しました。女性は再婚禁止期間を待って別の男性と再婚、出産しました が、離婚後300日以内だったため、夫の子としての出生届は不受理とな りました。その後、夫との認知調停が成立し、子どもの無戸籍状態は解消 されました。
 原告側は、前夫との婚姻関係は形骸化が認められており、現夫の子とし て受理するよう求めましたが、判決では出生届の審査について「職務上の 義務違反があるとはいえない」と判断しました。
 判決後、原告代理人の作花知志弁護士は「民法772条そのものは、実 は柔軟に運用することができる法規範なのであるから、平成13年にDV 防止法が制定されるなど、DV被害者の保護が社会的な要請となっている 現在では、その救済を図る意味でも、高裁としては、より柔軟な運用を求 める判決を出すべきであった。最高裁の判断を仰ぎたい」と話し、上告の 方針を明らかにしました。
 一方、被告の法務省は「国の主張が認められた妥当な判決だと考えてい る」とし、総社市の片岡聡一市長は「控訴棄却の判決が出ても嬉しくない。 民法772条の規定はすでに時代に合わなくなっている。法の谷間で苦し む子どもが生まれないよう法改正を求めて戦っていく」とコメントしまし た。

20100827[vol:236]
【国会1】民主党 第2回法務部門会議を開催 8月26日 

 民主党政調法務部門会議(座長・今野東参議院議員)が8月26日、 第2回会議を開きました。
 会議では、政調役員会で法務部門内にワーキングチーム(WT)、小 委員会が設置されたことなどが報告されました。
 また、加藤公一法務副大臣は、民法改正案など6法案を臨時国会の提 出予定法案としていることを報告しました。このほか、法務省と最高裁 から概算要求などについてヒアリングも行いました。
 設置が決まったWTと小委員会は次のとおりです。なお、民法改正の WTについては、最高裁の大法廷回付を受けて、婚外子の相続分の同等 化について検討することにしたものです。

◆民法改正案検討(仮称)WT (石関貴史座長)
◆児童ポルノ法検討WT (辻惠座長/山尾志桜里事務局長)
◆民法債権法検討(仮称)WT (前川清成座長)
◆死刑制度検討WT (今野東座長)
◆難民問題検討WT (藤田一枝座長/稲見哲男事務局長)

◆ハーグ条約検討小委員会
(座長・石毛^子衆議院議員/事務局長・今野東参議院議員)

20100813[vol:235]
【国会1】民主党政調 第1回目の法務部門会議開催 8月3日

 民主党は政策調査会(玄葉光一郎会長)を復活させ、政府・与党一元化 のもと、政策決定は政府が責任を持って行い、政策調査会は政策に関する 「国民の声」、議員の英知を集約・収斂し、政府に提言します。連立与党と の政策調整は、個別案件はコアメンバー会議、重要案件は政調役員会、最 重要案件は閣僚委員会等で行うこととしています。

 8月3日、第1回目の法務部門会議が開かれ、法務部門会議の運営や法 案の取り扱い、秋の臨時国会の提出予定法案などが議論されました。
 法務部門会議のコアメンバー会議は、今野東参議院法務筆頭理事(座長) 石関貴史衆議院法務筆頭理事(事務局長)、藤田一枝政調副会長、辻惠副 幹事長・衆議院法務理事、樋高剛衆議院法務理事、前川清成参議院法務理 事、滝実衆議院法務委員長と、政府側から千葉景子法務大臣、加藤公一副 大臣(共同座長)、中村哲治政務官が入り計10人で構成されます。
 法案の取り扱いについては、民法改正案、児童ポルノ法改正案などが挙 げられました。民法改正については、最高裁の大法廷回付を受けて、婚外 子の相続分の同等化について検討することにしたものです。

20100729[vol:234]
【GO1】男女共同参画会議 基本計画策定の考え方を答申 7月23日

 政府の男女共同参画会議(議長・仙谷由人官房長官)は7月23日、 2011年度から5年間実施する「第3次男女共同参画基本計画の策定に 当たっての基本的な考え方」を菅直人首相に答申しました。
 今年4月に公表された「中間整理」(mネット通信第225号参照)と 同様、基本法施行後の10年間については、基本計画に基づく取り組みを 行ったものの、男女共同参画が十分には進まなかったと反省し、第3次の 基本計画策定に当たっては、基本的考え方の特徴として○実効性のあるポ ジティブ・アクションの推進、○男性や子ども、地域における男女共同参 画の推進、○世帯単位から個人単位の制度・慣行への移行、○雇用問題の 解決の推進、セイフティーネットの構築、○国際的な概念や考え方の重視 を挙げています。
 注目が集まっていた選択的夫婦別姓制度などの民法改正については「中 間整理」と同様、改正の必要性が明確に示されました。
 「中間整理」から大きく変わった点は、目指すべき社会として掲げた@ 固定的性別役割分担意識をなくした男女平等の社会A男女の人権が尊重さ れ、尊厳をもって個人が生きることのできる社会B男女が個性と能力を発 揮することによる、多様性に富んだ活力ある社会、に新たにC男女共同参 画に関して、国際的な評価を得られる社会を追加したことや重点分野に「 貧困など生活上の困難に直面する男女への支援」を新設したことです。
 また、男性の意識が低く「小さな」課題と捉えられたことへの反省から、 男性が自分たちの問題だと認識するような記述が随所に加えられました。
 国連女性差別撤廃委員会からの改善勧告については各項目で強調されて いますが、国連にジェンダー平等推進の専門機関が設置されることから、 新たな機関への働きかけも追加されました。
 一方、女性の能力発揮促進のための支援として事業内容を紹介していた 「女性と仕事の未来館」については、事業仕分けの対象になったため抽象 的な記述に留まりました。
 「中間整理」から後退したのは、性・暴力や児童ポルノに関する記述で す。規制を含めた実効的な対策について「中間整理」で「表現の自由に配 慮しつつ検討する」としていたものが、「表現の自由を十分に尊重した上 で検討する」に変わりました。児童ポルノの根絶に向けた対策についても、 子どもに対する性・暴力表現について規制の在り方を検討する、に「表現 の自由を十分に尊重した上で」が新たに加えられました。メディア産業の 性・暴力表現についても、流通・閲覧等に関する対策の在り方を検討する、 に「表現の自由を十分に尊重した上で」が追加されました。また、女性を もっぱら性的ないし暴力行為の対象としたメディアにおける性暴力表現に ついて、「中間整理」では「それ自体が『人権侵害』であるという観点か ら広報啓発」としていましたが、「男女共同参画社会の形成を大きく阻害 するものであるという観点から広報啓発」とし、抽象的な表現に後退しま した。一方、メディアへの対応については、「それ自体が『人権侵害』で あるという観点から啓発」が「女性や子どもに対する『人権侵害』となる ものもある観点から啓発」と、後退したものの「人権侵害」の用語と可能 性は残しました。「表現の自由」は憲法で保障されており侵害されないこ とは言うまでもありません。しかし、性犯罪への対策、性・暴力表現への 対策、子どもへの性暴力の根絶のそれぞれの具体的な取り組みにおいて、 「表現の自由を十分に尊重した上で」の記述が繰り返されることは、性暴 力や児童ポルノの根絶の動きに水を差し、被害者を無用に傷つける恐れも あります。
 政府は、答申に基づいて基本計画を策定し、年内に閣議決定を行う予定 です。

20100715[vol:233]
【裁判】婚外子相続差別裁判、最高裁が大法廷に回付 7月7日

 嫡出でない子(婚外子)の法定相続分を嫡出である子の2分の1と定め た民法900条4号ただし書きの合・違憲性が争われた訴訟の特別抗告審 で、最高裁判所第3小法廷(那須弘平裁判長)は7月7日、審理を15人 の裁判官全員で構成する大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に回付しました。 規定を合憲とした1995年の大法廷の判断が見直される可能性が高くな りました。
 この裁判は、2002年に亡くなった母親らの遺産相続で、婚内子の女 性が全体の3分の2を、弟である婚外子の男性が3分の1を相続したのに 対し、男性側が相続分を平等とするよう求めたものです。和歌山家裁と大 阪高裁で退けられたため、婚外子の男性が最高裁に特別抗告していました。

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 08年6月4日の国籍法違憲判決(裁判長・島田仁郎長官)では、判決 理由に「夫婦共同生活の在り方を含む家族生活や親子関係に関する意識も 一様ではなくなってきており、今日では出生数に占める非嫡出子(婚外子) の割合が増加するなど、家族生活や親子関係の実態も変化し多様化してき ている。(略)諸外国においては、非嫡出子(婚外子)に対する法的な差 別的取扱いを解消する方向にあることがうかがわれ、我が国が批准した市 民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約にも、 児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存する」 ことを挙げたことから、その後の相続差別裁判で違憲判断の期待が高まり ました。09年9月の政権交代で、法務大臣に就任した千葉景子氏が民法 改正に意欲を示す中、最高裁は9月30日、違憲判断を避け、改めて立法 府に法改正を託しました。しかし、今年の通常国会で、法案提出に至らな かったため、司法判断に期待する声が高まっていました。

20100623[vol:232]
【国会】選択的夫婦別姓などの民法改正に関する政党アンケートを実施 

 第22回参議院議員選挙が7月11日に行われるのに伴い、mネットは 民法改正に関する政党アンケートを行いました。
 選択的夫婦別姓制度導入や婚外子相続差別撤廃などの民法改正は、通常 国会の提出予定法案とされながら閣議決定されず、改正に賛成の野党から も議員立法が提出されなかったことから、97年以降、初めて通常国会に法 案がないという厳しい結果に終わりました。そのため、参議院選挙の各党 の公約や主張に大きな関心が寄せられています。
 そこで、国会議員が所属する各政党に対し、民法改正について質問しま した。回答があったのは民主党・自民党・公明党・共産党・社民党・国民 新党、たちあがれ日本の7党で、みんなの党、新党改革、新党日本、新党 大地からは回答がありませんでした。設問と回答は次のとおりです。

■設問1 このたびの参議院選挙の公約に民法改正を掲げていますか。

 「掲げている」と回答したのは公明党、共産党、社民党で、「掲げてい ない」と回答したのは民主党、自民党、国民新党、たちあがれ日本でした。

■設問2 法改正すべきだと考える内容を選択してください。

 「嫡出でない子の相続が嫡出子の2分の1とする条項を廃止する」と回 答したのは公明党、共産党、社民党でした。

 再婚禁止期間を短縮すると回答したのは公明党と共産党で、廃止まで踏 み込んだのは共産党(重複回答)と社民党でした。

 選択的夫婦別姓制度を導入すると回答したのは公明党、共産党、社民党 でした。

 婚姻年齢を「男女とも18歳とする」と回答したのは公明党、共産党、 社民党でした。

 離婚後300日以内に出産した子を前夫の子とする民法の規定を「見直 す」と回答したのは共産党と社民党でした。

 「選択的夫婦別姓には反対する」と回答したのは自民党、国民新党、た ちあがれ日本でした。

その他、各党の記述回答は次のとおりです。

【民主党】
   政策集(INDEX2009)には以下の趣旨で記述
○嫡出子でない子の相続が嫡出子の2分の1とする条項を廃止する
○再婚禁止期間(現行180日)を短縮する
○選択的夫婦別姓制を導入する
○婚姻年齢(現行男性18歳、女性16歳)を男女とも18歳とする

【公明党】
   「離婚後300日」問題については、民法772条自体をすぐに見直す というよりも、無戸籍の子どもたちの早期の身分安定のため、離婚前懐胎 のケースを含め、議員立法での救済措置の創設を主張しています。

【共産党】
   私たちは1997年発表の民法改正案大綱で、@離婚の際の財産分与は、 夫婦の財産形成への寄与の程度の違いが明らかでないときは、それぞれ2 分の1とする、A離婚協議の際に養育費の分担の取り決めをすることを、 あわせて提案しています。面会交流についても同じ民法改正案大綱で、子 の利益を最優先して取り決めることを提案しています。共同親権について は、国民的な議論と検討が必要だと考えます。

【社民党】
   子どもの人権を尊重する観点から、「嫡出」概念そのものを撤廃して、 差別規定をなくします。

【たちあがれ日本】
   いったん途絶えた先祖の家名を名のることができるようにすべき。

■設問3 夫婦同姓を強制している国がほぼ日本だけであることについて

 「知っている」と答えたのは民主党、公明党、共産党、社民党、国民新 党で、自民党は「強制ではない」、たちあがれ日本は「知らない」とした うえで「アメリカでは州レベルでは同姓を規定しているところもあると聞 いている」と回答しました。

■設問4 婚外子相続差別をしている国が日本とフィリピンのみ(法務省 答弁)であることについて

 「知っている」と答えたのは民主党、公明党、共産党、社民党、国民新 党で、自民党は「差別ではないとの最高裁判例があるものと承知している」 たちあがれ日本は「知らない」としたうえで「法律婚を保護すべき」と回 答しました。

■設問5 女性差別撤廃委員会や子どもの権利委員会をはじめとする国連 の各種委員会が、差別的な規定の廃止を勧告していることについて

 「知っている」と答えたのは民主党、公明党、共産党、社民党、国民新 党、たちあがれ日本で、自民党は「差別規定はない」と回答しました。

≪有権者へのメッセージ≫

【民主党】
   現在日本では、婚姻した夫婦の96%で女性が改姓していますが、仕事 上の事情から結婚前の姓を名乗り続けたい、生来の姓を自己のアイデンテ ィティと感じるなどのさまざまな理由で夫婦別姓を望む人が選択できる制 度を求める声が若い世代を中心に増えています。民主党がこれまで提出し てきた民法改正案では、選択的夫婦別氏制度の導入に加え、婚外子(非嫡 出子)の相続差別をなくすこと、再婚禁止期間を100日に短縮すること も盛り込んでいます。  また、平成8年に法制審議会において、民法改正案の要綱を決定し、法 務大臣への答申が行われています。これらの経過を踏まえて、引き続き取 り組んでまいります。

【公明党】
   選択的夫婦別姓制度の導入、婚姻年齢の18歳統一、女性の再婚禁止期 間の短縮(現在6か月から100日に見直し)及び婚外子相続差別の撤廃 の実現を図る「民法」改正に向け、積極的に取り組むとともに、女性や子 どもの人権の向上に資する総合的な施策を推進してまいります。

【共産党】
   民法改正は、家族、社会のなかで男女平等の徹底、子の利益に立った問 題の解決のために早急に行われるべき問題です。国連女性差別撤廃委員会 や子どもの権利委員会からも、早期の改正が求められています。民主党政 権は公約を守って、その実現を図るべきであり、私たちは強く求めていき ます。ごいっしょにがんばりましょう。

【社民党】
   民意による政権交代が実現したにもかかわらず、第174回通常国会で、 政府の民法改正法案が提出できなかったことは非常に残念であり、有権者 に申し訳なく思っています。引き続き、ねばり強く法改正に取り組んで参 ります。

【国民新党】
   日本国にとっても重要な問題ですので、国民新党としても、今後いろい ろ検討いたします。

【たちあがれ日本】
 親子別姓には反対です。

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 今回の参議院選挙で、自民党、国民新党、たちあがれ日本の3党が、 「選択的夫婦別姓に反対」を公約に掲げました。
 一方、これまで民法改正を公約に掲げてきた民主党は、今回の参議院 選挙では公約に掲げていません。また、民主党から回答があった政策集 (INDEX2009)については、参議院選挙の公約という位置づけ ではありません。政党の公約とされていないこともあり、政策の責任あ る立場の候補者でさえ、選択的夫婦別姓には反対を掲げるという実態も 明らかになりました。

20100620[vol:231]
【国会1】参議院本会議で自民の佐藤議員が夫婦別姓に反対、
      社民の福島議員が賛成の立場で代表質問 6月15日

 参議院本会議で6月15日、菅直人首相の所信表明に対し、自民党の佐 藤正久議員が夫婦別姓に反対、社民党の福島みずほ議員が賛成の立場で質 問しました。
 佐藤議員は「鳩山前政権が実現を目指していた外国人地方参政権や選択 的夫婦別姓についてはどのようにお考えか。我々はいずれも日本国の命運 を左右する重大な問題と考え、反対の立場だ。民主党政権として、前政権 の方針を踏襲して実現を目指すのか」と質問しました。これについて菅首 相は「選択的夫婦別氏制度の導入については、平成八年に法制審議会にお いて、民法改正の要綱案を決定し、法務大臣への答申が行われた。導入に ついては、いろいろな意見があることは承知しており、この答申を踏まえ、 引き続き与党内において調整をしてまいりたい」と答え、明言を避けまし た。
 福島議員は「前政権で、多くの皆さんの協力を得て男女共同参画第三次 基本計画を作った。女性が仕事を続けられるような環境の整備、男女共に 人間らしい働き方を実現するための施策、貧困の根絶、マイノリティーで ある困難を抱える人たちへの施策など、具体的な計画を示し、実現するこ とが必要。その実現への総理の決意を示してほしい。また、選択的夫婦別 姓の導入や婚外子差別撤廃などの民法改正や人権条約の選択議定書の批准 など急務だが、実行されるのか」と質しました。これに対し菅首相は「男 性も女性も、一人一人の人権が尊重され、その個性と能力を十分に発揮で きる男女共同参画社会を実現するため、実効性のある基本計画を策定して いきたい。民法改正については、いろいろな意見があるが、答申を踏まえ、 引き続き与党内で調整をしている。また、自由権規約や女子差別撤廃条約 の選択議定書に設けられている個人通報制度については、条約の実施の効 果的な担保を図るとの趣旨から注目すべきものと考えが、この制度の受入 れの是非については、各方面から寄せられている意見も踏まえ、政府とし て真剣に検討を進めているところである」と、具体的取り組みの言及はな く、積極的な姿勢も示さず、自民党政権時代と同様の答弁に終始しました。

20100611[vol:230]
【国会1】新閣僚、民主党新役員人事 6月8日

 菅直人連立内閣の閣僚および民主党役員人事が6月8日、正式決定しま した。
 女性閣僚は2人、副大臣、官房副長官、総理大臣補佐官はすべて男性が 占め、自民党政権時代と同様にジェンダー・バランスの悪い内閣と言えま す。また、少子化対策・男女共同参画担当大臣は、復活した民主党の政務 調査会長を務め、公務員制度改革と「新しい公共」を担当する玄葉光一郎 大臣が兼務することから、男女共同参画の軽視として女性団体などから不 満の声が上がっています。玄葉大臣は8日の新閣僚会見で「男女共同参画 は男性にとっては自分の問題になっていないのが問題。政調会長を兼ねる ので、あらゆる場面で男女共同参画の視点を取り入れることができるよう に努めていきたい」と、抽象的な表現に留めました。

 閣僚や民主党三役について、民法改正に関する主な言動を紹介します。
 千葉景子法務大臣と枝野幸男幹事長は、法案の筆頭提出者(参議院は発 議者)として、最も尽力しています。また、菅総理をはじめ、閣僚と三役 の多くが、提出者や賛同者として名前を連ねています。法案提出も賛同も ないのは、長妻昭厚生労働大臣、中井洽国家公安委員会委員長、山田正彦 農水大臣です。しかし、長妻大臣と山田大臣はこれまで反対を表明したこ とはなく、中井大臣は新進党時代に高市早苗議員らと猛反対していました が、閣議決定には従う意向を明らかにしています。

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過去のmネットの院内外の集会での各党代表挨拶より

2005年 仙谷由人政調会長(当時)「国民の潜在的な賛成者は半数以 上いると思う。政権交代でぜひ民法改正を実現し、若い人がより安心して 新しい家族を作れるようにしたい」

2006年 枝野幸男憲法調査会会長(当時)「自由化、自由化と言って いる小泉さんが、どうしてこのことについては自由化しないのか、この明 らかな不合理を放置できるのは、人権感覚の欠如だと言わざるを得ない」

2008年 前原誠司副代表(当時)「民主党は14回法案を提出している。 一致団結してこの問題を早期に解決しようということで頑張っており、党 内の意見の乱れは全くない。夫婦別姓は個人の自由の問題であり、憲法で 保障されている基本的人権の問題。多数を占める参議院で可決させ、それ をプレッシャーにして衆議院でも可決させたい」

2009年 小宮山洋子衆議院議員「千葉大臣と福島大臣が法制化をする と言ったので、期待感があるが、法案成立までには障害はある。政権交代 でクリアしやすい状況にはなった。国会の中で党派を越えて働くが、国会 の外から大きな声を上げてほしい」

2010年(決起集会)小宮山洋子党男女共同参画推進会議議長(当時) 「民法改正は、私が議員になった目的の一つ。審議会が答申したら、国会 で俎上に上らせるのが当たり前なのに出てこない。それで、当時、野党の 民主党が他の野党と一緒に改正案を出し続けてきた。なんとしてもこのタ イミングで実現ができるように全力を尽くしたい」
千葉景子法務大臣(メッセージ)「多様な生き方、家族のありようをお互 いに認め、ともに支え合う男女共同参画社会の推進のためにも制度実現に 向け全力を傾注してまいります」

20100603[vol:229]
緊急院内集会  今国会で民法改正の閣議決定を!

 衆議院第二議員会館で6月1日、「今国会で民法改正の閣議決定を!」 と題する緊急院内集会(主催・同実行委員会)を開催しました。法改正を 望む法律家や市民、衆・参の国会議員、秘書、報道関係者など107人が 参加しました。

 緊急集会開催を呼びかけたmネットから経緯の説明の後、千葉景子法務 大臣が挨拶しました。
 千葉大臣は、「法務大臣になって、これだけはやれと皆さんにきつくご 提起いただいたが、閣議決定に至らずにいることを申し訳なく思っている。 責任を重く感じながら、なんとしてもあきらめることなく着実に輪を広げ たい。連立ということもあり、他の案件との関連もあるなかで、民法改正 が否定的に考えられているわけではない。いろいろな条件を整え、閣議で きちっと決めて国会での議論にしなければいけない。今日は応援団として 私を監視・監督いただき、心強い集会だとかみしめている。これからも一 緒にがんばりましょう」と、民法改正への決意を表明しました。

20100528[vol:228]
【緊急院内集会   今国会で民法改正の閣議決定を!】

日 時 6月1日(火)11:30〜
会 場  衆議院第二議員会館 第1会議室

 全国から民法改正を待ち望む皆さんが参加予定です。

 緊急の呼び掛けのため、集会に参加できない方もいらっしゃるので、 そういう皆さんの切実な声を国会にお届けします。民法改正に関するも のに限らせていただきますので、5月30日の午後5時までにウェブサイト から送信してください。http://www.ne.jp/asahi/m/net/

20100514[vol:227]
【国会1】衆議院法務委員会で夫婦別姓について石関議員と城内議員質問 5月11日

 衆議院法務委員会で5月11日、民主党の石関貴史議員と無所属の城 内実議員が、選択的夫婦別姓について質問しました。
 石関議員は、2001年と2006年に行われた世論調査で通称使用 を容認する回答について「賛成か反対かよくわからない。問題意識を持 っていただいたうえで質問すると、回答も変わる。よりわかりやすい質 問を作ってほしい。別姓は戸籍制度、夫婦、家族が何かに関わる。広い 観点から調査してほしい」と明言は避けつつ、慎重派と同様の意見を述 べました。さらに「雑誌のインタビューで枝野幸男さんは、『政権交代 を実現させた民意は夫婦別姓についてのものではない(以下省略)』と 発言している」と、昨年のアエラ記事を披露しました。
 城内議員は、「民主党政権が進めようとしている選択的夫婦別姓は、 いわゆる親子別姓、子どもに親と違う名字を強制する制度である。家族 蔑視制度になりかねない」と批判し、内閣府の世論調査の別姓反対と通 称使用容認を合わせると過半数を超えているという慎重派の主張を繰り 返しました。また、民主党内、閣内にも反対があると指摘し、「今度の 参議院選挙の公約に入れるのか」と尋ねました。千葉大臣は「民主党と して、ぜひ実現の方向に考えているというふうにできたらよいと思って いる」と答えました。城内議員から「法務大臣としての立場か」と聞か れた千葉大臣は「議員としても、法務大臣としても、意見を取りまとめ て、当然この国会にということで法案の準備をしている」と、改めて法 改正に意欲を示しました。

20100429[vol:226]
【GO】離婚後300日規定、離婚後懐胎での出生届出1111件 4月23日

 法務省民事局は4月23日、離婚後300日以内の出生で、離婚後懐胎 により前夫の子としない出生届の受理件数の累計が、2007年5月21 日の出生届出から2010年3月31日までに1111件あったことを明 らかにしました。
 民法772条は、女性が離婚後300日以内に出生した子は前夫の子と 推定するため、法務省は2007年5月7日、離婚後の懐胎が医師の証明 書で明らかな場合は前夫の子としない出生届出を5月21日から受理でき るとする(1007号)通達を出していました。
 今回法務省が明らかにしたのは、300日規定の問題を追及してきた民 主党の井戸まさえ衆議院議員の求めによるものです。

20100417[vol:225]
【GO1】男女共同参画会議開催 4月15日

 第34回男女共同参画会議(議長・平野博文内閣官房長官)が4月15 日、総理大臣官邸で開かれ、第3次男女共同参画基本計画の策定に向けて 「中間整理」を公表しました。
 「中間整理」の特徴と具体的取り組みについて、@国際的な概念や考え 方を重視するA実効性のあるポジティブアクションを進めるB世帯単位の 制度・慣行を個人単位へ移行するC雇用問題の解決を進めることやセーフ ティネットを構築するD男性、子どもにとっての男女共同参画、地域にお ける男女共同参画を進めること、を挙げています。
 今回の「中間整理」では、基本法制定以後10年間を真摯に反省し、そ の上にたって、より実効性のある基本計画を策定しようとする意気込みが 感じられます。それは福島みずほ男女共同参画担当大臣の「『中間整理』 に寄せて」と題した冒頭のメッセージにも込められています。
 民法改正については、第2次基本計画で「婚姻適齢の男女統一及び再婚 禁止期間の短縮を含む婚姻及び離婚制度の改正とあわせ、選択的夫婦別氏 制度について、国民の議論が深まるよう引き続き努める」としていました が、今回は「家族に関する法制について、夫婦や家族の在り方の多様化や 女子差別撤廃委員会の最終見解も踏まえ、選択的夫婦別氏制度を含む民法 改正が必要である。また、時代の変化等に応じ、家族法制の在り方につい て広く課題の検討を行う」と、改正の必要性が明確に記述されています。  ただし、基本計画の閣議決定の段階でこの記述が盛り込まれるというこ とは、明確な表現であったとしても法改正に至っていない厳しい状況とい うことになります。
   会議後の会見で福島大臣は「今国会で何としても民法改正案の提出を目 指して頑張りたい」と、あらためて意気込みを語りました。
 今後はパブリックコメント、公聴会が行われ、6月中旬をめどに男女共 同参画会議が「基本的な方向」を答申し、年内に基本計画の閣議決定され る予定です。詳しくは男女共同参画局のウェブサイトをご覧ください。
http://www.gender.go.j

20100403[vol:224]
【GO1】法務省 婚外子の父母との続き柄欄記載に関する取扱いを通知 3月24日

 婚外子の出生届出時に、父母との続き柄欄に「嫡出でない子」と記載し なければならないため、差別的な記載をしなくてすむよう届出用紙の改善 を求める声が高まっていましたが、法務省は3月24日、続き柄欄に記載 されていない場合の取扱いに関する通知を地方法務局長などに出しました。
 通知は、「嫡出でない子の出生の届出に当たり,届出の『父母との続き 柄』欄の記載等がなされていない場合の取扱いについて(通知)」及び 「嫡出でない子の戸籍における父母との続き柄の記載の更正及び訂正並び に申出による戸籍の再製について(通知)」で、法務省民事局第一課長名 で法務局民事行政部長、法務局地方法務局長に送付されました。
 主な内容は、届書の「父母との続き柄」欄に「嫡出子又は嫡出でない子 の別」の記載がされず、記載を求めても応じない場合は、届書の「その他」 欄に、「母の氏を称する」や「母の戸籍に入籍する」など、入籍すべき戸 籍を明らかにする方法によって「嫡出でない子」と記載しなくても受理で きるようにしています。また、「嫡出子又は嫡出でない子の別」の記載を 求めても応じない場合の付せん処理などでも「嫡出でない子」の文言は用 いず、「母の氏を称する」や「母の戸籍に入籍する」などの記載にするこ とにしています。
 戸籍の父母との続き柄記載の更正については、申し出の対象となるのは 現在の戸籍のみでしたが、婚姻などで除籍された戸籍についても申し出の 対象となりました。また、続き柄記載の更正後に戸籍の再製の申し出があ った場合は、それを可能としています。

20100323[vol:223]
【国会1】民主党の小宮山洋子衆議院議員にインタビュー

 1998年に参議院議員となり、03年に衆議院補欠選挙で当選して以 来4期目の小宮山洋子衆議院議員にインタビューしました。

Q:民法改正には、人一倍強い思いがあるのでは?
A:一昨年に亡くなった父の加藤一郎が、法制審議会の民法部会長で民法改正案をまとめたので、
私はバトンを引き継いでいることもあり、しっ かりやりたい。
Q:民主党内に時期尚早との意見もあるのでは?
A:時期尚早のわけがない。97年から民主党は法案を出し続けている。 これまで、毎回「次の内閣」で確認
をとって民主党の政策として出して きた。もともと制度に関するものだからマニフェストの項目ではなく政 策集に入れた。マニフェストと政策集の両方が公約だ。法案を出し続け た民主党が出さなくてどうする、と言いたい。
Q:日程的に法案提出が厳しい状況では?
A:連立政権なので、反対している政党があると出せない。こちらも努力 するが、市民のみなさんも困っている
具体例で働きかけをしてほしい。
Q:家族を壊すとの反対理由も挙げられますが?
A:世論調査では若い人が多く賛成している。家族を壊すのではなく、こ の縛りがあるから結婚ができなくて、
子どもを持てない人たちがいると いうことを、反対の主張をする人に理解してほしい。参議院選挙前に、 いろいろ動きが出るかもしれないので、その前にしっかり出したい。
Q:チルドレン・ファーストを掲げる党として、婚外子差別の撤廃にまと まれるでしょうか?
A:子どもは生まれてくるところを選べないから、一刻も早く法改正すべ きだ。国連の規約人権委員会や
子どもの権利委員会などからも改善を勧 告されている。国際的に誇りを持てる国にするというのは鳩山総理のモ ットーなのだから。

20100306[vol:222]
【民法改正改正を求める!3.3決起集会開催】






オープニングに先立ち「はやくこいこい民法改正」寸劇が行われ、弁護士や家族法学 者などが熱演を披露した。






 選択的夫婦別姓制度導入や婚外子差別撤廃の「民法改正を求める! 3.3決起集会」(主催・同実行委員会)が3月3日、憲政記念館で開 かれ、与野党の国会議員や弁護士、市民や報道関係者など約400人が 参加しました。
 96年の法制審答申当時に内閣法制局長官を務めていた大森政輔さん、法務省民事局の参事官だった小池信行さんが来賓として挨拶をされました.
 また、日弁連会長選挙の候補者の宇都宮健児さんと山本剛嗣さんからも決意表明がありました。
 テレビ番組「行列ができる法律相談所」に出演している菊地幸夫さんや第二東京弁護士会会長の川崎達也さん、ビジネスロイヤーの草分けの久保利英明さんら、著名な3弁護士と評論家の樋口恵子さんがユーモアを交えて法 改正の必要性を訴えました。

 各党からの代表挨拶では、民主、公明、共産、社民の各党から決意表 明がありました。
 民主党の男女共同参画推進会議議長の小宮山洋子衆議院議員は「民法 改正は、私が議員になった目的の一つ。審議会が答申したら、国会で俎 上に上らせるのが当たり前なのに出てこない。それで、当時、野党の民 主党が他の野党と一緒に改正案を出し続けてきた。(夫婦別姓ができな いために)結婚できない人がいる。少数だから、それを選べなくていい ということではなく、足を踏まれて痛い側、困っているという人のため に政治があるのだと思っている。優先順位を上げるための働き掛けを強 くお願いしたい。なんとしてもこのタイミングで実現ができるように全 力を尽くしたい」と、長年の悲願であることを披露しました。
 公明党代表代行の浜四津敏子参議院議員は「公明党は、かねてより民 法改正を主張してきた。選択的夫婦別姓は真の男女平等の実現に不可欠 で、多様な生き方ができる社会が本当に豊かな社会。公明党は全力を挙 げて法務大臣を後押しして、いいチャンスが来たという今回、民法改正 ができるように全力を挙げていく」と、政府に協力する考えを明らかに しました。
 共産党の参議院国対副委員長の仁比聡平参議院議員は「日本のすべて の政治家のみなさんに呼び掛けたいのは、夫婦同姓を強制している我国 の民法の下では、通称の使用が拡大されても、解決できない精神的苦痛 と具体的な不利益が多くの場合、女性の側に強いられ、少なくない若い 世代のカップルが法律婚を躊躇する要因になっているという現実がある ということを直視しようではないか、ということ」と、訴えました。
 社民党の政策審議会長代理の近藤正道参議院議員は「千葉大臣と福島 大臣は民法改正で先頭を走ってきた。今がチャンスで、この機を逃していつやるんだという思いだ。21世紀にこの国が世界の人権大国として堂々と胸を張っていくためにも、この国会で民法改正を実現するよう、社 民党は全力で頑張りたい」と、意気込みを語りました。

 決起集会には、国連女性差別撤廃委員会委員の林陽子さん、元内閣官 房長官の野中広務さん、初代男女共同参画局長の坂東眞理子さん、最高 裁元判事の泉徳治さん、連合会長の古賀伸明さんからのメッセージが紹 介されました。さらに、出席を予定していた千葉景子法務大臣と福島み ずほ男女共同参画担当大臣は、予算委員会出席のため参加できなかった ことから、メッセージを寄せられました。
 このほか、ニューヨークで開かれている第54回国連女性の地位委員 会(CSW・「北京+15」)に参加している大谷美紀子弁護士や橋本 ヒロ子十文字学園女子大学教授らは、テレビ電話によるメッセージ、全 国から駆けつけた民法改正運動団体によるリレートークなども行われま した。
 最後に、集会アピールを採択し閉会しました。

集会への議員および秘書の出席は次のとおりです。

【議員】11人
(民主)衆/小宮山洋子議員、本多平直議員、山尾志桜里議員、山崎摩耶議員
参/神本美恵子議員、松野信夫議員
(公明)衆/大口善徳議員 参/浜四津敏子議員
(共産)参/紙智子議員、仁比聡平議員
(社民)参/近藤正道議員
   
【秘書】19人(複数参加事務所あり)
(民主)衆/井戸まさえ議員、熊谷貞俊議員、郡和子議員、小宮山洋子議員、齋藤勁議員、辻惠議員
参/神本美恵子議員、今野東議員、千葉景子議員、松岡徹議員、円より子議員、簗瀬進議員
(自民)衆/野田聖子議員、参/古川俊冶議員
(社民)衆/服部良一議員、参/福島みずほ議員
(無所属)参/糸数慶子議員

20100221[vol:221]
   民法改正を求める!3.3決起集会    3月3日(水)午後3時〜憲政記念館

     選択的夫婦別姓制度導入や婚外子相続差別撤廃などの民法改正を求め る市民、弁護士、ジャーナリストなどが3月3日、今国会での民法改正実 現を目指して憲政記念館で決起集会を行います。
http://www.ne.jp/asahi/m/net/minposyukai.html

 日時:3月3日午後3時〜午後5時
 場所:憲政記念館 講堂(千代田区永田町)
 参加:無料  主催:同実行委員会
 5時30分〜同館レストランにて交流会を開催。
 立食、会費3000円 要申し込み
 問い合わせ:tel/fax03-3568-3077

20100203[vol:220]
【国会1】第174回通常国会開会、鳩山首相が施政方針演説 1月29日

 鳩山由紀夫首相は1月29日、衆・参両院本会議で初の施政方針演説を 行いました。男女共同参画については、一言言及するにとどまりました。
 「若者、女性、高齢者、チャレンジド」をひとくくりにし、「すべての 人が、社会に参加できる環境を整えるため、妨げとなっている制度や慣行 の是正に取り組む。社会のあらゆる面で男女共同参画を推進し、チャレン ジドの方々が、共同体の一員として生き生きと暮らせるよう、障害者自立 支援法の廃止などに向けた、改革の基本方針を策定する」と、男女共同参 画について具体的な言及はありません。
 昨年11月に行われた男女共同参画会議で首相自身が「男女共同参画の 実現は、友愛社会の実現に不可欠な最重要課題である。男女共同参画社会 を作るために政治が頑張らなければならない」と述べたことと比較して、 後退した印象となりました。

20100115[vol:219]
【裁判】離婚後300日規定の初の違憲訴訟で原告敗訴 1月14日

 民法772条の規定により実父の子としての出生届を不受理としたの は「法の下の平等」を定めた憲法に反するとして、子どもの両親が居住 する総社市と国に計330万円の損害賠償を求めていた裁判で、岡山地 裁(古賀輝郎裁判長)は、「民法の規定についても、出生届の不受理処 分についても憲法違反はない」として原告の請求を棄却しました。
 判決後の記者会見で、原告代理人の作花知志弁護士は「不受理処分が 違法と判断されなかったことは非常に残念」と述べ、控訴の方針を明ら かにしました。
 一方、被告の法務省民事局は「国の主張が認められ妥当な判決」とコ メントしましたが、判決後に記者会見を開いた総社市の片岡聡一市長は 「勝訴しても嬉しくない。この制度は時代に合わなくなっている。法の 谷間で苦しむ子どもたちが生まれないように法改正を求めていく。“コ ンクリートから人へ”ということが法改正で示せるか新政権の試金石に なると思う。近いうちに千葉景子法務大臣に面会して申し入れたい」と 述べました。
 なお、1月27〜28日に東京で行われる全国市長会でもこの問題が 議論される予定です。

       * * * * * * * * * * * * * *

  裁判に至るまでの経過

 女性は06年2月に婚姻しましたが、夫の暴力で半年後に実家のある 岡山県に戻りました。夫と別居し、警察に相談後、女性は地裁にDV防 止法に基づく保護命令の申立てを行い、同年10月には地裁が保護命令 を出しました。女性は07年3月に家裁に離婚訴訟を提起し、4月には 地裁が二度目となる保護命令を出しました。10月に離婚を認める判決 が出ましたが、夫が控訴したため離婚が成立せず、08年3月に訴訟上 の和解により離婚が成立しました。女性は離婚直前に別の男性の子を妊 娠し、その男性と婚姻しましたが、男性の子としての出生届は受理され ませんでした。
 DV防止法による保護命令で前夫は1年間妻に近付くことができず、 保護期間内の離婚訴訟の一審判決では長期間の別居と音信不通、前夫の 暴力が認定されています。さらに、前夫が控訴したことにより離婚が半 年も遅れてしまいました。

20091225[vol:218]
【国会1】自民党の南野知惠子参議院議員にインタビュー

 参議院議員となって3期17年、法務大臣や少子化担当大臣を歴任した 自民党の南野知惠子参議院議員にインタビューしました。
 南野議員は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する活動、ドメス ティック・バイオレンスや性同一性障害者のための法整備に尽力し、今年 7月にはニューヨークで行われた国連女性差別撤廃委員会の日本審査に政 府代表として出席しました。

Q:女性差別撤廃条約の選択議定書批准に向けて尽力されました。
A:自民党女性に関する特別委員会で、選択議定書について議論し、批准 の合意ができたのに、
外交部会で合意できなかったことは残念でした。
 
Q:日本の条約実施状況が審査されました。
A:女性差別の撤廃は当然のこと。多くの課題を頂いたので、それをどう いい方向に持っていけるか
ということだと思います。NGOの重要性 も感じました。
 
Q:夫婦別姓では与野党を問わず賛成・反対があり、女性にも強硬に反対 する議員もいます。
A:選択制で選択のチャンスを広げるということを理解してほしいですね。 国連からは厳しい勧告も
受けています。
 
Q:男性中心の国会で議題にされてこなかったセクシュアリティの問題に 陽を当てられました。
A:性同一性障害の法律が最も印象に残っています。性というアンタッチ ャブルな課題でしたが、
WHOの定義で病気とされたことから、看護 職の窓を通して解決することができました。
DVも高齢者の虐待も、 学校での養護教育の重要性も仲間の議員を増やして解決できたと思い ます。
 
Q:養護学校での性教育が激しいバッシングを受け、学校での性教育が委 縮しています。
A:養護教諭の役割は重要で、子どもたちの心身の発達をどう助けていく か、最も重要なポイントが
性の発達です。また、助産師が、性教育を 行うのは自分たちの役割だという認識を持ってくれているので助かり ます。性教育をポルノのように扱ったり、「純潔」を勧めるのは間違 い、そもそも何を持って「純潔」というのでしょう。
 
Q:これまで数々の法律を作られていますが、基軸になっているものがあ るように思います。
A:個人の尊厳というか差別をなくしたい思いがあったように思います。
来年引退をするので、若い人たちに引き継ぎたいと思っています。
 

20091211[vol:217]
【GO1】内閣府調査で固定的役割分業に反対の回答が55.1% 12月5日

 内閣府は12月5日、男女共同参画社会に関する世論調査の結果を発表 しました。
 「夫が外で働き、妻は家庭を守るべき」という固定的役割分担に反対す る人は55.1%で、2年前の前回調査で初めて過半数を占めた52.1 %に続いてさらに増えました。
 また、女性が職業を持つことに関して「子どもができても続けるほうが よい」の45.9%、「結婚しても必ずしも子どもを持つ必要はない」の 42.8%も、1992年の調査開始以来最高となりました。
 「子どもを持つ必要はない」と答えたのは男性より女性が多く、若い人 ほど多い傾向にあります。特に出産年齢層の20歳代女性では68.2%、 30歳代女性では61.4%を占めています。
 女性が職業を持つことに対しては、「続けるほうがよい」の回答者は、 「子どもができるまで」の10.7%、「結婚するまで」の5.5%を大 きく上回っています。「子どもができたらやめ、大きくなったら再び」は 調査のたびに減少して過去最低の31.3%になりました。
 今年5月に公表された「男女共同参画白書」で女性の退職・再就職を表 すM字カーブの底部が上がって台形に近づいた統計と合わせて見ると、国 民の意識と実態の両方が、女性の職業を持つことを「よい」と思うように 変化したことがわかります。
 「結婚は個人の自由であり、してもしなくてもいい」に賛成が70.0 %、「結婚相手に満足できないときは離婚すればよい」という離婚への寛 容も50.1%となり、結婚観や家庭観における従来の規範を支持する人 は回答者の半数に満たないことがわかります。
 各分野で男女の地位が平等になっているかどうかについては、最も平等 感が高いのが「学校教育の場」で68.1%、次いで「自治会やNPOな ど地域活動の場」が51.0%、「法律や制度の上」が44.4%、「家 庭生活」が43.1%、「職場」が24.4%、「政治の場」が21.0 %、最も低いのが「社会通念・慣習」で20.6%となりました。平等感 が「学校」で最高で、「社会通念」で最低であることは、調査を開始して から17年間変わっていません。「地域活動」を尋ねたのは今回調査が初 めてです。
 この調査は、全国の20歳以上の男女5000人を対象に面接方式で実 施し、3240人が回答しました。

20091126[vol:216]
【GO】政権交代後、初の男女共同参画会議 11月26日

 第32回男女共同参画会議(議長・平野博文内閣官房長官)が11月 26日、総理大臣官邸で開かれ、鳩山由紀夫首相、福島みずほ男女共同 参画担当大臣などの関係閣僚や有識者議員が出席しました。
 会議の冒頭、鳩山首相は「男女共同参画の実現は、友愛社会の実現に 不可欠な最重要課題である。日本の今後の政策課題は、医療、福祉、環 境、教育などで女性の視点が重要なものばかりである。男女共同参画社 会を作るために政治が頑張らなければならない。男女共同参画会議の皆 さんには目の覚めるような政策を作るために貢献いただきたい」と挨拶 しました。
 今回の議題は、女性差別撤廃委員会総括所見への対応、第3次男女共 同参画基本計画の策定、「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱え る男女について」最終報告です。
 総括所見については有識者議員から、重要課題として特に取り組む必 要があるとして、民法改正、選択議定書批准、女性の参画拡大のための 暫定的特別措置、女性に対する暴力の根絶と被害者支援の4項目が挙げ られました。赤松広隆農水大臣から「インデックスにも民法改正は書い てあり大いに推進すべきである」と発言があり、千葉景子法務大臣から も頑張りたい旨の発言がありました。
 福島大臣は「総括所見の指摘事項については第3次男女共同参画基本 計画にしっかり反映させたい。本日の会議で取り上げた重要課題につい ては、今後、閣僚間で検討を深め、男女共同参画会議でご報告いただき たい」と発言しました。

20091112[vol:215]
【mネット】院内集会「通常国会で民法改正を!」を開催 11月11日

 衆議院第1議員会館で11月11日、mネットが「通常国会で民法改 正を!」と題する院内集会を開催しました。法改正を望む弁護士や市民、 衆・参の国会議員、秘書、報道関係者など172人が参加しました。
 まず、集会を呼びかけた民主党の小宮山洋子衆議院議員が「この問題 は超党派の女性議員が中心になってやってきた。メディアの人にも選択 であることをしっかり伝えてもらいたい。千葉大臣、福島大臣が法制化 をすると言ったので期待感があるが、法案成立までには障害はある。政 権交代でクリアしやすい状況になった。国会の中で党派を越えて働くが、 国会の外から大きな声を上げてほしい」と挨拶しました。
 早稲田大学教授の棚村政行さんは「法制審議会の答申は、5年かけて 研究者も実務家も概ね一致をみた提案だったが、自民党の強い反対で現 在まで実現していない。戸籍のない子、離婚後300日規定も、家制度 のもとでの規定が全く変えられず、社会的な実情にそぐわない規定が放 置されている。子どもとの面会交流や子どもの責任を親が共同で果たす ことに関して、子どもの視点、社会的弱者保護の視点で家族法を抜本的 に見直す必要が高まっている。欧米諸国ではそのような視点で家族法改 正に取り組んでおり、お隣の韓国でも、08年1月からは家族単位の戸 籍を個人単位の登録に踏み切った。世界的な水準に合わせるためにも、 ぜひ家族法の改正を実現させたい」と、日本の状況と世界の潮流につい て話しました。
 日弁連両性の平等に関する委員会委員長の金澄道子さんは「日弁連が 民法改正の意見書を出してから16年経った。氏名は人格権という憲法 上保障された権利に基づくもの。人は、その呼び名によってその人をイ メージして人格を形作っていく。名前があって初めてその人をイメージ できる。最高裁は今から20年も前に、氏名は人格権で憲法上の権利と 判決で述べている。多数が賛成しないからという理由で改正しないのは、 人権というものがわかっていないのではないかという懸念がある」と、 世論を理由にしている反対派を批判しました。

   集会の呼びかけ議員、大臣、政務官、NGOからも発言がありました。

集会アピール

参加議員は下記のとおりです。

 
【議員】(27人)
(民主)衆/小宮山洋子議員、郡和子議員、網屋信介議員、稲見哲男議員
山尾志桜里議員、泉健太議員、加藤学議員、松崎哲久議員、藤田一枝議員、
本多平直議員、山崎摩耶議員、中野渡詔子議員、小室寿明議員、
橋本勉議員議員、井戸まさえ議員、京野公子議員
(自民)参/南野知惠子議員
(公明)衆/大口善徳議員、古屋範子議員
参/浜四津敏子議員、松あきら議員
(社民)衆/阿部知子議員
参/福島みずほ議員
(共産)参/仁比聡平議員、井上哲士議員、紙智子議員
(無所属)参/川田龍平議員
   
【代理】(39人)
(民主)衆/長尾敬議員、櫛渕万里議員、川端達夫議員、石毛^子議員、
初鹿明博議員、湯原俊二議員、佐藤ゆうこ議員、橋本清仁議員、
中塚一宏議員、柿沼正明議員、土肥隆一議員、小林千代美議員、
阿知波吉信議員、相原史乃議員、山崎誠議員、西村智奈美議員、
玉木朝子議員、奥野総一郎議員、山本剛正議員、田中けいしゅう議員、
参/神本美恵子議員、林久美子議員、千葉景子議員、松岡徹議員、
岡崎トミ子議員、尾立源幸議員、円より子議員、相原久美子議員、
増子輝彦議員、中村哲冶議員、姫井由美子議員
(自民)衆/後藤田正純議員、野田聖子議員
参/丸川珠代議員、松下新平議員
(社民)衆/服部良一議員、重野安正議員
(みんなの党)衆/柿澤未途議員
(無所属)参/糸数慶子議員

注)秘書の参加は59人ですが、代理のみカウントし、同事務所で複数参加は1人としています。

20091031[vol:214]
【国会1】参議院本会議で円議員と近藤議員が共同参画について質問 10月30日

 参議院本会議で10月30日、鳩山首相の所信表明に対して、民主党 と社民党が男女共同参画に関する質問を行いました。
 民主党の円より子議員は、母子家庭の貧困の現状を訴え、鳩山政権が 打ち出した子ども手当てや高校の授業料無償化などに加え、ヒューマン ・ニューディール政策を役立てることを求めました。また、衆議院総選 挙で女性議員が54人と、初めて1割を超えたものの、国連開発計画が 発表したジェンダーエンパワーメント指数では109か国中57位、世 界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では134か国中75位と、 多くの開発途上国にも負けていると指摘しました。「世界経済フォーラ ムがこうした指数を算出しているのは、女性の能力を活用することが、 経済活動において不可欠であるという問題意識があるから」と述べたう えで、鳩山首相に対して政治や経済活動における女性の能力活用につい ての見解を求めました。
 これに対し鳩山首相は「ヒューマン・ニューディールの考え方は私た ちの目指す考え方。こういった観点から、子どもを産み育てることを様 々な理由であきらめることのない社会にしていくために子ども手当の創 設を考えた。少子化はいちばん大きなテーマであり、財政的な支援にと どまらず様々な支援を施していかねばならない。あらゆる面で男女共同 参画社会の実現に向け頑張っていかなければならない。ワーク・ライフ・ バランスや女性の能力開発への様々な支援、トップの意識開発も大変大 事だと思っている。衆参で96名の女性国会議員がおられ、これからの 日本を支えていくのは女性議員だという認識をいただき、ご活躍に期待 したい。女性の視点に立った施策を作っていきたい」と答弁しました。

   社民党の近藤正道議員は、国連女性差別撤廃委員会が今年8月に女性 差別解消に向けた日本政府の取り組みの遅れを厳しく指摘したことに言 及し、第3次男女共同参画基本計画に、女性の貧困撲滅や国連の勧告を どう反映するのか、福島みずほ男女共同参画担当大臣に質しました。
 これに対し福島大臣は、「第3次男女共同参画基本計画の策定に当た っては、第1に女性差別撤廃委員会の最終見解の内容を十分に検討し、 その結果を反映する。第2に生活困難を抱える男女についての提言を踏 まえ、女性、男性、子どもの貧困など、生活上の困難にもしっかり対応 したい」と答弁しました。

20091015[vol:213]
【国連1】ジェンダー・エンパワーメント指数日本は57位 10月5日

 国連開発計画(UNDP)は10月5日、移住をテーマにした20 09年版「人間開発報告書」を発表しました。
 世界人口のうち約10億人が移住者である今、報告書は移住を「人 間開発を大きく後押し、望ましい結果を生み出す原動力になる」と積 極的に認めるとともに、各国政府に移動の制限の緩和や移住先での待 遇改善を求めています。
 日本に関するデータでは、国民生活の豊かさを測る「人間開発指数 (HDI)」は182か国中10位で、08年の8位からやや後退し ました。1位はノルウェー、2位オーストラリア、3位アイスランド です。HDIに男女間格差を考慮して算出される「ジェンダー開発指 数(GDI)」は14位(08年12位)で、1位はオーストラリア、 2位ノルウェー、3位アイスランドの順になっています。
   女性の政治・経済分野への進出状況を測るジェンダー・エンパワー メント指数(GEM)は109か国中57位(08年58位)で、依 然として低位です。上位は1位スウェーデン、2位ノルウェー、3位 フィンランドと北欧が占めています。
 日本同様HDIが高位でGEMが50位以下の国は、韓国(HDI 26位―GEM61位)、カタール(同33位―88位)、マルタ( 37位―74位)のか日国ありますが、G8加盟の主要先進国にはあ りません。
 報告書は、移住者のうち特に女性が人身取引や搾取に被害に遭って いることを挙げています。
 国連女性差別撤廃委員会は、日本の移民女性への差別を懸念し、今 年8月に総括所見で「移民女性や社会的に弱い立場にある集団の女性 に特有のニーズに対応する、ジェンダーに配慮した政策やプログラム を導入するよう日本政府に要請する」と勧告しています。

20091003[vol:212]
【裁判】最高裁で婚外子の相続差別を違憲としない判断 9月30日

 嫡出でない子(婚外子)の法定相続分を嫡出である子の2分の1と 定めた民法900条ただし書きの合・違憲性が争われた訴訟の特別抗 告審で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は9月30日、判例ど おり違憲としない判断し、特別抗告を棄却しました。
 しかし、裁判長を含めた5人の裁判官のうち今井功裁判官は「法の 下の平等を定めた憲法に違反する」とする反対意見を付けています。 また、違憲とまではしなかった竹内行夫裁判官も「社会情勢の変化な どから、相続分に差を設けていることを正当化する根拠は失われつつ あり、現時点では、違憲の疑いが極めて強い。立法府が規定を改正す ることが強く望まれている」と補足意見を付け、立法府に対し法改正 を求めています。

 なお、03年、04年の同様の判決でも、当時裁判長だった島田仁 郎前最高裁長官が「規定は違憲の疑いが濃く、相続分を同等化する法 改正が速(裁判長)やかになされることを強く期待する」と立法府に 法改正を託したにもかかわらず、国会では法改正の議論がほとんど行 われていません。

 08年6月4日の国籍法違憲判決(裁判長・島田仁郎長官)の判決 理由では「夫婦共同生活の在り方を含む家族生活や親子関係に関する 意識も一様ではなくなってきており、今日では出生数に占める非嫡出 子(婚外子)の割合が増加するなど、家族生活や親子関係の実態も変 化し多様化してきている。(略)諸外国においては、非嫡出子(婚外 子)に対する法的な差別的取扱いを解消する方向にあることがうかが われ、我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び 児童の権利に関する条約にも、児童が出生によっていかなる差別も受 けないとする趣旨の規定が存する」と述べており、その後の婚外子相 続差別違憲判断への期待が高まっていましたが、今回も違憲判断を避 け、新政権下で法改正への期待が高まる中、立法府に法改正を託した といえます。

20090917[vol:211]
【GO1】鳩山新内閣に民法改正推進議員2人が入閣 9月16日

 民主党の鳩山由紀夫衆議院議員が9月16日、内閣総理大臣に指名さ れ、同日組閣を行いました。女性の閣僚としては、法務大臣に千葉景子 参議院議員が就任し、消費者行政、食品安全、少子化対策、男女共同参 画担当の内閣府特命大臣に福島みずほ参議院議員が就任しました。両大 臣は民法改正をはじめ男女平等に積極的に取り組んできたことから、男 女平等施策が進むものと期待されます。
 しかし、女性閣僚の割合が約11%と衆議院の女性割合と同様に低く、 政権交代で女性の数が増えることを期待していた女性たちからは落胆の 声も聞かれます。
 新閣僚記者会見で福島みずほ大臣は「女性や男性が子どもを育てるう えで苦労をしている社会を全力で変えていきたい。ワーク・ライフ・バランスの実現も必要。子ども手当も大事だが、保育園や学童クラブとい った子育てのためのインフラ整備をしっかりやっていく。男女平等を担 当することに、やりがいと誇りを感じている。女性の労働条件を変えて いくこと、意思決定の場への女性の登用、女性の貧困も解決をしていく。 先日、女性差別撤廃委員会から日本政府に対して勧告が出たので、その 一つ一つを精査して解決をしていく」と、女性政策について多岐にわた り抱負を語りました。
 千葉景子法務大臣は「人権侵害救済機関を設置し、個人通報制度を含 めた各人権条約の選択議定書の批准を進めていきたい。国際基準に基づ いて国際的に日本が積極的だと発信できたらと思う。マニフェストで約 束したことを、まずは早急に取り組んでいくというのが最優先課題であ る」と、決意を述べました。
 これまでの新閣僚記者会見は、新大臣の呼び込みの直後に行われてい たため、各省庁がペーパーを用意していましたが、脱官僚を掲げる民主 党政権になり、大臣サイドで準備をすることになったことから、会見は 深夜になりました。どの閣僚からもマニフェスト(政権公約)を着実に 実行することが強調され、記者からの質問も、政策の中身についての質 問が多かったことが印象的です。

*******************

 民主党は政策集で民法改正を掲げていますが、新閣僚の過去の推進の 言動についてご紹介します。

 86年に参議院議員に当選した千葉景子議員は、市民と一緒に法制局 と民法改正の検討を始めました。市民側で参加したのが福島瑞穂弁護士 (当時)でした。99年の民法改正案の発議(提出)より筆頭発議者と なり、歴代の法務大臣に対し、福島議員らと申し入れを行ってきました。 行政刷新、公務員制度改革担当の仙谷由人大臣は、政調会長時代、05 年3月のmネットの院内集会で、民主党を代表し「政権交代で、ぜひ、 民法改正を実現したい」と、あいさつしています。
 国土交通、沖北、防災担当の前原誠司大臣は、08年3月のmネット の院内集会に副代表として参加し、「一致結束してこの問題を早期に解 決しようということで頑張っており、党内の意見の乱れは全くない。夫 婦別姓は個人の自由の問題であり、憲法で保障されている基本的人権の 問題。多数を占める参議院で可決させ、それをプレッシャーにして衆議 院でも可決させたい」と発言しています。
参議院議員から初めて政調会長となった直嶋正行経済産業大臣は、今年 4月にも法案の発議者となっています。また、藤井裕久財務大臣は、衆議院で慎重派が結成された以降の04年にも法案提出の賛成者に、北澤 俊美防衛大臣も参議院で05年にも賛成者なっています。副総理でもあ る菅直人国家戦略担当大臣をはじめ、多くの新閣僚が民法改正に賛成で す。ただし、中井洽国家公安委員長は新進党時代、96年の法制審答申 直後に高市早苗議員らとともに慎重意見を展開しています。

20090905[vol:210]
【国会】衆院選で女性54人が当選 8月30日

 8月30日に投票が行われた衆議院議員選挙で、女性当選者数が過去 最多の54人に上りました。前回の43人に比べると11人上回りまし たが、全衆議院議員に占める女性の割合も11.25%と、依然として 低く、先進国の中でも極端に少ない状況は変わっていません。

 政党別当選者の女性割合と名前(敬称略)は次のとおりです。

●民主党 (40/308)
【選挙区】
(北海道5区)小林千代美 (宮城1区)郡 和子 (秋田3区)京野公子
(福島2区)太田和美 (新潟1区)西村智奈美 (新潟4区)菊田真紀子
(新潟5区)田中真紀子 (茨城6区)大泉博子 (埼玉7区)小宮山泰子
(東京6区)小宮山洋子 (東京10区)江端貴子 (東京12区)青木愛
(東京23区)櫛渕万里 (神奈川1区)中林美恵子 (神奈川3区)岡本英子
(愛知1区)佐藤夕子 (愛知7区)山尾志桜里 (兵庫1区)井戸正枝
(徳島2区)高井美穂 (福岡3区)藤田一枝 (長崎2区)福田衣里子
【比例区】
(北海道ブロック)中野博子、山崎摩耶、工藤仁美
(東北ブロック)田名部匡代、中野渡詔子、和嶋未希
(北信越ブロック)田中美絵子
(北関東ブロック)三宅雪子、玉木朝子
(東京ブロック)早川久美子、石毛^子
(南関東 ブロック)相原しの
(東海ブロック)笠原多見子、小林正枝、磯谷香代子
(近畿ブロック)小原舞、室井秀子、河上満栄
(四国ブロック)永江孝子

●自民党 (8/119)
【選挙区】
(群馬5区)小渕優子、(福井1区)稲田朋美
【比例区】
(北関東ブロック)永岡桂子
(東京ブロック)小池百合子
(東海ブロック)野田聖子
(近畿ブロック)近藤三津枝、高市早苗
(中国ブロック)阿部俊子

●公明党 (3/21)
【比例区】
(東京ブロック)高木美智代
(南関東ブロック)古屋範子
(近畿ブロック)池坊保子

●共産党 (1/9)
【比例区】
(東北ブロック)高橋千鶴子

●社民党 (2/7)
【選挙区】
(大阪10区)辻元清美
【比例区】
(南関東ブロック)阿部知子

20090820[vol:209]
【国連】女性差別撤廃委員会が日本報告書審査の総括所見 8月7日

 国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は8月7日、7月23日に行 った日本政府報告書審査について、総括所見を公表しました。  CEDAWは、日本政府に対し、民法改正(婚姻最低年齢・再婚禁止 期間・選択的夫婦別氏)と婚外子に対する差別的規定(民法及び戸籍法) の改正について即時に行動すること、並びに、雇用、政治的・公的活動 (教授職を含む)に重点を置いた、あらゆるレベルにおける意思決定の 地位への女性の参加を増やすための数値目標と予定表を伴う暫定的な特 別措置を採択することの2点について、2年以内に、詳細な書面による 情報を提供するよう求めました。  なお、総括所見の全文(英文)は下記アドレスをご覧ください。 http://www2.ohchr.org/english/bodies/cedaw/docs/co/CEDAW.C.JPN.CO.6.pdf

20090807[vol:208]
【国会】各党マニフェストの女性政策を分析

 8月30日に投開票される衆議院議員選挙に向けた各政党のマニフ ェスト(政権公約)が出そろいました。mネットは主な5政党の女性 政策を比較・分析しました。
 民法改正については、公明が「選択的夫婦別姓制度導入および離婚 後300日問題解決へ取り組む」、共産が「民法を改正し、選択的夫 婦別姓制度の実現、再婚禁止期間・婚姻最低年齢の見直し、婚外子差 別の禁止をすすめる」、社民が「選択的夫婦別姓など民法改正を実現」 とし、自民・民主は記述がありません。
 雇用の分野では、自民が「パートや有期契約労働者の正社員転換、 日雇派遣の原則禁止などの労働者派遣法改正」、民主が「雇用保険を 非正規労働者に拡大適用」、公明・共産・社民の3党は「同一価値労 働・同一賃金を実施」としています。
 一人親家庭の支援では、民主・共産・社民が「生活保護の母子加算 復活、父子家庭にも児童扶養手当」を掲げ、公明は「児童扶養手当の 対象を父子家庭や児童を扶養する祖父・祖母も含めるか見直す」とい う曖昧な言い方で、自民はありません。女性差別撤廃条約選択議定書 の批准を掲げるのは公明と共産だけです。
 社民には「行政の管理職・審議会、国や自治体の選挙でクオータ制 を導入」があり、共産には日本における男女の不平等を「世界でも異 常な女性への差別」と厳しい記述があるほかは、総じて女性の問題は 重視されていません。また、国民新党には女性政策が見当たりません。

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 mネットは、ジェンダー平等、特に民法改正の実現に向けた取り組 みを中心にお知らせしていますが、政権交代の可能性が高くなるにつ れて、大躍進が期待される民主党に対し、民法改正への取り組みにつ いて不安の声が多く寄せられています。

*この間の動きを民主党を中心にご紹介します。

 民主党は1997年に単独で民法改正案を衆議院に提出し、法務委 員会での審議も行われました。その翌年の98年に新民主党となって 以降は、野党共同で、衆・参両院に改正案を提出しています。
 01年まではほぼ全議員が法案の賛同者として名前を連ねていまし たが、2002年2月、当時の吉田公一議員や上田清司議員ら23人 が、民主党内に「夫婦別姓を慎重に考える会」を発足(山谷えり子議 員らも参画)させ、内閣・法務部会に対し、法案採決の際には党議拘 束を外すよう申し入れました。これを受け、当時の鳩山代表が同日の 記者会見で「全党的な議論が必要」と一定の理解を示して以降、法案の賛同者は極めて限定的となりました。
 参議院では04年の衆・参同日の提出の際には限定されたものの、 06年まではほぼ全員が賛同していました。ところが、07年の参議院選挙で野党が過半数を獲得して以降、再び賛同者が限定されました。 法案提出側が過半数となってから法案は委員会に付託されていません。 これは民主党だけの問題ではなく、共同提案している共産党、社民党 の問題でもあります。
 国民新党及び新党日本は、昨年、国籍法における婚外子差別を撤廃 する改正案に反対しています。
 一方、公明党は民法改正を公約に掲げながら、与党になってからは、 党内がまとまらない自民党に配慮して法案を提出していません。  また、自民党内にも夫婦別姓推進派の笹川尭総務会長、河村建夫官 房長官、野田聖子内消費者問題担当大臣など重要ポストの議員をはじめ、賛成派議員は少なくありませんが、党内の激しい反対派の声に押 され、推進派でまとめた例外案すら提出には至っていません。

 mネットは、提出された法案の提出者(発議者)と賛同者名を全て、 ウェブで公開しています。
http://www.ne.jp/asahi/m/net/jyoukyou.html

20090724[vol:207]
【国会】衆・参両院で民法改正案が廃案、請願も審査未了 7月21日

 民主・共産・社民の野党が衆・参両院で提出していた民法改正案が 7月21日、衆議院の解散により廃案となりました。
 衆議院では2006年6月8日に提出され、同年6月13日に法務 委員会に付託された後は、継続の手続きがとられていました。
 一方、参議院では2009年4月24日に民法改正案が提出されま したが、昨年同様、委員会に付託されることもなく廃案となりました。
 参議院では、法案提出勢力が過半数を超えており、法案の取り扱い を議論する議院運営委員会も委員長を含め民主党が過半数であること から、参議院での法案の取り扱いが注目されていました。
 4月10日の参議院法務委員会理事懇談会では、法案が付託されて いない状況が問題であることが、与野党から指摘されていました。
 なお、衆・参両院で提出されていた民法改正を求める請願もすべて 審査未了となっています。

********************

 7月15日付の朝日新聞に民主党のマニフェストで民法改正の明記 を見送る方針であるという記事が掲載されたことから、問い合わせや、 懸念の声がmネットに数多く寄せられました。
 民主党は、これまでもマニフェストに入れていませんでしたが、政 策集には盛り込まれ、法案を提出していることから、明記しないこと があまり問題とされませんでした。しかし、与野党逆転の参議院で、 昨年から民法改正案が委員会に付託されていない状況が続いたことも あり、懸念や批判の声が寄せられていました。
 そこで、mネットは、解散目前の7月15日に民主党の衆議院議員 全員に「民法改正に関する緊急アンケート」をお願いしました。
7月16日17時現在の回答は次のとおりです。(50音順 敬称略)

≪賛成≫
泉 健太枝野幸男逢坂誠二金田誠一
川端達夫郡 和子小宮山洋子近藤昭一
田島一成中川正春西村智奈美藤村 修
細川律夫松本 龍三日月大造柚木道義

≪反対≫ なし

≪回答なし≫
安住 淳赤松広隆池田元久石川知裕
石関貴史市村浩一郎岩國哲人内山 晃
小川淳也小沢一郎小沢鋭仁大串博志
大島 敦大畠章宏太田和美岡田克也
岡本充功奥村展三加藤公一川内博史
菅 直人吉良州司黄川田徹菊田真紀子
北神圭朗楠田大蔵玄葉光一郎小平忠正
小宮山泰子古賀一成後藤 斎近藤洋介
佐々木隆博笹木竜三階 猛 篠原 孝
下条みつ神風英男末松義規鈴木克昌
仙谷由人園田康博田嶋 要田名部匡代
田村謙治高井美穂高木義明高山智司
武正公一津村啓介筒井信隆寺田 学
土肥隆一中井 洽仲野博子長島昭久
長妻 昭長安 豊野田佳彦羽田 孜
鉢呂吉雄鳩山由紀夫原口一博伴野豊
平岡秀夫平野博文福田昭夫藤井裕久
古川元久古本伸一郎細野豪志馬淵澄夫
前原誠司牧 義夫松木謙公松野頼久
松原 仁松本大輔松本剛明三谷光男
三井辨雄村井宗明森本哲生山岡賢次
山口 壯山田正彦山井和則横光克彦
横山北斗吉田 泉笠 浩史和田隆志
鷲尾英一郎渡辺 周渡部恒三

20090711[vol:206]
【GO】法務省、離婚後300日規定のQ&Aをホームページで解説

 法務省は、民法772条(嫡出推定制度)についての解説をホーム ページに掲載しました。
 これは、大きな社会問題となった「離婚後300日規定」や「民法 772条による無戸籍児」について正しく理解をされるように、民事 局がQ&A形式にして分かりやすく解説したものです。
 主な内容は、民法772条とはどんな規定か、離婚後300日以内 に生まれた子どもの手続きはどのようにしたらいいのか、離婚後の懐 胎・婚姻中の(夫以外の子どもの)懐胎の場合にどうすればいいか、 調停や裁判手続きの仕方や前夫が協力しないとどうなるのか、などで す。また、子どもの出生届を出さない場合に子どもが福祉上のサービ ス等を受けられるか、児童手当・住民サービス・旅券はそれぞれどの ような取り扱いになるかな、ども取り上げられています。
詳しくは法務省のホームページをご覧ください。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji175.html

20090627[vol:205]
【国会1】衆・参の民法改正法案の行方について

 選択的夫婦別姓制度導入や婚外子相続差別撤廃を盛り込んだ民法改正 案は、衆・参両院で廃案となる見通しです。
 衆議院では、2006年6月8日に民主・共産・社民の野党3党から 提出された法案が、今国会まで継続となっていましたが、会期延長され た現時点でも審議入りの予定はなく、解散と同時に廃案になる見込みで す。
 一方、参議院では、今年4月24日に民主・共産・社民の野党3党か ら改正案が提出されていますが、法務委員会に付託されていない状況で す。
 mネットの取材に対し民主党参議院国対委員長の簗瀬進議員事務所は 「付託されないのは党内意見がまとまらないことや優先順位が低いから。 党全体の方向としては賛成だが、異論のある方もいて、今国会での審議 は難しい」と回答がありました。改正に意欲的な社民党の福島みずほ参 議院議員は、「民法改正は多くの女性たちが長年待ち望んでいる男女平 等の重要なテーマだ。せっかく与野党が逆転しているのだから早く審議 入りし、可決するよう民主党に働きかけたい」と述べました。
   参議院では、昨年も民法改正が4月22日に提出され、委員会へ付託 されずに廃案となっています。法案を提出しておきながら、その後の手 続きを行わない民主党には批判の声が上がっています。

20090611[vol:204]
【GO1】最高裁、裁判員候補者名を性犯罪被害者に開示あり得ると通知 6月5日

 最高裁は6月5日、性犯罪被害者のプライバシーを保護するために、 裁判員候補者名簿の開示を受けた検察官が性犯罪被害者と裁判員候補者 とに関係があるかどうか判断するための手段として、裁判員候補者の氏 名を先に被害者に伝えることもあり得るとする文書を、地裁に通知しま した。
 これは、強姦や強制わいせつ事件などの性犯罪が裁判員裁判の対象と なっていることから、性犯罪被害者のプライバシーが保護されないので はないかという不安の声に対し、最高裁が対応策を示したものです。

20090529[vol:203]
【GO1】総務省、DV救済施策が不十分と関係府省に改善勧告 5月26日

 総務省は5月26日、ドメスティックバイオレンス(DV)防止策の 効果を初めて調べた「配偶者からの暴力防止に関する政策評価<評価の 結果及び勧告>」を公表しました。
 DV防止に関する政策が総体としてどの程度効果を上げているか、関 係6府省をはじめ裁判所や都道府県、自治体、学校等、関係団体などを 対象に調査したものです。
 国や自治体の体制の整備が進んだことから、配偶者暴力相談支援セン ターは、02年度の87施設から08年度の180施設に倍増し、相談 件数も02年67,252件から07年94,273件と1.4倍に増 加しました。また、被害者の一時保護委託施設は03年120施設から 07年261施設と2.2倍となり、一時保護件数も02年3,974 件から07年4,549件に増加するなど、効果があったことを評価し ています。
 一方で、調査対象の27都道府県のうち通報や相談件数を内閣府に報 告していない6都道府県が明らかになりました。また、広報啓発や医療 機関への研修が未実施だった都道府県もありました。さらに、被害者の保護、就業促進、住宅確保、子どもの就学などについての支援措置が不 十分な点などもみられ、内閣府、総務省、法務省、文部科学省、厚生労 働省、国土交通省に対し改善の勧告が行われました。
 詳しくは総務省のウェブをご覧ください。
 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/13458.html 

20090517[vol:202]
【国会1】開発と女性議員連盟が女性への暴力をテーマに勉強会を開催 5月14日

 衆・参の女性国会議員で構成する開発と女性議員連盟(南野知惠子会 長)が、女性に対する暴力と国際協力をテーマに勉強会を開催しました。
 インドのNGOのナンディーニ・ラオさんが、インドにおけるDVの 現状と課題について、日本で見られる性暴力やDVのほか持参金(ダウ リー)が少ないために女性が殺されてしまうケースや亡き夫の火葬で妻 が殉死させられる「サティ」というインド特有の暴力が現在でも存在す ると報告しました。
 開発政策・ジェンダー専門家の大崎麻子さんは、人権の原則と基準に 基づき開発を行うという人間中心の開発の定義が国際社会の考え方の中 心であることを強調しました。大崎さんは、「日本がODA政策、予算 配分、事業のジェンダー主流化を徹底することやジェンダー暴力対策へ さらなる支援をすることが重要。2008年の国連安保理で紛争下での 性暴力の防止に関する決議1820号が採択された。日本が共同発案国 にもかかわらず日本では知られていない」と指摘しました。
 弁護士でヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子さんは、女性に 対する暴力プロジェクトのインドの調査報告で「ダウリーで8095件 検挙された。女児殺害や女児とわかって堕胎するために、男女の比率が 1000対927となっている。DV防止法など法律上暴力が禁止され ているのに実際には暴力は行われている」と指摘しました。

20090430[vol:201]
【国会1】野党が民法改正案を提出 4月24日

 参議院の民主・共産・社民の野党3党は4月24日、民法改正案を提 出しました。
 改正の主な内容は、選択的夫婦別姓制度の導入、婚外子相続差別の撤 廃、再婚禁止期間を100日に短縮、婚姻年齢を男女とも18歳にする などです。
 参議院では野党が過半数を占めているため、可決することは可能です。 しかし、衆議院総選挙を前に与野党の攻防が激しくなっていることや、 他の法案との関連で審議入りするかどうかは不透明な状況です。昨年は 初めて過半数の野党が法案を提出したことで、参議院で可決するのでは ないかと期待されましたが、法務委員会に付託されないまま廃案となっ ていました。

【発議者】
 千葉景子 仁比聡平 福島みずほ 神本美恵子 相原久美子
 大河原雅子 直嶋正行 福山哲郎 紙 智子 近藤正道

【賛成者】
 今野 東 島田智哉子 谷岡郁子 那谷屋正義 林 久美子
 前川清成 牧山ひろえ 松浦大悟 松野信夫  蓮 舫
 井上 哲  又市征治 糸数慶子 川田龍平

20090416[vol:200]
【GO1】男女共同参画局がCEDAWからの質問事項に対する回答を公開 4月16日

 内閣府男女共同参画局は4月16日、第6回報告審査に関する女性差 別撤廃委員会(CEDAW)からの質問事項に対する政府回答を公開し ました。
 CEDAWの質問への政府回答は多岐にわたりますが、「女性に対し て差別的な民法の規定を廃止するために政府が取った具体的な行動」に ついては次のとおりです。
 政府回答では、1996年2月に法制審議会が民法改正案要綱(婚姻 適齢を男女共に満18歳、再婚禁止期間を100日に短縮、選択的夫婦 別氏制度を導入)を答申したことを挙げています。また、第2次男女共 同参画基本計画で、国民の議論が深まるよう引き続き努めることを明記 したことを挙げています。さらに、2006年12月に世論調査を実施 しつつ、婚姻及び離婚制度についての検討を行っている、ホームページ への掲載等を通じ、広く国民にその内容を公開し、国民の議論が深まる よう引き続き努めている、ことを強調しています。
 mネットは、政府の世論調査方法に問題があること、法改正を行わな い理由に世論の動向を強調していること、婚外子相続差別撤廃を含め民 法改正の具体的施策が行われていないことを内容とするNGOレポート を提出する予定です。
 詳しくは男女共同参画局のウェブサイトをご覧ください。
 http://www.gender.go.jp/teppai/6th_res_j.pdf

20090403[vol:199]
【司法】離婚後300日以内出生子に関する07年08年の認知調停件数

 最高裁判所は3月24日、公明党の大口善徳衆議院議員の求めに応じ、 「離婚後300日以内に生まれた子に関する認知調停事件の終局区分別 事件件数」<8高裁所在地の(所支部・出張所を含む)家庭裁判所合計> を明らかにしました。
 07年の総数33件のうち、(当事者が合意した内容について調停の 成立に代える)23条審判で確定したものが24件、取り下げや不成立 などが9件でした。08年は総数70件のうち23条審判で確定したも のが53件、取り下げや不成立などが17件で、総数、確定数ともに倍 増しています。これは、昨年6月に最高裁が「裁判手続の案内」を改定 し、ウェブ上で認知調停等の情報提供を開始したことによるものです。

20090319[vol:198]
【裁判】東京地裁、七生養護の性教育に不当介入の都議らに賠償命令 3月12日

 都立七生養護学校の元教員などが、性教育実践への不当な介入により 処分を受けたとして、3人の都議や都、一部マスコミに損害賠償などを 求めていた訴訟で、東京地裁(矢尾渉裁判長)は3月12日、210万 円の支払いを命じました。
 これは、2003年7月の都議会で民主党の土屋敬之議員が同校の教 育実践を「過激で不適切な性教育」と指摘したことが発端となりました。 直後に、土屋都議が自民党の田代博嗣議員や古賀俊昭議員とともに同校 を視察し、都教委に指示して人形教材や授業記録ビデオなどを持ち去り、 性教育に携わった教員が厳重注意を受けたとされる事件です。
 判決では、政治家である都議らが政治的な信条に基づき、性教育に介 入・干渉したことを「不当な支配」にあたるとし、都教委が「不当な支 配」から教員を擁護しなかったことを保護義務違反と認定しました。さ らに、事前の指導や研修などをしないまま教員を厳重注意したのは裁量 権の乱用に当たると判断しました。
 なお、原告側は3月18日、3人の都議に対し、速やかな賠償金の支 払い、都民に対する違法行為への謝罪、教育行政を扱う際の慎重な調査 に基づく言動などの申し入れ書を送りました。
 また、都の教育委員長や教育長に対しては、控訴しないこと、厳重注 意を撤回し原告らに謝罪すること、没収した教材を学校現場で使用でき るようにすること、憲法・教育基本法を遵守し教育の自由を保障するこ となどを盛り込んだ申し入れ書を送りました。被告側は控訴するかどう か検討することにしています。

20090306[vol:197]
【国会1】野党議員が女性自衛官の任用継続拒否問題で防衛省に申し入れ 3月3日

 自衛隊での性暴力被害と退職強要について提訴した現職の女性自衛官 が任用継続を拒否された問題で、民主・共産・社民の野党議員が防衛省 の渡部厚人事教育局長に対し申し入れを行いました。
 航空自衛隊空士長の女性自衛官は、2007年に上司から性暴力を受 けたことや退職を強要されたことについて国家賠償を求める裁判を起こし、継続中です。今年4回目の任用となる予定でしたが、1月に防衛省 から任用継続を拒否すると通知されていました。任用拒否は事実上の解 雇にあたり、5年間に確認されているのはわずか1件です。
 申し入れ文書は、衆・参の30名の議員が名前を連ね、本人が納得す る説明を行うことや任用継続の拒否が裁判を理由としたものであるなら ば直ちに撤回することを求めています。
 なお、防衛省は「個人の問題なので明らかにできない」としています。

20090221[vol:196]
【GO】内閣府が第53回CSWに向けた意見交換会を開催 2月19日

 内閣府が2月19日、第53回国連婦人の地位委員会(CSW)に 向けた意見交換会を行いました。
 3月2日から3月13日までニューヨークの国連本部で、「HIV /AIDSのケア提供を含む男女間の平等な責任分担」や「あらゆる レベルの意思決定過程における女性と男性の平等な参画」を主なテー マにCSWが開催されることから、これに関する内閣府、外務省、厚 生労働省、文部科学省の取り組みの説明が行われました。
 NGOからは事前に「男性の育児休暇取得率を10%に引き上げる ことが可能か」「DV被害の女性たちへの無理解があり、DVに限らずマイノリティの立場に立った特別な支援が、政策や制度に徹底され ていないことが大きな問題。児童性虐待をケアする専門家もいない。 特別なニーズにこたえるための専門職の養成に早急に取り組んでほし い」などの意見が出されました。
 板東久美子男女共同参画局長からは、監視・影響調査を特に生活困 窮者に光を当てて進めること、DVについては課題整理が必要である こと、男女共同参画基本計画(第3次)の作業を今年4月から始める こと、NGO側から弁護士の大谷美紀子さんが、政府代表団にオブザ ーバーとして参加する予定であることが報告されました。

20090205[vol:195]
【国会1】公明党が民法772条や改正国籍法に関するヒアリング 2月6日

 公明党は2月6日、法務部会(部会長・大口善徳衆議院議員)を開き、 民法772条に関する認知調停事件の取り扱いや、改正国籍法による国 籍取得制度の運用について、最高裁や法務省よりヒアリングを行いまし た。
 民法772条に関する認知調停については、昨年6月より最高裁のウ ェブサイトで周知し、裁判所において研修することになっていますが、 家裁によって対応が全く違っていると指摘されたことから、最高裁に適 切な対応を求めました。これに対し最高裁は、個別の事案についてはコ メントできないとしながらも、研修状況について実態調査を行い、1週 間以内に報告すると答えました。
 また、改正国籍法の附帯決議に偽装認知防止策が具体的に盛り込まれ たことを受けて、届出の際に5つの添付書類を求めるなど、これまで以 上に対応が硬直化していることから、柔軟な対応を求めました。これに 対して法務省は、柔軟な運用については今後検討しますと答えました。
 岡山県で違憲訴訟が行われていることについて大口議員は、「懐胎の 可能性のないものまで772条を適用というのはおかしいと思う。与党 PTでやりたい」と答えました。

20090123[vol:194]
【国会】参議院予算委員会で福島議員が個人通報制度について質問 1月21日

 参議院予算委員会で1月21日、社民党の福島みずほ議員が、国連 女性差別撤廃 条約における個人通報制度について批准するべきとした うえで大臣の見解を質しま した。
   中曽根弘文外務大臣は「個人通報制度の受入れの是非については、研 究会等を開 催して慎重に、また真剣に検討しているところです」と、 これまでの主張を繰り返 しました。
 なお、女性差別撤廃条約における個人通報制度や調査制度を定めた 選択議定書の 批准に向けた取り組みについては、これまでの国会答弁 を見ても前進が期待できな いことから、30を超える全国のNGOが ネットワークをつくり、新たな取り組み を行うことにしています。

20090109[vol:193]
【国連1】UNDPがジェンダー・エンパワーメント指数を発表日本は58位に後退 12月18日

 1月1日の改正国籍法施行に伴い、昨年末から各法務局で認知による 国籍取得申請の予約が行われていますが、偽装認知に罰則規定が新設さ れたことに加え、偽装認知防止策の附帯決議が盛り込まれたことなどか ら、法務局によっては過剰に厳しく対応していることがわかりました。

問題対応の一部をご紹介します。
◆(偽装認知でないことがわかる)裁判認知が確定し、戸籍にその旨が 記載されているにもかかわらず、さらに法務局から「中身の確認のため」 という理由で判決文を求められた。その際「今回の法改正で他のケース (婚姻)でも詳しい申述書やインタビューが必要になった」と言われた。

◆「裁判認知ならそれほど難しくないが、任意の認知の場合、1度どこ ろか何回も足を運んでもらう必要がある」と言われた。

◆「任意認知で父からの申述書がもらえない場合、受理できないことに なる」と言われた。

 そこで、寄せられた問題対応について公明党の大口善徳衆議院議員の 協力を得て法務省民事局から回答を得ました。

Q:裁判認知が確定し、戸籍にその旨が記載されている場合、添付書類 として認知の判決文や確定証明(その取得が困難な場合には認知の記載 事項証明書)は必要か。
A:添付書類である戸籍等の謄本または全部事項証明書から認知の裁判 がされたことが確認できる場合、必要ありません。

Q:任意認知の場合、何回も法務局に足を運ぶ必要があるか。
A:任意認知という理由だけで一律に法務局にお越しいただくことには なりませんが、届け出後に国籍取得の要件を満たしているかをさらに確 認すべき事項があるような場合、再度お越しいただくことがあります。

Q:任意認知で父からの申述書がもらえない場合、届け出はどうなるのか。
A:父の申述書を添付できない場合、その理由を記載した書類(理由書) を提出していただければ届け出を受理することとしています。届け出を 受理するかどうかは、その他の添付書類も確認したうえで判断すること になりますが、理由書が提出されている場合、申述書がないことのみを もって不受理とすることはありません。

 このような事例を踏まえて法務省は、法務局によって取り扱いが異な ることのないよう全国の法務局に周知するとのことです。
 なお、法務省は国籍法改正に伴う「認知された子の国籍取得の届出」 を1月7日に更新しました。
http://www.moj.go.jp/ONLINE/NATIONALITY/6-1.html

20081226[vol:192]
【国連1】UNDPがジェンダー・エンパワーメント指数を発表日本は58位に後退 12月18日

 国連開発計画(UNDP)は12月18日、「人間開発指数2008年版」 の最新統計をオンライン上で発表しました。日本に関する主なデータ は下記のとおりです。
 国民生活の豊かさを示す「人間開発指数(HDI)」は179か国中8位 で、07年と同じ結果となりました。1位はアイスランドで、ノルウェー、 カナダと続き、最下位はシエラレオネでした。HDIに男女間格差を考 慮して算出される「ジェンダー開発指数(GDI)」は157か国中12位 (07年13位)で、上位は1位からアイスランド、オーストラリア、ノル ウェーとなっています。
 女性の政治・経済分野への進出状況を測る「ジェンダー・エンパワー メント指数(GEM)」は108か国中58位で、07年の54位からさらに後 退しました。1位がスウェーデン、2位ノルウェー、3位フィンランドと 北欧が上位を占めました。日本の順位前後を見ると、57位ベネズエラ、 59位キルギス、60位ドミニカ共和国となっています。
 この統計は、06年のデータで作成したもので、現在の経済危機の影響 は反映されていません。英語版を次のサイトで見ることができます。
http://hdr.undp.org/en/mediacentre/news/title,15493,en.html
 なお、この統計は基礎データの変更を説明するために毎年発表される 「人間開発報告書」とは別に発表されたものです。報告書は、移住に関 する国内外の課題をテーマに来年まとめられるということです。

20081212[vol:191]
【国会1】参議院本会議で国籍法改正案が可決、成立 12月5日

 参議院本会議で12月5日、国籍法改正案が採決され、賛成220票、反 対9票で可決、成立しました。
 今回の改正は、日本人男性と外国籍女性の婚外子の国籍取得について 両親の婚姻を要件としている国籍法から婚姻要件を削除し、さらに偽装 認知の防止策として罰則規定を新設するものです。
 衆議院法務委員会では、慎重審議を求める意見が多かったものの1日 の審議で可決しました。
 参議院では慎重審議を主張する議員に配慮し、審議を2日とし参考人 質疑を行い27日に採決することが決まっていましたが、反対派の合意が 得られず、12月4日に改正案と附帯決議の採決が延期されました。偽装 認知の防止策を具体的に盛り込んだ附帯決議には共産党と社民党が反対 しました。

  参議院本会議でこの法案に反対した9議員は下記のとおりです。
民主党との統一会派
 (国民新党)亀井亜紀子議員、亀井郁夫議員、自見庄三郎議員、
       外山斎議員、長谷川憲正議員
 (新党日本)田中康夫議員
 (無所属) 森田高議員
無所属   川田龍平議員、田中直紀議員

 採決の際に退席した3議員は下記のとおりです。
自民党   有村治子議員、衛藤晟一議員
無所属   山東昭子議員

 なお、mネットは、国籍法改正案の成立を受けて声明を出しました。
 http://www.ne.jp/asahi/m/net/seimei.html

   審議の経緯については、12月5日発売の週刊金曜日で報告しています。
 http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=419

20081129[vol:190]
【国会1】参議院で国籍法改正案を審議

 国籍法改正案については、参議院で11月25日と27日に審議が行われ ており、来週にも可決成立する見込みですが、附帯決議について合意 が得られていません。参議院での審議内容や経過、附帯決議につきま しては次号で詳しく報告いたします。

20081114[vol:189]
【国際】男女格差の国際比較で日本は98位に後退 11月12日

 世界の政財界の指導者が集まる「ダボス会議」を主催する「世界経 済フォーラム(WEF)」(本部・ジュネーブ)が11月12日、ジェン ダー・ギャップ(男女格差)などの報告書を公表し、日本は130か国中 98位と、昨年の128か国中91位からさらに後退しました。男女格差が最 も少なかったのはノルウェーで、フィンランド、スウェーデンと続き、 最下位はイエメンでした。アジアでの最高は6位のフィリピンで、スリ ランカが12位、中国が57位、韓国が108位となっています。
 WEFは2005年5月、初めて経済、教育、健康、政治の4分野で男女 格差を指数化し「ジェンダーギャップ指数」としてランキングを公表し ました。日本は58か国中38位と下位に位置。2006年は調査対象国が増 えたこともあり115か国中79位、2007年は128か国中91位と後退してい ました。4分野で特に低いのが、政治(107位)と経済(102位)でした。

20081023[vol:188]
【国会1】自民党法務部会が国籍法改正案を了承 10月17日

 自民党法務部会(部会長:桜井郁三衆議院議員)は10月17日、日本人男性と外国籍女性との間に生まれた子どもの国籍取得について、両親 の婚姻を要件としている国籍法第3条から結婚要件を外す法改正を了承 しました。これは、6月4日の最高裁の国籍法違憲判決を受け、法改正を 検討していた法務省から示されたものです。
 改正の主な内容は、婚姻要件の削除のほか、偽装認知の防止策として、 虚偽の届け出について1年以下の懲役または20万円以下の罰金を科す罰 則規定を新設するというものです。このほか、経過措置として、施行日までに国籍取得の届け出をしていた者は、施行日から3年以内に再度届け出ることによって国籍取得が可能となります(最高裁判決以降は再度 の届け出は不要)。届け出をしていなくても2003年1月1日以降に20歳 に達した者は施行日から3年以内に届け出ることによって国籍取得を可 能としています。施行日は公布の日から20日を経過した日となっていま す。
 なお、公明党も21日の法務部会(部会長:大口善徳衆議院議員)で了 承しており、与党は今国会中に法案提出を目指すとしています。

20081010[vol:187]
【国会1】参院本会議の代表質問で浜四津議員と坂本議員が女性政策について質問 10月3日

 参議院本会議で行われた麻生太郎首相の所信表明に対する代表質問 で、公明党の浜四津敏子議員と自民党の坂本由紀子議員が10月3日、 女性政策について質問しました。
 浜四津議員は、「妊娠、出産を機に仕事を辞めた女性の多くが再就 職を希望している。子育て中の女性の仕事探しをトータルに応援する マザーズハローワークを倍増する必要があるのではないか」と質しま した。麻生首相は「マザーズハローワークの拡充については、今回の 補正予算に盛り込んでおり、一日も早い補正予算の成立をお願いした い」と答弁しました。
 坂本由紀子議員は「社会の半分は女性が支えている。子育て、介護 のほか、地域活動、雇用や起業など、女性は様々な活動をしている。 人口減少社会に突入する日本にとって、女性の力なくして国家、社会 の運営は成り立たない。総理は女性の力をどのように評価しているの か」と見解を求めました。これについて麻生首相は「女性が意欲を持 ち、あらゆる分野でその個性や能力を十分に発揮することが今後の日 本にとって不可欠である。このため、第二次男女共同参画基本計画に 基づき、女性が活躍をしやすい環境の整備などに積極的に取り組んで いく」と答えました。

20080926[vol:186]
【GO1】麻生新内閣に女性の閣僚は2人、会見でセクハラ質問 9月24日

 自民党の麻生太郎衆議院議員が9月24日、内閣総理大臣に指名され、 同日組閣を行いました。女性の閣僚としては、消費者行政、食品安全担 当の野田聖子内閣府特命大臣が再任し、少子化対策、男女共同参画担当 として小渕優子衆議院議員が初入閣しました。
 新閣僚記者会見では、民法改正、男女共同参画に関する言及はありま せんでした。
 少子化対策については、民主党の子ども手当の26,000円について意見 を求められた際、小渕大臣が「しっかりとした財政の裏付けがなくては そうした数字はなかなか出ないもの。少子化対策については経済的支援 はやらなければならないが、それ以上に社会環境の整備、労働環境の整 備、少子化に対する意識、理解を深める対策も必要と思っている」と答 えました。
 このあと、小渕大臣に対し記者から「昨年、お子さまを出産されて、 今日大臣になられてお仕事もお忙しくなる中で、どのように子育てに対 応されるのか。少子化相として子づくりについて、お忙しい中どのよう に対応されるのか伺いたい」と、極めて個人的なセクハラともとれる質 問がありました。「これからの子づくりですか」と聞き返した小渕大臣 に、この記者は「ご予定は」と再度答えを促しました。小渕大臣は「そ れどころではなくなってしまいました」と恥ずかしそうに答えましたが、 男女共同参画担当大臣としてはその資質が問われる対応です。
   なお、mネットは、この質問をした記者ならびに読売新聞社宛てに、 本日、抗議文を送りました。

20080912[vol:185]
【GO1】無戸籍の子どもと女性にパスポート発給9月2日

 外務省は9月2日、民法772条の規定により無戸籍となった東京都の 子どもと大阪府の女性に、パスポートを発給することを決めました。
 外務省は昨年6月、「法律上の姓」の記載を条件に無戸籍でも発給で きるよう旅券法施行規則を改正ましたが、実際に発給されるのは初め てです。
申請していた子どもと女性は、それぞれの事情から、ともに母親の 前夫の姓ではなく、日常使用している姓で記載されました。子どもは 母親と前夫の婚姻中の姓が母親の姓であったため、子どもの「法律上 の姓」は、母親の姓です。また、申請していた女性は自分と子どもの 2代にわたる無戸籍であることがわかり、救済が図られ無戸籍のまま 夫との婚姻が認められました。女性の「法律上の姓」は夫の姓となり ます。
改正は、無戸籍の高校生が海外の修学旅行に行けるよう求めたこと をきっかけに行われました。パスポートに記載されるのは母の前夫の 姓であることから、日常使用している姓での発給を求めていました。 麻生太郎外務大臣(当時)から、日常使用している姓を通称とし併記 する提案もありましたが、母の前夫の姓も記載されることから、高校 生側がこれを拒否したため、無戸籍でも通称が可能であることは周知 されませんでした。
 なお、子どもは8日に交付され、女性は12日に交付されます。

20080821[vol:184]
【GO1】総務省が無戸籍の子どもの住民票作成を34件報告 8月21日

 総務省は8月21日、全国の自治体が7月7日から7月31日の間に、無 戸籍の子どもの住民票を34件作成していたことを明らかにしました。 これは、7月7日に総務省の通知により「出生届の提出に至らない子に 係る住民票について」の考え方が示されたことを受け、各自治体が作 成したもので、21日の公明党法務部会(部会長・大口善徳衆議院議員) で総務省が報告しました。
 報告を受けた大口部会長は「国民であれば当然認められる権利。数は 少ないが一歩前進。今秋には772条の与党PTを立ち上げ、さらに救済 を進めたい」と話しました。

 *34件の都道府県の内訳は次のとおり
 愛知県5件、大阪府5件、兵庫県4件、埼玉県3件、東京都3件、
 岐阜県2件、福岡県2件、宮城県1件、福島県1件、群馬県1件、
 神奈川県1件、三重県1件、京都府1件、熊本県1件、
 その他3件(3県は非公開)


20080808[vol:183]
【国会】民主党の枝野幸男議員にインタビュー

 1993年に衆議院議員となり、現在5期目の民主党の枝野幸男議員にイ ンタビューしました。
 枝野議員は民法改正推進派として知られ、民法改正案の筆頭提出者と して何度も法案を提出。国会で初めて民法772条の問題を取り上げ、現 在は党の「民法772条検討チーム」座長でもあります。

 Q: 参議院で民法改正案は廃案となりました。民主党は積極的 ではなかったのでは?
 A: 参議院で実現の可能性が高まったので、なんとか実現まで たどり着こうと慎重さが強まっている側面があります。参議院だけ通すのは簡単だけれども、自民党が全体として硬直化して、自民党の賛成派 が身動きできなければ、かえって実現できません。

 Q: 民主党には民法改正に否定的な方もいらっしゃるようですが。
 A: 参議院で採決すれば若干の乱れは否定できません。党の中に 違う意見の人がいますが、党の体制としては推進ですから、民主党がブレーキ になることはありません。あえて言えば、民主党の一部が反対してもいいから、 自民党の一部が賛成できるような国会の議論と党議拘束を外すことが一番の早道だと思います。

 Q: 与党の中の賛成派に対しての枝野さんたちの働きかけに期待する声もあります。
 A: 公明党や、自民党の中の考え方の近い人たちがいかに動きやすくなるか、 ということだと思います。これは、長い間の大きな課題なので、民主党が存在感を示すより、 少し先を見ながら、ゴールにたどり着く狭い道を模索するほうが意義があると思います。 参議院選挙で変わったパワーバランスに基づいて、そろそろ水面下の動きから、前に進んで いるということが外に見えるようにして、次の総選挙後に大きなポイントを作りたいと思います。

20080724[vol:182]
【国会】法務省が違憲判断された国籍法の改正案を提示 7月17日

 法務省は7月17日、日本人男性と外国籍女性との間に生まれた子ども の国籍取得について、両親の婚姻を要件としている国籍法第3条から結 婚要件を外す改正案を示しました。これは、6月4日の最高裁の国籍法 違憲判決を受け、法改正を検討していた法務省が、公明党の国籍法第3 条問題に関するプロジェクトチーム(座長・大口善徳衆議院議員)に説 明したものです。
 また、法務省は国籍取得の年限の20歳を超える無国籍の子どもに対し、 改正の施行後3年間の猶予措置を設ける考えを明らかにしました。
 なお、改正案は秋の臨時国会に提出される見通しです。

20080711[vol:181]
【国会】公明党の大口善徳議員にインタビュー

 1993年に衆議院議員となり現在4期目の公明党の大口善徳議員にイン タビューしました。
 弁護士でもある大口議員は、公明党の法務部会長、民法772条問題対 策プロジェクトチーム副座長として民法772条の問題にも取り組んでい ます。

Q: 民法772条問題では公明党がいち早くプPTを立ち上げ、取り組まれました。
A: 公明党は、平和、福祉、人権の党であり、弱い立場の方に光を当て、 守っていくことを党の理念としています。私自身も無戸籍のお子さんたち の顔を見て、不合理な制約を除去しなければいけないと強く思いました。 与党で議員立法まで作ったことを重く見て、法務省も通達を出すところ まで前進しました。
Q: 残念ながら議員立法の提出には至りませんでしたが、今後はどうなる のでしょうか?
A: 当事者が望むのは現実的に事が動くということで、厚労省、法務省、 外務省、最高裁、総務省が実務を変えたことはとても大きいです。離 婚後懐胎は通達で道を開いたけれども、さらに戸籍窓口の対応で出生 届が認められるには議員立法が必要です。自民党のPTの人事が決ま ったら進めたいと思います。
Q: 夫婦別姓や婚外子相続差別などの民法改正についてはいかがでしょう か?
A: 公明党は7年前に改正案を提出しました。国籍法違憲判決を出した最 高裁長官は婚外子相続差別問題に理解があります。婚外子相続差別が 憲法14条に違反するという方向性が強くなっています。国民の理解も 進んでいると思います。まず、違憲判決が出た国籍法の改正を与党の 責任でやらなければいけません。そして772条の問題。民法改正につ いては公明党だけではなかなか進まないので、与党で理解していただ けるように努力していきます。

20080627[vol:180]
【GO】増田総務大臣が無戸籍の子どもの住民票作成指示を公表 6月27日

 増田寛也総務大臣は、6月27日の閣議後の記者会見で、無戸籍の子ど もの住民票について早急に調整するよう指示したことを明らかにしまし た。
 増田大臣は「離婚後300日規定など、民法772条の嫡出推定規定の関係 で、出生届を出したくても現実には出さないで、結果として住民票が作 成されないケースがある。こうした問題について人道的な見地から対応 が必要ではないか。7月の早い時期に通知等を発出したい」と述べ、次の 3の条件をすべて満たす場合には市町村の判断で作成できるという見解を 示しました。
@出生証明等により母親がはっきりし日本国籍を有すること等が明らかなこと
A民法772条の関係で出生届を出せないこと
B裁判や調停を進めていていずれ戸籍を作成される可能性が高いこと

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 住民基本台帳制度は「住民の利便を増進」するための制度であり自治事 務です。同施行令には「届け出がないことを知ったときは、当該記載等を すべき事実を確認して、職権で、(略)住民票の記載等をしなければなら ない」と明記しています。戸籍と住民票は目的規定が違い、一致する必然 性はありません。
 しかし、1989年に旧自治省(現総務省)から「出生届を受理してから住民票をつくる」という見解が示されて以来、多くの自治体が戸籍のない子 どもの住民票を作成していませんでした。
 昨年、民法772条の規定よる無戸籍の問題が取り上げられたこともあり、 一部自治体では職権で住民票を作成していました。さらに法務省、厚生労 働省、外務省、最高裁が対策を講じました。しかし、総務省は対策を講じ ていませんでした。そこで、当事者家族や支援団体から住民票作成を求め る声が高まっていました。また、自治体関係者からは総務省の新たな見解 を示してほしいとの声も上がっていました。

20080620[vol:179]
【国会1】参議院で民法改正案が廃案、衆議院は継続、請願は不採択 6月20日

 参議院の民主・共産・社民の野党3党が提出していた民法改正案が6月 20日、廃案となりました。
 昨年の参議院選挙で野党が初めて過半数を占めたことから、参議院で の法案可決への期待が寄せられていました。3月5日の院内集会では、野 党各党の議員から「与野党逆転した参議院で法案を可決させたい」との 強い決意が述べられました。また、4月22日の法案提出後の記者会見で も、筆頭提出者から「与野党逆転での提出は初めてなので、参議院で可 決し、衆議院での議論を促したい」との発言がありました。しかし、実 際には議院運営委員会で議題に上ることなく、法務委員会への付託にも 至りませんでした。これは、法案提出が遅れたこと、取り扱いの優先順 位が低かったこと、会期終了間際になって福田康夫首相の問責決議案が 出されるなど与野党の攻防が激化し、これまでの取り扱いがなされなか ったことなどがあげられます。そのため、民法改正案だけでなく、内閣 提出と議員提出の法案のすべてが廃案となりました。民法に関する請願 も不採択になりました。
 一方、衆議院に野党から提出されていた民法改正案は継続審議に、請 願は不採択になっています。

   法案の取り扱いが決まらない5月中旬、mネットは参議院第1党の民主 党に対し早期の委員会付託と審議入り要請をしてきました。これに対し 民主党は「議運で強行採決してでも付託し継続させるので廃案はない」 と答えていました。ただし、強行採決での付託はその後の取り扱いに影 響するため、今回は与党の公明党に対しても請願などへの協力を求め、 強行採決が回避されるよう努力を重ねてきました。参議院での法案可決 の期待が寄せられる中、mネットとしても昨年末から民法改正の請願活 動を行ってまいりましたが、残念ながら不採択となりました。

20080613[vol:178]
【裁判】NHK「女性国際戦犯法廷」裁判、最高裁で市民側が敗訴 6月12日

   旧日本軍性奴隷制を採りあげたNHKの特集番組で、取材に協力した VAWW-NETジャパンが「説明と異なる内容に改編された」として、 NHKや制作会社に賠償を求めた裁判で、最高裁判所第1小法廷(横尾 和子裁判長)は6月12日、「取材対象者の期待や信頼は法的保護に値し ない」としてNHK側に200万円の支払いを命じた東京高等裁判所の判 決を破棄し、請求をすべて棄却しました。これでVAWW-NETジャ パンの敗訴が確定しました。
 争点となっていた一部政治家のNHKへの圧力については判断を避け、 「表現の自由」や「報道の自由」の一般論に終始した判決となっていま す。
 とくに、横尾裁判長は「期待、信頼と異なるとして違法の評価を受け る可能性があるということであれば、それが取材活動の委縮を招くこと は避けられず、ひいては報道の自由の制約にもつながる」「期待、信頼 を保護することの実質は、放送事業者に対し期待、信頼の内容に沿った 番組の制作及びその放送を行う作為を求めるものであり、放送番組編集 者への介入を許容する恐れがあるといわざるを得ない」と、NHK側の 主張に沿った意見を述べています。

20080605[vol:177]
【GO1】法務省が国籍法見直しへ 6月5日

   法務省は6月5日、最高裁が国籍法3条1項の規定が憲法14条第1項に 違反すると判断したことを受け、法改正の方向であることを明らかに しました。
 同省は「最高裁判所の判断を厳粛に受け止め、国籍法第3条第1項を 改正する方向で、適切に対処方策を検討する」としています。

20080523[vol:176]
【国会】無戸籍児の救済について鳩山法務大臣へ申し入れ 5月20日

   民法772条の規定による無戸籍児の早期救済を求めて、無戸籍児の 家族や支援者が5月20日、鳩山邦夫法務大臣へ申し入れを行いました。
 申し入れを行ったのは、mネットの2人の共同代表のほか、「民法772 条による無戸籍児家族の会」(川村美奈代表)とその支援者の9人、公 明党民法772条問題対策PT副座長の大口善徳衆議院議員など3議員の 計14人で、mネットと家族の会からそれぞれ要望書を手渡しました。
 家族の会は、兵庫県の無戸籍の女性が出産を控え、生まれてくる子ど もも無戸籍になり、今後、無戸籍の子どもの婚姻届や出生届が受理され ない事態が想定されると指摘しました。これについて鳩山大臣は「両親 の行動によってお子さんが被害者になってはいけない、お子さんの立場 というか福祉という観点で法務省に検討させます」と答えました。さら に、この規定で無戸籍が拡大していることについて「772条難民になっ てしまっている」と憂慮を示しました。
 家族の会とmネットは、無戸籍児の実態調査や家裁の利用者へのアン ケート調査、前夫を巻き込まず真実の親子関係を確定する認知を周知徹 底することなど要望しました。
   親子を確定するために円満な家庭でも強制認知の調停や裁判をしなけ ればならないことについて鳩山大臣は「日本は訴訟社会である必要はな い。できる限り自然に親子関係の確定ができる方がいい」と述べました。 さらに、DVなどで前夫の協力を得られずに無戸籍児になっている現状 についても理解を示しました。

20080510[vol:175]
【国会】公明党民法772条問題対策PTが家族の会などからヒアリング 5月9日

   公明党民法772条問題対策プロジェクトチームは5月9日、民法772 条による無戸籍児家族の会やmネットからヒアリングを行いました。  参加したのは、昨年の通達により出生届を受理された同会代表のほ か、救済の対象から外された徳島や東京の家族など4家族7人で、mネ ットが同席しました。
 家族の会のメンバーからは、離婚後妊娠にもかかわらず、医師の証 明書の不備から救済されなかった事例や、前夫を巻き込まない認知の 調停や裁判が同じ家庭裁判所で認められるケースと認められないケー スがあること、家庭裁判所の不用意な対応で傷つけられるケースがあ ることなど、多くの問題が明らかにされました。
 また、与党の政調会長間で検討課題となっている離婚前妊娠の救済 や、無戸籍の子どもの戸籍や住民票が作成されるよう、mネットから さらなる取り組みを要請しました。
 PT副座長の大口善徳衆議院議員は「党のPTとしても取り組み、 自民党にも見直しに向けた議論が再開できるよう働きかけたい」と話 しました。
 ヒアリング終了後、家族会はこの規定見直しに積極的な後藤田正純 衆議院議員、早川忠孝衆議院議員、野田聖子衆議院議員(いずれも自 民党)、福島みずほ参議院議員(社民党)、紙智子参議院議員(共産 党)枝野幸男衆議院議員(民主党)とそれぞれ面談し、同様の訴えを 行いました。
 なお、今月20日には法務大臣へも要望書を直接提出する予定です。

20080423[vol:174]
【国会】野党が民法改正案を提出 4月22日

  参議院の民主・共産・社民の野党3党は4月22日、民法改正案を参議 院に提出しました。
 改正の主な内容は、選択的夫婦別姓制度の導入、婚外子相続差別の 撤廃、再婚禁止期間を100日に短縮、婚姻年齢を男女とも18歳にする などです。
 改正案は、これまで何度も提出されてきましたが、反対勢力が過半 数であったため、廃案となっていました。しかし、昨年の参議院選挙 で民主党が躍進、野党が過半数となったことから法案提出が期待され ていました。
 提出後に記者会見した筆頭発議者の千葉景子議員は、「民法改正案 は通常国会ごとに提出し、共同提案は10回目。与野党が逆転している 中での提出は初めてなので、ぜひ参議院で可決し、衆議院での議論を 促したい。内閣府の夫婦別姓の世論調査では、反対しているのは高齢 者だけで、若い人は賛成が多かった。婚外子差別撤廃も子どもの権利 を考えるときに優先的に実現しなければならない課題だ」と、改正に 理解を求めました。
 共産党を代表して仁比聡平議員が「法制審議会答申から12年も過ぎ ている。国連からも指摘され、国会でもこれだけの動きがありながら 法改正されていない。この参議院の状況を生かして何としても審議入 りし、成立させたい」と、審議入りに期待を込めました。
 社民党を代表して福島みずほ議員が「与野党逆転の参議院で提出し たことは感無量であり、最も可決させたい法案である。与党の公明党 は民法改正に賛成し、自民党にも賛成者がいる。裁判所も立法府に( 法改正するよう)ボールを投げているのだから、もう待ったなしであ る」と、今国会成立への意気込みを語りました。
 民主党の神本美恵子議員は「選択的ということが理解されていない。 多様性を認めてほしい」と訴え、共産党の紙智子議員も「私自身も通 称で不便を感じている。今がチャンスの時なので頑張りたい」と発言 しました。
 しかし、与野党の攻防が激しく、法務委員会に付託され、審議入り できるかどうかは不透明な状況です。

法案の発議者と賛成者は次のとおり(敬称略)

【発議者】
千葉景子、仁比聡平、福島みずほ、円より子、神本美恵子、大河原雅子、
直嶋正行、福山哲郎、紙 智子、近藤正道
【賛成者】
相原久美子、今野 東、島田智哉子、谷岡郁子、林 久美子、前川清成、
牧山ひろえ、松岡 徹、松野信夫、蓮 舫、井上哲士、又市征治、
糸数慶子、川田龍平

20080418[vol:173]
【GO】内閣府が第52回CSW等について聞く会を開催 4月17日

   内閣府は4月17日、今年2月25日から3月8日、及び13日にニューヨ ークの国連本部で行われた第52回国連婦人の地位委員会(CSW)等 について聞く会を行いました。
 報告は、国連婦人の地位委員会日本代表の目黒依子さんとオブザー バー参加したNGO日本女性監視機構の原ひろこさんが行いました。 目黒さんは、今年の優先テーマが「ジェンダー平等及び女性のエンパ ワーメントのための資金調達」であることについて「資金調達を全面 的に取り上げたことは初めてで、大変勇気のいるテーマだった。合意 したものを実施していく上で最も基本になるのが資金であるというこ とが認識された。各国代表団に多くの閣僚級の参加者が見られたが、 女性関係だけでなく財政の閣僚も見られた。5本の決議が最終セッシ ョンまでに採択されたが、優先テーマは最終セッションまでに合意に 至らず非公式会議を経て13日に採択した」と報告しました。
 また「予算の付かない政策は優先政策とはいえないというディスカ ッションの中で、南アフリカの女性が、貧困の削減や撲滅にはジェン ダー平等は不可欠である。貧困者の大半が女性であるという実態を見 なければ貧困解消はあり得ないとして、『貧困は女性の顔をしている』 と発言したことが大きな共感を呼んだ」と話しました。
 さらに、個別決議案の「女性及び女児の人質」「FGM(性器切除) の撲滅」「INSTRAW(国際婦人調査訓練研修所)の強化」「女 性・女児とHIV/AIDS」「パレスチナ女性の状況及びその支援」 が採択されたことや、次回の優先テーマが「HIV/AIDSのケア 提供を含む男女の平等な責任分担」であることも報告しました。
 原さんは「今後の問題として来年のテーマについて考えなければな らないと同時に今回の資金調達のフォーローアップに参加していくと いうのがNGOの大きな課題。事前の説明会や今回の報告会、ニュー ヨークのCSWへも財務省や防衛省が参加しないのが大変残念だった」 と話しました。NGOの報告は5月15日(木)16時30分から城西国際 大学紀尾井町キャンパスで行われます。

20080404[vol:172]
【国会1】参議院内閣委員会で島田議員と神本議員が妊婦健診やワーク ・ライフ・バランスについて質問 3月27日

  参議院内閣委員会で3月27日、民主党の島田智哉子議員と神本美恵子 議員が「子どもと家族を応援する日本重点戦略中間報告」(07年6月公 表)に関する質問をしました。
 島田議員は同報告について「妊婦健診の望ましい受診回数の確保のた めの支援が掲げられているが、各自治体が実施している回数と、望まし い回数は何回か」と尋ねました。厚生労働省の村木厚子審議官は「自治 体によってばらつきがあり、全国平均は2.8回。望ましい回数は14回程 度だが、自治体の財政事情もあるので少なくとも5回を求める」と答えま した。島本議員は地方財政措置の枠を超えた対応が必要だと訴えました。
 神本議員は同報告で少子化対策の強化を掲げる一方で、内閣府規制改 革会議の第2次答申(07年12月公表)では長時間労働の規制や女性労働 者の権利強化に批判的な見方が示されていることを指摘し、「絶対に看 過できない。政府はアクセルとブレーキを同時に踏んでいる」と批判し ました。村木審議官はこれに理解を示し、同省が第2次答申に反論したこ とを明らかにしました。

20080319[vol:171]
【国会】参議院予算委員会で相原議員が公務の非正規職員について質問 3月18日

  参議院予算委員会で3月18日、民主党の相原久美子議員が、官製ワー キングプアと呼ばれる公務職場における非正規職員の処遇について質 問しました。
 相原議員は、改正パートタイム労働法や育児・介護休業法が公務職 場の非正規職員には適用除外になっていることを指摘したうえで、法 律の挟間にいる労働者についてどう考えるかを質しました。これにつ いて、増田寛也総務大臣は「非常勤職員の勤務の実態は、かなり多く の方が働いているがつまびらかでない部分もある。臨時的な雇用とい う建前できていたので処遇の問題もあるのではないか。人事院が勤務 実態について聴取を行っているので、総務省としても協力を行い、処 遇の問題をはじめ必要な対応を行う」と答弁しました。
 また、相原議員は上川陽子男女共同参画担当大臣に対し「2003年の 国連女性差別撤廃委員会において日本政府のレポートに対して、パー トタイムが絶対的に女性に多いこと、また、低賃金が女性に集中して いることについて、間接差別にあたるのではないかと指摘されている が、どのような措置を講じるべきか」と質しました。これに対し、上 川大臣は「男女共同参画社会実現のためには、性別や分野の違いを問 わず、職務や個人の能力に応じて雇用管理の実現をはかり、仕事と育 児・介護の両立ができるような環境整備を図っていくことが極めて大 事である。女性も男性も働き方に応じてその処遇が適切に行われるよ うしっかり検証しながら前進できるよう取り組んでいきたい。」と答 弁しました。

20080306[vol:170]
【国会】民法改正の実現を求め院内集会を開催 3月5日

  参議院議員会館で3月5日、mネットが「民法改正は与・野党の枠を 越えて!」をテーマに院内集会を開催しました。全国から駆けつけた 市民、衆・参の国会議員、秘書、報道関係者など100人を超える参加 がありました。
 まず、mネットの呼びかけ人を代表して、お茶の水女子大学の戒能 民江さんが「今の参議院の状況は法案提出の絶好の機会。個人の尊厳 が尊重される社会を保障する法的仕組みになっていないことが大きな 問題。これを機に、与・野党の枠を越えて頑張っていただきたい。市 民の側でもうねりを作りたい」と挨拶しました。mネットからは法制 審答申以降の民法をめぐる動きと、昨年公表された世論調査の問題に ついて説明しました。(世論調査の結果はmネット通信143号に掲載)
 続いて、各党の決意表明で民主党副代表の前原誠司議員が「民主党 は14回法案を提出している。一致結束してこの問題を早期に解決しよ うということで頑張っており、党内の意見の乱れは全くない。夫婦別 姓は個人の自由の問題であり、憲法で保障されている基本的人権の問 題。多数を占める参議院で可決させ、それをプレッシャーにして衆議 院でも可決させたい」と、今国会に取り組む姿勢を示しました。また、従軍慰安婦問題について「自民党の議論は偏狭なナショナリズム。狭 義、広義の強制性の議論をしても意味がない。強制化下に置かれて人 権侵害された事実がある。極めて偏狭な議論で、歴史を歪曲したり、 公正な社会の妨げになることはよくない」と批判しました。
 共産党副委員長の石井郁子議員は「共産党も97年に民法改正の大 綱を発表し、毎年法案を提出している。300日問題は通達で一定の前 進をしたが、救済の窓口をさらに広げるべき。夫婦別姓の問題も今年 は前に進めたい」と、決意を表明しました。
 社民党党首の福島みずほ議員は「弁護士時代から改正運動をしてき た。従来の国会の座標軸とは違い、与党の中に賛成の人もいる。多元 的価値観を認める民法改正は与・野党を越えて実現できるテーマ。何 としても参議院で可決させ、今国会で成果を出したい」と、意気込み を語りました。
 公明党民法772条問題対策PT座長の丸谷佳織議員は「法律によっ て困っている人がいれば、立法府として手立てを打つのが責務。感情 論ではなく、法律論で議論していかなくてはならない」と、党として 賛成の立場であることを強調しました。
 自民党民法772条見直しPT座長の早川忠孝議員は党を代表するも のではないとした上で「理由のない区別、差別、権利の制限はあって はならない。与・野党の枠を越えるために、同じ考え方の議員がそれ ぞれの場にいなければならない。歴史的、国際的にどうなっているか を丁寧に説明すれば突破できる」と、対話の重要性を強調しました。
 宮城、富山、愛知、新潟、埼玉から参加した市民やNGO代表から は法改正を望む切実な声が寄せられ、集会アピールが採択されました。 最後に、全国から寄せられた請願署名を提出しました。

出席議員は次のとおりです。
【議員】(16人)
民主 衆・前原誠司議員、小宮山洋子議員、金田誠一議員、
西村智奈美議員、郡和子議員、村井宗明議員
参・大河原雅子議員、姫井由美子議員
自民 衆・早川忠孝議員
公明衆・丸谷佳織議員
共産衆・石井郁子議員
参・仁比聡平議員、紙 智子議員
社民衆・辻元清美議員
参・福島みずほ議員、近藤正道議員
【代理】(15人)
民主 衆・枝野幸男議員、土肥隆一議員、柚木道義議員
参・千葉景子議員、神本美恵子議員、円より子議員、
岡崎トミ子議員、松岡徹議員、松野信夫議員、牧山弘恵議員
自民衆・牧原秀樹議員
公明 衆・大口善徳議員
社民衆・重野安正議員
無所属 参・糸数慶子議員、川田龍平議員

院内集会アピール (pdf)  

20080228[vol:169]
【国会1】参議院で民法改正案提出へ 

 参議院で近日中に民法改正案が提出されます。
 昨年は、いわゆる離婚後300日規定の民法772条が注目されたこと から、これに関連する女性の再婚禁止期間を定めた民法733条単独の 改正案が野党4党で提出され、他の改正案提出は見送られていました。 しかし、昨年の参議院選挙で民主党が躍進、野党が過半数となったこ とから、選択的夫婦別姓制度導入や婚外子相続差別撤廃の法案提出が 期待されていました。これを受けて民主党内の手続きが完了し、野党 間の調整が進められ近日中に法案が提出される見込みとなりました。 これまで、何度も法案提出されてきましたが、法案の提出勢力が過半 数ではなかったため廃案となっていました。今回、採決されると初め て参議院で可決されることになります。

20080214[vol:168]
【国会】参議院予算委員会で福島議員が民法772条について質問 2月5日

 参議院予算委員会で2月5日、社民党の福島みずほ議員が、772条 の規定により無戸籍になっている子どもの救済について質しました。
 福島議員は、「(772条の規定で子どもが無戸籍となっていること が)子どもの権利条約違反ではないか。通達でも救済されない子ども を救済する必要があるのではないか」と質しました。これに対し鳩山 邦夫法務大臣は「こういう問題は子どもの立場から考えなければなら ない。無戸籍の子どもが存在する、あるいは増えているというのは大 変良くない」と述べました。さらに、通達の救済対象とされない離婚 前の懐胎については「非常に常識的に判断できるケース、つまり絶対 に(前)夫の子ではないということが常識的に判断できるケースはも っと広く認めていいのかな、与野党で知恵を出し合って解決に導いて いただければありがたい」と、これまでより前向きの答弁をしました。

20080202[vol:167]
【国会】代表質問で公明、社民が女性政策について言及

 福田内閣の施政方針に対する各党の代表質問で、公明党、社民党が 女性政策に関する質問を行いました。
 衆議院本会議で1月22日、公明党の太田昭宏議員が女性の社会参画 を拡大するための取り組みとして、「仕事と家庭が両立できるサポート 体制の構築、再雇用の促進、企業内保育所の設置など、結婚、子育て によって退職、離職をしない、いわゆるM字型カーブからの脱却の施 策が重要」と質しました。これに対し福田首相は「女性の就業率向上 を目指し、安心して働くことのできる保育、子育て支援サービスの充 実、育児や介護のために離職した女性に対する再就職・企業支援を行 うなど、就業意欲を失うことなく働き続けることのできる環境整備を 進めていく」と答えました。
 また、参議院本会議で1月23日、公明党の浜四津敏子議員が、「女 性の健康や医療について調査し、研究する女性健康研究総合センターの設立」「(女性の生涯にわたる健康を守るための)女性の健康パス ポートの発行」「(各地の女性センターなどに)若い女性向けの総合カ ウンセリング窓口の設置」を求めました。これに対し福田首相は、女 性の健康や社会生活上の諸問題に関し支援することは大変重要な問 題とし、「厚生労働省において、性差を考慮した女性の健康支援に関 する研究を進めるとともに、女性の健康を支援する仕組みづくりにつ いても検討を進めている」と答えました。さらに、「政労使の合意により、ワーク・ライフ・バランス憲章及び行動指針を定め今後も取り組ん でいく」と答弁しました。
 同じく参議院本会議で社民党の福島みずほ議員が、選択的夫婦別姓 制度導入や婚外子差別撤廃の民法改正について質しました。さらに、 民法772条の規定により戸籍のない子が少なくとも127人いることが明 らかになったことを挙げ、早急に民法772条を改正するよう求めました。 これに対し福田首相は夫婦別姓制度導入などの民法改正についてはこ れまでの答弁を繰り返し、民法772条については「基本的には維持され るべきもの」と改正に消極的な答弁を行いました。

20080118[vol:166]
【国会1】第169回通常国会開会、福田首相が施政方針演説 1月18日

 福田康夫首相は18日、衆議院本会議で初の施政方針演説を行いまし た。男女共同参画は、昨年10月の所信表明で推進を表明したものの、 施政方針には具体策がほとんど盛り込まれませんでした。
少子化対策は極めて重要な問題としながらも、多様な保育サービス の充実や保育所の受け入れ数の拡大などの「新待機児童ゼロ作戦」を 展開し、その両輪として「仕事と家庭の調和(ワーク・ライフ・バラ ンス)憲章」で示された残業削減や育児休業制度拡充など、働き方の 改革に取り組むとし、限定的な保育中心の施策となっています。
また、女性の参画が進んでいない労働の分野に重点を置いて、女性 の働く意欲を引き出すことができるよう「男女共同参画社会」実現に 向け戦略的に取り組むとしていますが、その他の分野での男女共同参 画には全く触れられていません。
官房長官時代に男女共同参画担当大臣を務め、昨秋の自民党総裁選 挙の際に「希望と安心のくにづくり」の3つの柱の1つに「男女共同参 画の社会」を掲げた福田首相でしたが、優先順位が後退した感は否めません。

20071228[vol:165]
【国会1】参議院厚労委員会で坂本議員が児童扶養手当について質問 12月25日

 児童扶養手当削減の凍結については与党のプロジェクトチーム(座 長・長勢甚遠衆議院議員)が政府へ申し入れをしていますが、参議院 厚生労働委員会で自民党の坂本由紀子議員が12月25日、政府の対応 について質問しました。
 坂本議員は、与党プロジェクトチームが手当削減の対象を就労意欲 が見られない者に限定したことから、「どのようなケースであれば就 労意欲が見られると認められるのか」と質しました。これに対し大谷 雇用均等・児童家庭局長は、「一部支給停止の適応除外対象者として (1)現在就業している(2)母子家庭等就業自立支援センターやハロ ーワーク等を利用して就職活動をしている(3)職業訓練を受けてい ることなどを考えている。本人や子どもの障害などで就業できない場 合も適応除外となる。取り扱いは明確に示したい」と答えました。

20071214[vol:164]
【国会1】772条に関する第2回勉強会を開催

 mネットは12月6日、国会議員を対象に「民法772条の嫡出推定に 関する第2回勉強会」を参議院議員会館で開催しました。与野党の議 員、秘書、政党関係者、マスコミなど65人の参加がありました。今回 の勉強会では、mネットによる政府や国会の動きを中心とした今日ま での経過説明、呼びかけ人による各政党の取り組み報告と今後の決意 表明、772条の規定に苦しむ当事者の相談に応じているNPOからの問 題提起、東京弁護士会と第二東京弁護士会からの提言、出席議員との 意見交換を行いました。NPO代表理事の井戸正枝さんは、具体的に 事例を紹介しながら、離婚後妊娠のみを救済する法務省の通達の問題 点を指摘しました。出席した議員からはさらなる取り組みの決意表明 がなされました。出席議員は次のとおりです。

【議員】
自民 衆・早川忠孝議員、森山真弓議員、野田聖子議員
参・森まさこ議員
民主 衆・枝野幸男議員、郡 和子議員、小宮山洋子議員、西村智奈美議員
参・千葉景子議員、神本美恵子議員
公明 衆・谷口和史議員
社民 衆・辻元清美議員
参・福島みずほ議員
共産 参・仁比聡平議員
無所属 参・松浦大悟議員
(15名)


【代理】
自民 衆・臼井日出男議員、後藤田正純議員、塩谷立議員、冨岡勉議員
民主 衆・市村浩一郎議員
参・山本孝史議員、円より子議員、松岡徹議員、松野信夫議員
公明 衆・丸谷佳織議員、大口善徳議員
共産 参・紙 智子議員
(12名)

20071130[vol:163]
【国会1】民主党の神本美恵子参議院議員にインタビュー

 民主党ネクスト子ども・男女共同参画担当大臣の神本美恵子参議院 議員に聞きました。神本さんは2001年の参議院選挙で初当選し、現在 2期目。教員出身で、議員になる前からジェンダー平等教育に尽力して います。

Q:これまでの民法改正の取り組みについてお聞かせください。
A:選択的夫婦別姓については、「結婚したら女性が男性の姓に変え   てしまうというのはおかしい」ということを教育課題の一つとし   てやってきました。女性差別撤廃条約が批准され、さまざまな法   整備がすすみ、男女共同参画社会基本法ができ、実現するかに見   えましたが、遅々としてすすまない中で議員になりました。

Q:民法改正を望む側も、ここ数年は悲観的でした。しかし、参議院   選挙で与・野党が逆転し、期待する声が高まってきています。
A:超党派で法案を出せるのではないかという時期もありましたが、   自民党側の反対で実現しませんでした。政権が代われば実現でき   るという思いで投票してくださったと思うので、しっかりやらな   ければならないという決意を持っています。反対する側へきちん   と理解していただけるよう働きかけたいと思いますが、皆さんか   らも声をぜひ届けてください。

20071115[vol:162]
【国会】参議院共生調査会で前川議員が夫婦別姓などについて質問 11月7日

 参議院少子高齢化・共生社会に関する調査会で民主党の前川清成議 員が選択的夫婦別姓制度について質問しました。
 前川議員は、「価値観の多様化や女性の社会的進出が顕著になって いる。晩婚化の理由として選択的夫婦別姓が認められていないという ことがある。配偶者の名前がどうであろうと世間に迷惑を掛けること は一切ない。公益を害することがない以上、法制審の答申にある以上、 1日も早く選択的夫婦別姓の採用に踏み切るべきではないか」と質し ました。これに対し河井克行法務副大臣は、今年1月に内閣府が公表 した世論調査の結果で法改正に賛成の割合が低下したことを挙げ、 「この制度の導入の問題について国民各層の意見が大きく分かれて いる」と、消極的な答弁をしました。
 さらに、前川議員は児童扶養手当中心の支援から就業・自立に向け た総合的な支援への転換は、現実的には難しいことを指摘しました。 児童扶養手当については共産党の紙智子議員や社民党の渕上貞夫議員も質問しました。
 紙議員は「給付依存型から自立支援、就労支援に重点を移動してき ているが、母子家庭の生活苦や将来の不安を一層大きくしている。就 労支援策がどれだけ有効か検証すべきでないか」と質しました。また、 生活保護の母子加算の段階的削除や、児童扶養手当の削減が問題であ ることを指摘しました。岸宏一厚生労働副大臣は「与党PTで検討し て、それをまってやります」と答弁しました。
 渕上議員は、「与党PTで検討するのではなく、削減をしないと明 確に打ち出すべきではないか。大臣が母子福祉団体からヒアリングし たが、どのような感想か」と質しました。岸副大臣は「大臣としても、 大変納得すべき点があった、今後それに十分前向きに対応したい」と、 答弁しました。

20071101[vol:161]
【国会1】参院で少子高齢化・共生社会に関する調査会を設置

 参議院では、少子高齢化・共生社会に関し、長期的かつ総合的な調 査を行う目的で、「少子高齢化・共生社会に関する調査会(田名部匡省 委員長)」が設置されました。
 筆頭理事である民主党の木俣佳丈議員から示された調査テーマ(案) は「コミュニティの再生」「パートタイマー対策」ですが、コミュニティ の再生には「『家族の絆』を強めるための政策」などの項目があり、こ れまでの調査会とは、全く違う内容となっています。第1回目の調査会 は11月7日に開催され、内閣府、総務省、法務省、文科省、厚労省の副 大臣より意見聴取が行われる予定です。
委員名は参議院のホームページをご覧ください。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_b01_01.htm

20071019[vol:160]
【国会1】衆院予算委員会で阿部議員が医師のワーク・ライフ・バラ      ンス対策について質問 10月10日

 衆議院予算委員会で、社民党の阿部知子議員が10月10日、深刻化す る産婦人科の医師不足への対策について福田康夫首相と舛添要一厚生 労働大臣に質問しました。
 阿部議員は、妊産婦のたらい回しが相次いだことや自らが小児科医 として小児医療の現場を知る立場から、産婦人科と小児科の医師が不 足している深刻な事態を訴え、対策を質しました。
 これに対し舛添大臣は「小児科、産婦人科では女性の比率が増えて いる。この方々が仕事と子育てを両立できるように例えば病院の中に 保育所を設けるとか、いったん子育てが終わった女医がまた戻る再ト レーニングをやりたい」と答弁しました。
 さらに、阿部議員は産婦人科の女性医師は20歳代では6割いるにも かかわらず、11年から15年のキャリアのころには50%に減少すること を指摘し、女性医師が子育てをしやすい環境を整備する必要があるこ とを福田首相に迫りました。首相は「学校教育や病院のあり方など、 総合的に考え、検討していきたい」と答えました。

20071006[vol:159]
【国会1】参院本会議の代表質問で福島議員が民法改正について質問
10月5日

 参議院本会議で行われた福田康夫首相の所信表明に対する代表質問 で、社民党の福島みずほ議員が10月5日、民法改正について質問しま した。
 福島議員は、「選択的夫婦別姓の導入や、婚外子差別撤廃、再婚禁 止期間の見直し、民法772条の改正など、ぜひ実現すべき」としたうえ で、福田首相の考えを尋ねました。
 これに対し、福田首相は「婚姻制度や家族のあり方と関連してこれ までもさまざまな議論がされてきたことと承知している。国民の意識、 動向を踏まえつつ、与野党間でよく協議をしていただきたい」と、一 昨年、昨年と全く同じ答弁を繰り返しました。民法772条については、 「嫡出推定の制度を定めるもので、法律上の父子関係をどのように設 定するかという身分法の根幹を成す規定であり、基本的に維持される べきものと考える。与党内においても戸籍の届けや裁判手続きに関す る検討を行うと承知している」と答えるにとどまりました。

20070920[vol:158]
【NGO】東京弁護士会、民法772条改正求め意見書採択 9月10日

 東京弁護士会(下河邉和彦会長)は、父子推定を規定した民法772条 の改正を求める意見書を10日に採択し、公表しました。
 民法772条のいわゆる離婚後300日規定については、今年5月に離婚後 妊娠に限り実父の子として届出ができるよう、通達による見直しが行わ れましたが、同会では「身分関係の根幹にかかわる規定は、本来、通達 や特例法ではなく民法の改正により対処すべきである」とし、法改正を 求めています。
 改正の主な内容は、これまでどおり離婚後300日以内に生まれた子は 前夫の子とみなしますが、父欄を空白で提出した場合は前夫の子と推定 しない、という但し書きを加えています。
 また、婚姻中に懐胎した子を夫の子とする1項の規定については「婚 姻中に出産した子」を加え、婚姻から200日以内に出生した場合は父欄 を空白で届出ができるよう但し書きを設けています。届出人の意思を より反映する内容といえます。
 なお、意見書は衆・参両院議長や法務省に送付されています。詳しく は東京弁護士会のホームページをご覧ください。
http://www.toben.or.jp/news/opinion/2007/070910.html

20070906[vol:157]
【NGO】第2回離婚後300日父子推定110番を実施 9月1日

 家族法に詳しい弁護士の協力を得てmネットが9月1日、「第2回離 婚後300日父子推定110番」を行いました。
 2月の電話相談では、離婚後300日以内に出生予定の妊婦から「子 どもが生まれたらどうなるのか」という相談が多く寄せられましたが、 今回は制度の見直しが行われたものの、多くの問題があることがわか りました。
 例えば「出産を控え、再婚禁止期間を過ぎている場合、子の父親と 再婚しておいたほうがよいか」や「前妻から調停の連絡があったが、 何回も出廷しないといけないか」というものから、無戸籍の子どもに ついて「住民票を作ってほしいとかけ合ったが、うちは保守的なとこ ろだから作れないと断られた」「児童手当は受けられるのに、予防接 種は受けさせてもらえない」など、行政サービスに関するものもあり ました。
 また、DNA鑑定で認知が認められた例があった一方で、「実父を 相手にした認知なのに、裁判官が前夫の証言にこだわったため不調と なった。裁判しようとしたら、田舎の裁判所だから同じ裁判官だと言 われ、裁判を断念した」という深刻なものもありました。
 さらに、「裁判で離婚が成立したのに、その相手に協力を求めるの は難しい」や「(円満に)離婚した妻から調停をする旨の連絡を受け たが、前妻や相手の男性に慰謝料請求ができるか」という新たな問 題が出てきていることもわかりました。

20070823[vol:156]
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    第2回離婚後300日父子推定110番
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   日 時 9月1日(土)10時〜14時
   電 話 03−3512−0536
       03−3512−0539

   離婚後300日以内に生まれた子どもを前夫の子どもとみなす民法772条 2項については、その規定の弊害がメディアで大きく取り上げられ、国 会でも活発な議論が行われました。
 その結果、法務省は嫡出推定の規定を見直し、離婚後300日以内の出 生でも妊娠が離婚後であることを証明すれば実父の子として届出ができ ることになりました。また、厚生労働省は無戸籍の子どもへ児童手当や 児童扶養手当などの行政サービス提供が可能であるとの通知を出し、外 務省も無戸籍の子どもへのパスポート発給ができるよう省令改正を行い ました。
 しかし、離婚前の妊娠が多いために法務省の通達で救済されるのがわ ずかであること、自治体の担当者が省令改正や行政サービスの通知を知 らないで申請者を門前払いしていたことなどもわかりました。さらに、 国際結婚などでも、両国の父子推定制度の違いから新たな問題が明らか になりました。
 そこで、家族法に取り組む弁護士とmネットが「第2回離婚後300日父子推定110番」を行うことにいたしました。

20070809[vol:155]
【選挙】参議院、6人に1人が女性 7月29日

 7月29日の参議院選挙で、女性が26人当選しました。これは1989年 に社会党を中心に22人が当選した「マドンナブーム」と呼ばれた時を 上回り、過去最多を記録しました。特に民主は前回の2倍の14人に大 躍進し、次いで自民が8人、公明、共産、国民新、無所属から各1人当 選しました。非改選16人と合わせて42人で、参議院では17.4%が女性 議員となりました。
 世界の国会議員交流を推進する列国議会同盟(IPU)が各国の国会 二院制の場合は下院、日本は衆議院)での女性議員の比率を調査した 報告によれば、2007年に日本は9.4%で、調査対象の189か国中、99位 です。189か国の全国会議員中女性は、16.9%を占め、日本の参議院の女性比率とほぼ同じ比率です。
 今回当選した女性議員と政党、選挙区は次のとおりです。☆印は男 女共同参画を政策に掲げている議員、★印は公約や過去の言動から女 性政策の期待が薄い議員です。

●民主党14人
《選挙区10人》
☆舟山康江(山形)、☆金子恵美(福島)、☆岡崎トミ子(宮城)、 森裕子(新潟)、☆行田邦子(埼玉)、☆大河原雅子(東京)、 ☆牧山弘恵(神奈川)、☆谷岡郁子(愛知)、姫井由美子(岡山)、 植松恵美子(香川)
《比例代表4人》
☆相原久美子、☆吉川沙織、青木愛、☆神本恵美子

●自民党8人
《選挙区2人》
丸川珠代(東京)、森雅子(福島)
《比例代表6人》
★中山恭子、☆川口順子、☆石井みどり、★橋本聖子、☆有村治子、 ★山東昭子

●公明党1人《比例代表》☆山本香苗

●共産党1人《比例代表》☆紙智子

●国民新党1人《選挙区》亀井亜紀子(島根)

●無所属1人《選挙区》☆糸数慶子(沖縄)

20070726[vol:154]
【国会】離婚後300日規定や選択的夫婦別姓などに関する政党アンケートを実施

 第21回参議院議員選挙が7月29日に行われるのに伴い、mネットは 民法改正に関する政党アンケートを行いました。
 今年は、民法772条の嫡出推定(いわゆる離婚後300日規定)が大 きな問題としてマスコミでも取り上げられ、国会でも活発な議論が行 われ一歩前進しましたが、多くの課題を残したままとなっています。
 そこで、各党に民法772条を中心に選択的夫婦別姓制度導入や婚外 子相続差別撤廃などの民法改正について質問しました。回答があった のは自民党・民主党・公明党・共産党・社民党・国民新党で、新党日 本のみ回答がありませんでした。設問と回答(部分)は次のとおりで す。全文はmネットのホームページをご覧ください。

■設問1 民法改正を参議院選挙の公約に掲げているかどうかについ て「掲げている」と回答したのは民主党、公明党、共産党、社民党で、 「掲げていない」と回答したのは自民と国民新党でした。

■設問2 改正すべき民法の内容について
 改正すべき内容がないと回答したのは自民党と国民新党でした。 離婚後300日以内に出産した子を前夫の子とする民法の規定について 「見直す」と回答したのが民主党、共産党、社民党で、公明党はすぐ に民法の改正ではなく、救済措置の創設を主張しています。この規定 の見直しについては各党が詳しく回答しています。(末尾参照) 「嫡出でない子の相続が嫡出子の2分の1とする」条項を廃止すると回 答したのは民主党、共産党、社民党でした。
 再婚禁止期間を短縮すると回答したのは民主党、公明党で、廃止ま で踏み込んだのは共産党と社民党でした。
 選択的夫婦別姓制度を導入すると回答したのは民主党、公明党、共 産党、社民党でした。
 婚姻年齢を「男女とも18歳とする」と回答したのは民主党、共産党、 社民党でした。

■設問3 夫婦同姓を強制している国が日本だけであることについて

■設問4 婚外子相続差別をしている国が日本とフィリピンのみである ことについて

■設問5 国際社会が嫡出概念をなくす方向にあること、子どもの権利 委員会が「嫡出でない子」という差別的な用語を改めるよう勧告して いることについて

■設問6 ユニセフが世界にある6つの差別の一つに婚外子相続差別を あげていることについて

■設問3から■設問6について「知っている」と答えたのは民主党、公 明党、共産党、社民党、国民新党で、「知らない」と答えたのは自民党でした。

≪離婚後300日規定についての各党の考え≫
【民主党】民主党は、@婚姻中であっても別居中などの特別な事情が あったことや真実の父子関係を証明できるなど一定の場合には、前夫 の子とせずに出生届を受理する戸籍事務の特例を設ける。A母から嫡 出否認の訴えを起こせるように民法の規定を改正する。B父子関係確 定に関する民法の原則を「妻が婚姻中に出生した子は、夫の子と推定 する」ことに改めるなど戸籍事務の特例と民法の原則の両面から見直 しを検討し、実態に即した合理的な制度へと改善します。

【公明党】「離婚後300日」問題については、民法772条自体をすぐに 見直すというよりも、無戸籍の子どもたちの早期の身分安定のため、 離婚前懐胎のケースを含め、議員立法での救済措置の創設を主張して います。

【共産党】法務省通達で救済されるのは、離婚後の妊娠だと証明され る場合だけです。結婚が事実上破綻している場合も対象にするなど、 救済枠を広げることが必要です。772条の規定の見直しは、検討を進 めるべき課題だと考えています。

【社民党】民法772条に第3項を追加し「嫡出の推定が及ばない事情」 による適用除外規定を設ける。
                    (各党の回答は原文のまま)

20070713[vol:153]
【国会1】DV防止法改正案が成立 7月5日

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止 法)の一部改正案が7月5日、衆議院本会議で可決、成立しました。
 今回の改正の主な内容は、@基本計画の策定などを市町村の努力義 務としたことA市町村の適切な施設において配偶者暴力相談支援セン ターとして機能することを市町村の努力義務としたことB暴力を受け た者に限定していた保護命令を、危害を受ける恐れが大きい場合にも 広げ、夜間の電話等も禁止し、加害者への接見禁止命令を被害者だけ でなくその親族等に広げたことなど、保護命令制度を拡充したことC 裁判所から支援センターへの保護命令の発令に関する通知を出すこと を新設したことなどです。
 一般的には、議員立法に与野党で異論がない場合は、委員長提案と して質疑を省略して採決をすることが多いのですが、参議院では6月 19日に法務委員会審議が行われ、20日の本会議で可決、衆議院に送ら れました。しかし、すぐに法務委員会に付託されず、ようやく7月3日 に付託、4日に審議が行われたため、成立がぎりぎりの通常国会最終 日となりました。

20070628[vol:152]
【国連】国連人口基金が「世界人口白書2007」を発表 6月27日

国連人口基金(UNFPA)は6月27日、「世界人口白書2007」を世界 に同時発表しました。
 白書は、人類が直面する最重要課題である人口急増の対策におい て、特に都市拡大への対処が必要であることを訴えています。すで に65億人に達した世界人口は、今後、アジアやアフリカなどの開発 途上国の都市部で急激に進み、2030年までに都市人口は50億人にな り、その多くが貧困層だと予測されます。都市人口の増加は貧困や 環境破壊をもたらす深刻な問題ですが、同時にその解決に向けて有 利な側面があるとし、都市化の利点を活用することを提案していま す。拡大する都市人口の大部分は貧困層であることと、移入によっ てではなく、自然増によるものであるとの見解を示したうえで、3つ の対策を示しています。
*自然増を低減させるために都市への移動阻止は無益であり、ジェン  ダーの平等の推進、リプロダクティブ・ヘルスニーズへの対応のほ  うが有効である
*公共サービスを整備した住宅地を用意し、持続可能な土地利用の推  進計画を立てる
*国際社会が一致して都市の未来に向けた戦略を支援する 

 第一の提案でジェンダーの平等とリプロダクティブ・ヘルスニーズ への対応を挙げていますが、白書は一貫して人口問題の対策として女 性への差別の排除と女性のエンパワーメント(能力強化)を訴えてい ます。

20070614[vol:151]
【国会】自民党が民法772条問題で部会、通達による届出は101件 6月13日

自民党法務部会は6月13日、民法772条問題で部会を開き、法務省、 最高裁判所、外務省、厚生労働省からヒアリングを行いました。
 法務省の通達により、離婚後300日以内の出生でも離婚後の妊娠が 医師の証明によって明らかな場合は「前夫の子」としない届けが5月21 日から可能となりましたが、法務省の報告によると、通達による届け 出が101件あり、75件を受理していたことがわかりました。その他は 審査中ということです。
 厚生労働省は、無戸籍の子どもが自治体の行政サービスを受けられ るよう3月22日に通知を出した(mネット通信第148号参照)ことにより、 児童手当が227件、児童扶養手当が27件認定されたと報告しました。

20070526[vol:150]
【GO】外務省、旅券法規則に関するパブリックコメントの結果公表 5月25日

外務省は5月25日、無戸籍の子どもに旅券を発行するための旅券法 施行規則改正の省令案に対するパブリックコメントの結果を公表しま した。
 1300人が意見を提出し、改正に賛成の意見は約1260件、反対は約 30件、賛否不明が約10件ありました。賛成意見のうち9割を超える 1220件が、旅券の姓を母親の前夫の姓にすることに不満を述べたも のです。「申請者が現在使用している通称、母親の姓、住民票に記 載されている姓を記載すべき」とする多数意見に対して外務省は 「家裁の調停や裁判が確定するまでは民法772条により前夫の子の 推定が働くので、申請者の姓は推定による姓にならざるを得ない」 と述べています。
 省令はほぼ原案どおりで、6月1日に施行されます。詳しくは外務 省のホームページをご覧ください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/h19/5/1173547_804.html
****************************
 外務省は、特別な場合を除いて認めていなかった旅券の通称使用 について、2006年3月20日から一定の要件を満たした場合には認めて います。会社から通称使用をしていること、出張などの場合に旅行 命令のような証明書があれば認めるとしています。会社の証明で通 称を認めるのであれば、公的な住民票に記載されている姓を認めな い上記の理由は説得力に欠けます。

20070510[vol:149]
【国会】参議院厚生労働委員会で西島議員が嫡出推定について質問 5月8日

参議院厚生労働委員会で5月8日、自民党の西島英利議員が嫡出推 定について質問しました。
  西島議員は、離婚後300日以内の出産でも離婚後の懐胎で医師の 証明書があれば実父の子どもとして届出ができるとした法務省通達 について「医師が証明書を求められた場合、医師法第19条2項の規 定により正当な事由がなければ交付を拒んではならないと規定があ るが、グレーゾーンの妊婦から証明書を求められたときに拒否がで きるのか」と質しました。これに対し、厚生労働省の松谷有希雄医 政局長は「出産以前であるか以後であるかを問わず、一般論で言え ば、医学的に一定の診断ができる場合には当然交付しなければなら ないし、診断ができない場合にはここで言う正当の事由に当たり、 必ずしも診断書を交付する義務は課されない」と答弁しました。

20070426[vol:148]
【国会1】与党の政策責任者が772条問題について合意 4月25日

自民党の中川昭一政務調査会長と公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は 4月25日、民法772条問題について当面の方針を合意しました。
  離婚後の懐胎の場合に医師の証明により前夫を父としない届出がで きることについて、法務省がすでに通達を出すことを決めているため、 立法化ではなく通達で行うことにしています。
  また、離婚前懐胎については、社会通念上やむを得ないと考えられ るものについて、子の身分関係を早期に安定させる観点から、立法措 置を含め更に検討することになったようです。
  さらに、再婚禁止期間の100日への短縮については、この問題と切 り離し、将来の検討課題としました。
  なお、与党PTは自民党側のメンバーを入れ替え、反対派を説得で きる体制で臨むようです。

20070407[vol:147]
【民法772条関連の要望書提出と記者会見】

政府与党から議員立法提出について否定的な考えが示され、法務省 が通達を出すことを決定したことを受け、mネットは法改正を望む家 族法の研究者や弁護士と連名で法務大臣をはじめ与党PTの座長、法 務省民事局長宛に要望書を提出し、記者会見を行います。
  4月9日(月)
10:30 法務省に要望書を提出(法務省)
11:00 記者会見(衆議院第二議員会館第4会議室)
13:00 公明党PTの丸谷佳織座長へ要望書提出
    法務大臣宛も提出(自民党は時間未定)

20070322[vol:146]
【国会1】公明党が嫡出推定について特例法の試案を了承、研究者からヒアリング

公明党のプロジェクトチームは3月15日、離婚後の懐胎が明らかな ケースや、DNA鑑定などで再婚の夫の子どもであることが明らかな 場合は、実父の子として出生届を認める特例法の試案を大筋で了承し ました。
  離婚後の懐胎については医師の証明書があれば届出ができるとし、 離婚後300日以内の出生については、前夫が自分の子ではないことに 異議がないか、母親が陳述書を提出すれば実父の子として届出ができ るとしています。この場合DNA鑑定が必要となります。
  この試案については20日の同党のPTの会議で、家族法に詳しい研 究者や市民団体から届出要件の緩和を求めた意見が出されました。

20070309[vol:145]
【NGO1】772条問題で、長勢法務大臣が見直しを明言 3月8日

mネットと「離婚後300日父子推定110番」で相談に当たった弁護士 が3月8日、長勢甚遠法務大臣に面会し、民法772条の制度の見直しを 要請しました。電話相談で受け付けた事例を紹介し、規定がさまざま な不利益をもたらしていることを伝えました。
  長勢大臣は、嫡出推定制度には合理性があることを示したうえで、 「お父さんも、お母さんも、きちんとやっておられたのに、何らかの 異常がおきたというケースは何とかしてあげたい、と本当に思う」と、 制度の見直しを検討する考えを明らかにしました。
  この面会には、公明党の「772条問題対策プロジェクトチーム」メ ンバーの丸谷佳織衆議院議員、伊藤渉衆議院議員、山本香苗参議院議 員が同席しました。

20070223[vol:144]
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離婚後300日父子推定110番
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日 時  2月25日(日)午後2時〜午後5時

  離婚が成立した日から300日以内に生まれた子どもを前夫の子ども とみなす民法772条2項については、さまざまなケースが報道され、 その規定の弊害については国会でも数多く取り上げられています。
  しかし、一般にはあまり知られていないため、出生届を出す人たち は、提出時に初めて戸籍の担当者から「前夫の子となり、前夫の戸籍 に入りますよ」と聞かされ、大変なショックを受けるケースがありま す。この規定があることで、出生届を出せずにいる人や、前夫とトラ ブルになったケースなどさまざまな問題も寄せられています。
  そこで、家族法に取り組む女性弁護士とmネット・民法改正情報ネッ トワークが「離婚後300日父子推定110番」を行うことにいたしました。

20070208[vol:143]
【国会】衆議院予算委員会で枝野議員が嫡出推定について質問 2月7日

衆議院予算委員会で民主党の枝野幸男議員が2月7日、離婚後300日 以内に生まれた子どもを前夫の子どもとみなす嫡出推定規定について 質問しました。
  枝野議員は「前夫の子と推定されたことを覆そうと思ったら裁判す るしかない。実態と合っていない規定は改善の必要性があるのではな いか」と質しました。これに対し長勢甚遠法務大臣は「できるものが あれば早急に検討したい」と答えました。また、自治体の戸籍窓口の 担当者でつくる「全国連合戸籍事務協議会」が、2002年に法改正や運 用改善を法務省に要望していたことについて、枝野議員は「要望があ ったのに法務省がほったらかしにしているのは怠慢」と厳しく指摘し ました。さらに、この規定が離婚届を提出するまで性交渉があること を前提にしていることについて「離婚の話し合いや調停のプロセスで 夫婦関係はないと考えるのが社会通念。離婚から300日を前の夫の子 と推定するのは、推定の前提になる根拠が明らかに社会常識、社会通 念からずれている。これは調査以前の問題」と批判しました。

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  嫡出推定については、国会での議論が活発になりつつあります。 また長勢法務大臣が見直しを視野に入れた検討を明言したことから 法務省でも実態調査が行なわれる予定です。そこで、mネットは、 国会議員を対象とした制度の見直しのための勉強会を15日に開催す ることにいたしました。様々なケースの当事者にお話をしていただ く予定です。
  当日の様子は報道番組でも紹介される予定です。mネット通信でも 詳しくお知らせします。

20070127[vol:142]
【GO】法務省が「嫡出推定」の見直しの検討へ 1月26日

法務省は26日、子どもの父親が誰であるかを推定する民法772条の 「嫡出推定」の規定の見直しが必要かどうか、実態調査を行うことを 決めました。同日の閣議後の記者会見で長勢甚遠法務大臣が明らかに しました。
  嫡出推定の規定の見直し論議は、大和市在住のKさんの事例(2005年4月、5月のmネット通信第100号、102号参照)が、大きく影響しま した。
  Kさん夫婦は再婚同士。離婚後の妊娠でしたが、娘が誕生したのは 妻の離婚後291日。出生届を出すと前の夫の子どもとして受理すると 窓口で言われたそうです。一度出生届を出すと前夫の戸籍に子どもと して記載されてしまい、後に親子関係がないことが確定しても、一旦 子どもと記載された事実が×印とともに残ってしまうため、Kさん夫 婦は裁判で前夫と娘との親子関係を否定する確定判決を得て改めて出 生届を提出しました。その約半年間は戸籍や住民票がない不安定な状 態でした。
  法務省が実態調査に乗り出したことについてKさんは「これは神様 が与えた試練だと思った。こういう状況下にある子どもたちのために 自分たちがやらなければならない使命だと思い活動をしてきた。法務 大臣が記者会見したことを聞いて本当に嬉しく思う。今後を見守りた い」と話しました。

Kさんの事例は以下でも採り上げられています。
2005年5月27日の『週刊金曜日』が記事掲載
2006年2月22日mネット主催院内集会で問題提起
2006年2月28日本女性差別撤廃条約NGOネットワークの法務省交渉で問 題化
2006年3月15日枝野幸男議員が法務委員会で質問
2007年1月25日毎日新聞が記事掲載

【解説】
  民法772条1項では、法律婚をしている妻が産んだ子どもは法律上の 夫の子どもとみなします。子どもの法的身分が早期に安定するメリッ トがあります。しかし妻が夫以外の男性の子どもを出産しても、実の 父親が子どもを認知したり戸籍に入れたりすることはできないという 問題もあります。
  また、同条2項では、婚姻が成立した日から200日以降に生まれた子 どもや、離婚が成立した日から300日以内に生まれた子どもは夫の子 どもとみなしています。離婚後300日以内に出産すれば法律上は前夫 が父親となってしまうのです。このような場合は、前夫が子の出生を 知った日から1年以内に、自分の子どもではないと「嫡出否認」をす るか、妻や前夫などから親子関係はないという調停や訴えを起こすし かありません。
  ただし、出産が婚姻から200日以内のいわゆる「できちゃった婚」 の場合、通達(注)によって認知しなくても夫の戸籍に入り、夫の子 とする扱いが認められています。通達が事実上民法改正をしているこ とになります。

(注)1940(昭和15)年1月23日の大審院判決をうけ、同年4月8日付民  事甲432号 民事局長通牒として出されています。

20070111[vol:141]

明けましておめでとうございます。
  おかげさまで「mネット通信」は、2001年の創刊号発行から今回で 141号を迎えました。
   民法改正については昨年、法制審議会答申から10年の節目の年でし たが、残念ながら国会ではほとんど審議されませんでした。また、内 閣府が夫婦別姓の世論調査を行うと約束していたにもかかわらず、そ の内容は公開されませんでした。
今年は選挙の年、mネットは情報発信だけでなく、民法改正に賛成 の議員が過半数となるよう各方面に取り組みたいと思っております。
  今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

国会議員からの新春メッセージ

 小宮山洋子衆議院議員(民主)
 多様な生き方、価値観を認めあえる豊かな社会への試金石が選択的 夫婦別姓だと考えています。議員になっての目標の大切な柱ですので 実現にむけてさらに力を尽くします。

吉川春子参議院議員(共産)
 教育基本法から男女共学の規定が削られてしまうなど逆流がつづい ていますね。夫婦別姓が実現しないことだけでなく、国の全体的な方 向が狂っているのだと思います。“日本はおかしい”と多くの人々が 気づいて声をあげましょう。

阿部知子衆議院議員(社民)
 個人―家族(家庭)―国(家)が一直線につながってしまう日本。 多様な個性と家族のあり方、そして新しいバリアフリーの国の姿をつ くるためにも、やっぱり民法改正しなくてはね。

日森ふみひろ衆議院議員(社民)
 困難ではありますが、民法改正に向けてがんばっていきましょう。

 

20061221[vol:140]
【国会】本年の民法改正に関する国会質問

2006年の第164通常国会と第165臨時国会において、民法改正に関する質疑は次のとおりでした。
1月25日  参議院本会議(福島みずほ議員・社民)婚外子差別
2月 8日  参議院少子高齢調査会(円より子議員・民主)婚外子差別
3月15日  参議院本会議(福島みずほ議員)婚外子差別
      衆議院法務委員会(枝野幸男議員・民主)夫婦別姓・婚外子差別・嫡出推定
3月16日  参議院厚生労働委員会(円より子議員)婚外子差別
3月22日  参議院法務委員会(前川清成議員・民主)夫婦別姓
6月14日  衆議院法務委員会(枝野幸男議員)夫婦別姓
10月27日 衆議院内閣委員会(小宮山洋子議員・民主)夫婦別姓の世論調査
10月31日 衆議院教育基本法特別委員会(西村智奈美議員・民主)夫婦別姓
11月30日 参議院教育基本法特別委員会(福島みずほ議員)夫婦別姓

   法制審議会の答申からついに10年がたち、今年こそは改正させよう とする市民の働きかけがあったものの、国会での審議は活発ではあり ませんでした。それぞれの質問については「mネット通信」で紹介し ていますが、質疑の全文については国会会議録検索をご覧ください。 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/index.htm

20061208[vol:139]
【国会】教基法特別委員会で福島議員が夫婦同姓と伝統について質問 11月30日

参議院教育基本法に関する特別委員会で社民党の福島みずほ議員が11月30日、夫婦同姓は伝統かどうか伊吹文明文部科学大臣に質しました。 これは、与党が提出した教育基本法改正案に、教育の目標の一つとして「伝統と文化を尊重」が盛り込まれたことから、伝統の定義について質したものです。
伊吹大臣は「その人その人のとらえ方だが、日本の多くの人たちは、夫婦同姓は伝統ととらえていると思う」と答弁しました。この答弁に対し福島議員は「夫婦同姓の伝統はここ百年ぐらいで、日本は伝統的には夫婦別姓。何をもって伝統なのかは人によって違う。解釈によって不明確になるものを徳目として挙げるということが非常に問題」と指摘しました。
************************************
姓は江戸時代までは原則として武士階級だけにしか認められていませんでした。1870年に初めて庶民にも姓の使用が認められました。使用を義務付けられたのは1875年です。1898年に制定された明治民法では、妻は婚姻により「家」に入り、「家」の氏(姓)を名乗るとされましたが、それ以前は、妻は戸主の戸籍に旧姓で記載されていました。婚姻したからといって夫婦が同じ姓ではなかったのです。日本の伝統のようにいわれるファミリーネームもたかだか100年の歴史ということです。

20061123[vol:138]
【国際1】世界経済フォーラムが男女格差のラキング公表 日本は79位 11月21日

世界の政財界の指導者が集まる「ダボス会議」を主催する「世界経済 フォーラム(WEF)」(本部・ジュネーブ)が11月21日、国際競争力 やジェンダー・ギャップ(男女格差)などの報告書を公表しました。
 男女格差が最も少なかったのはスウェーデンで、日本は115カ国79位 でした。これは、経済、教育、健康、政治の4分野のデータを指数化し て比べたものです。
 WEFは昨年5月、初めて58カ国を対象に男女差別の度合いを指数化 した「ジェンダーギャップ指数」のランキングを公表し、日本は58カ国 中38位となっていました。今回の調査は前回とは異なっており、調査対 象国も増えていることから、順位を比較することはできませんが、前回 と同じように日本は女性の政治参加や雇用機会などの評価が低いことか ら下位に位置しているようです。ちなみにアメリカは22位、中国は63位 韓国は92位となっています。

20061109[vol:137]
【国会1】衆議院内閣委員会で小宮山議員が夫婦別姓について質問 10月27日

衆議院内閣委員会で民主党の小宮山洋子議員が10月27日、夫婦別 姓について質問しました。
 小宮山議員は、「昨年10月の法務委員会で、民主党の津村議員の 質問に対して、当時の南野法務大臣が18年度に夫婦別姓の調査を内 閣府に希望すると答弁しているが、それがどうなっているか」と質 しました。
 これに対し塩崎恭久官房長官が、法務省から今年2月に調査実施 の要望があったことを明らかにした上で、「調査の終了まで公表し ないというのがこれまでのやり方」と答弁しました。
 さらに、小宮山議員は高市早苗男女共同参画担当大臣と塩崎官房 長官に対し、「通称使用では大変不自由がある」と、民法改正を求 めました。
 これに対し高市大臣は、「議論が深まるように努める」と答弁し、 塩崎官房長官も「国民の声をバックにどういうふうにこれを結論付 けていくのかを考えていきたい」と答えました。
 mネット通信第106号で報道していますが、昨年7月8日、野党の国会議員が当時の南野知恵子法務大臣に民法改正の早期実現を要請 した際に、南野大臣は、「来年、内閣府が行う世論調査の結果を見 て判断したい」と答えています。
 2001年の世論調査では、5月17日から27日までの期間に20歳以上 の5000人を対象に調査し、その結果を8月4日に公表しています。
この時期になっても公表されないのは、調査を進めていないか、調 査結果で公開できない理由があるのではないかと考えられます。

20061026[vol:136]
【海外】韓国で婚姻最低年齢を男女とも18歳に決定 10月16日

韓国の法務部は10月16日、婚姻最低年齢を男女とも18歳にする民法 の改正を決定しました。
 法務部は先月、民法改正の立法予告をしていましたが、世論調査を 行った結果、男女とも18歳にすることを支持した人が圧倒的多数を占 めたということです。調査では、3,414人中2,460人が18歳を支持し全 体の72%に上りました。17歳としたのは404人、経済的自立能力を視野 に入れ20歳以上を支持したのは550人でした。18歳の理由としては、経 済的、社会的成熟を考えると高校教育程度は必要であることから高校 卒業年齢の18歳としたということです。
 日本では96年に法制審議会が男女ともに18歳とするよう答申してい ますが、実現していません。中国でも男女差があり、男性が22歳で女 性が20歳となっています。

20061013[vol:135]
【国会】参議院本会議で福島議員が男女共同参画について質問 10月4日

参議院本会議で社民党の福島みずほ議員が10月4日、男女共同参画 政策について質問しました。
 これは、先に行われた安倍晋三首相の所信表明演説に男女共同参画 政策への言及がなかったことから、具体的にどのような施策を実現す るのかを質したものです。
 これに対し安倍首相は「男性も女性も社会の中で個性と能力を十分 に発揮することができる社会にしていくことは重要だ。政府としては、 いったん家庭に入った女性の再就職等の再チャレンジ支援、働き方の 見直しやテレワークの拡充などによる仕事と家庭の両立支援、出産、 子育て期の医療ニーズに対応する体制等を充実強化し、昨年末に改め て作成した男女共同参画基本計画を一層推進していく」と答弁しまし た。

20060914[vol:133]
【裁判】死後生殖による子の認知、最高裁が認めない判断 9月4日

夫の死後、凍結保存されていた夫の精子を用いて誕生した子ども の法律上の父子関係を認めるかどうかを争った裁判で、最高裁判所 第2小法廷(中川了滋裁判長)は、9月4日、認知を認めた高知高裁 の判決を破棄し、認知を認めない判断をしました。これによって訴 えていた女性と男児の敗訴が確定しました。
 判決は「現在の民法は生殖補助医療が存在しない時代に制定され、 死後懐胎子と死亡した父との間の親子関係を想定していない。死後 懐胎子は父からの監護・養育・扶養・相続などの基本的な法律関係 が生じない。親子関係を認めるか否か、認めるとした場合の要件や 効果を定める立法がない以上、法律上の親子関係は認められない」 と述べています。
 女性の夫は白血病の治療で放射線照射を受ける前の1998年に精子 を病院で冷凍保存し、1999年に別の病院で体外受精の承諾を得まし た。しかし、同年夫は死亡し、2000年に保存精子を用いて体外受精 を行い、01年に男児が誕生しました。
 女性は、男児を夫婦の子として出生届を提出しましたが、夫婦間 の子とは認められないとして受理されなかったため、認知を求めて 02年に提訴しました。1審の松山地裁は03年、請求を棄却しました が、2審・高松高裁は、04年に「自然血縁的な親子関係に加え、夫 の生前の同意もあった」と認知を認めたため、国側が上告していま した。この判決の補足意見として、滝井繁雄、今井功両裁判官は、 生殖補助医療の技術が進歩する中、法制度の整備が望まれると指摘 しました。

20060831[vol:132]
【GO1】東京都教委、高校教科書の拉致や性差の記述を調査 8月16日

東京都教育委員会は、2007年度から使用される高等学校のすべての 教科書を調査し、8月16日に公表しました。学習指導要領に定める指 導事項の扱いや、その分量を比較し、教科書選定の資料となる調査 報告ですが、今回都教委は「北朝鮮による拉致問題」と「性差・家 族に関する表現」の扱い方を調査項目に挙げています。
 拉致の記述は、地理歴史科や公民科に限らず、国語科や英語科など 広範な教科が対象になりました。国語科の国語表現T、国語総合と英 語科のオーラルコミュニケーションT、英語T、公民科の倫理には拉 致の記述はありません。地歴科の世界史A、世界史B、日本史A、日 本史B、地理A、地理B、地図、公民科の現代社会、政治・経済では 42点が記載し、46点が記載していません。
 家庭科では家庭基礎、家庭総合、生活技術とも「性差・家族に関す る表現」として、男女共同参画社会基本法や、女子差別撤廃条約、夫 婦の姓の選択、多様な家族、ドメスティック・バイオレンスなど、記 載内容が列挙されています。
 都教委は、拉致記述の調査を03年から実施しています。性差と家族の記述の調査については、その理由を、都の教育目標の基本方針1「 人権尊重の精神と社会貢献の精神の育成」により、人権尊重の理念を 正しく理解できるようにするため、男女共同参画社会を目指すものの、 男女の性差まで否定するものではないとの観点から、性差・家族に関 する表現について調査研究事項を設定した、と説明しています。
 都教委の調査は、学校ごとの選定に対する影響力が大きいといえま す。家庭科教科書を読んでみると、ジェンダー平等の観点で記述され ており、「性差・家族に関する表現」に問題は見当たりません。都教 委がこれを「男女の性差の否定」と曲解し、人権尊重の精神と反する と位置づけることこそが問題といえます。
 なお、この調査報告および都立高校の教科書採択結果は下記アドレ スをご覧ください。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/buka/shidou/19textbook.htm
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr060824t.htm

20060817[vol:131]
【GO1】福井県が撤去書籍153冊公開 8月11日

福井県は8月11日、県生活学習館の書架から一時撤去していたフェミニズムや性教育に関する書籍の情報を公開しました。
 県は当初、女性団体などの情報公開請求に対し「著者の利益を害す る恐れがある」「(撤去を求めた方の)思想、信条がわかってしまう」として非公開にしていましたが、一転して撤去していた153冊の書籍 名、著者名、出版社名を公開しました。
 県の方針転換の背景には、非公開を不服として撤去書籍の著者であ る上野千鶴子さんらが今月26日に提訴に踏み切る構えを見せていたた め、裁判を避けたいとの思惑があったようです。
 県の情報公開により、上野さんらは提訴を取りやめましたが、公開 の理由に「(書籍撤去の申請をした)リスト提供者から公開してもよ いとの意向が確認できた」と述べ、一時非公開とした決定の非を認め なかったことなどから、即日、県知事宛てに「抗議文」と「公開質問 状」を送付しました。
 なお、上野さんらは26日に福井市でこれに関する集会を開く予定で す。(インフォ参照)

20060727[vol:130]
【GO1】社会保障・人口問題研究所が世帯動態調査の結果を公表 7月21日

国立社会保障・人口問題研究所が7月21日、2004年に実施した第5回 世帯動態調査の調査結果を公表しました。これは、世帯の規模や構成 などについて、5年ごとに実施される調査です。
 世帯の規模は減少傾向にあり、1999年では多い順に4人、3人、2人 だったものが、2004年では2人、3人、4人となりました。1〜3人の世 帯が増え、4人以上の世帯が減少しています。
 家族の類型では、「親と子から成る世帯」の46.6%、と「夫婦のみ の世帯」の19.5%を合わせた「核家族世帯」の66.1%が、「親と子夫 婦と孫の世帯」などを含む「その他一般世帯」の24.7%や、「単独世 帯」の8.8%を大きく上回っています。この比率は5年前と同様ですが、 「親と子から成る世帯」の内訳に変化があります。
 「夫婦と子から成る世帯」が42.2%から40.0%に減少し、「男親と 子の世帯」が0.9%から1.0%へ、「女親と子の世帯」が4.6%から5.6 %に上昇しており、「一人親と子から成る世帯」の増加傾向がわかり ます。
 結婚年齢を見ると、男女とも多くの年齢で未婚割合が上昇し晩婚化、 未婚化の進行は顕著です。ただし、30歳未満の男子と20〜24歳の女子 では未婚傾向が低下しており、晩婚と早婚の二極化も見られます。  この調査で興味深いのは、同棲カップルが1%程度と極端に少ない ことを、低迷する出生率と関連づけていることです。
 国際的には、婚外出生が多い国では出生率が高く、婚外出生が少な い国では出生率回復の望みが薄いことを挙げ、「従来の結婚制度を維 持したまま出生率を回復した例は観察されたことがない」と指摘して います。

20060713[vol:129]
【海外】元従軍慰安婦の女性109人が韓国政府を憲法裁判所に提訴 7月5日

日本の植民地時代に従軍「慰安婦」にされた韓国人女性109人が7月 5日、韓国政府の無責任な対日外交により、財産権と幸福追求権、国 家から外交的に保護される権利を侵害されたとして、韓国外交通商部 を相手に憲法裁判所に憲法訴願審判請求書を提出しました。
 昨年1月、1965年に結ばれた日韓条約の外交文書が公開され、韓国 政府は「日本政府に法的な責任がある」と見解を示しましたが、日本 政府に対し補償要求などは行わないとしたことから、初めて政府相手 の訴訟に踏み切ったようです。
 なお、被害者は「(韓国政府は)従軍慰安婦問題の解決に向けて戦 ってきた被害者らの努力を無視し、被害者らが死ぬことのみを待って いる態度である」と主張しています。

20060629[vol:128]
【国会1】衆議院法務委員会で枝野議員が民法改正について質問 6月14日

衆議院法務委員会で民主党の枝野幸男議員が6月14日、国際私法の改正案質疑に関連して民法改正について質問しました。
 枝野議員が、国際結婚の場合の夫婦の氏についての規定を尋ねたところ、三ツ林隆志法務大臣政務官は氏が人格権に関する問題であるとしたうえで、「夫婦それぞれについてその本国法による」と答えました。
 これに対して枝野議員が「夫婦の氏は個人の人格権につながるとする解釈をなぜ日本の民法改正において貫かないのか」と質したところ、杉浦正健法務大臣は、選択的夫婦別姓制度の導入を「立法政策の問題であり、まだ各方面の十分な御理解を得ることが難しい状況にある」と民法改正について消極的な見解を示しました。
 最後に枝野議員は、「日本人が結婚したら夫婦は同姓を名乗るべきという価値観に立つならば、国際結婚で夫婦別姓になっている夫婦に対しても公序良俗違反だからと同姓を強制しないと論理矛盾になる。選択的夫婦別姓反対論は論理性がなく、感情論にすぎない」と主張しました。

20060615[vol:127]
【国会1】改正男女雇用機会均等法成立 15日

男女雇用機会均等法の改正法案は4月28日に参議院で可決し、衆議院に送られていましたが、6月14日、厚生労働委員会で可決し、15日の本会議で成立する見込みです。民主・社民・共産・無所属による修正案は否決されましたが、11項目に及ぶ附帯決議は全会一致で可決しました。附帯決議では、間接差別が厚生労働省令で限定規定する以外にも存在しうることや、5年を待たずに見直しを図ること、ポジティブ・アクションの普及促進や仕事と生活の調和の実現に留意することなど、衆・参両院での審議において野党側が主張した内容が盛り込まれています。
  衆議院での審議は、参考人質疑と与党質疑が1日、野党質疑が1日のわずか2日で採決が行われ、十分審議を尽くしたとは言えません。民主党は参議院では審議入り直後に5年後の見直し規定を盛り込むことを与党と協議し、共産・社民党との協議を打ち切り、二党案に反対しましたが、この態度は労働団体や市民団体から批判されていました。一方、衆議院では野党で修正案を提出し、参議院とは異なる対応となりました。

20060525[vol:126]
【GO】福井県生活学習館が撤去したフェミニズム関連書籍を元の場所に返還

福井県生活学習館が今年3月、フェミニズムや性教育に関する書籍を書架から撤去していた事件については前号でお知らせしましたが、同館は撤去した書籍をすべて元に戻しました。
  今大地晴美敦賀市議の抗議文に対し西川福井県知事は5月18日、撤去した本に誹謗中傷や人権侵害等がないか確認し、すべての書籍を元の書棚に戻したと回答しました。市民側は、本を元に戻しても問題が解決したわけではなく、誤った理解にもとづいて行われる攻撃が起きないよう責任を明確にするべきとして今後も追及する姿勢を崩していません。6月7日には、「言論・表現の自由を守りジェンダー・バッシングを許さない!県民のつどい〜県生活学習館書籍撤去から見えるもの〜」と題した集会が開催されます。

20060511[vol:125]
【GO】福井県生活学習館がフェミニズム関連書籍を撤去

福井県生活学習館が、「書籍の内容が過激すぎる」と県の男女共同参画推進員から苦情申出書が出されたことを理由に、フェミニズムや性教育に関する約150冊の書籍を今年3月に書架から撤去していたことが明らかになりました。
  撤去されたのは、同館にある約2,600冊の蔵書のうち上野千鶴子さんの『スカートの下の劇場』や亀田温子さんの『学校をジェンダー・フリーに』、蔦森樹さんの『男でもなく女でもなく』などです。
  県の担当者は、撤去の理由に、昨年末に閣議決定した基本計画を挙げたこともわかりました。
  この事態を憂慮する県内外の市民が、抗議行動を行っています。
  5月11日には、敦賀市議会議員らが西川一誠知事に対し、撤去した書籍を書架に戻すよう抗議文を送るとともに、県の監査委員に対し、書籍の購入代金に相当する30万円を、職員が連帯して返還するよう勧告することや、本来の管理状態に復帰させるよう勧告する住民監査請求を行いました。
  また、政府の基本計画や内閣府の事務連絡が出されて以来、ジェンダー・フリーやフェミニズムへの攻撃が増加していることから、そのことに危機感を持つ研究者や市民が、ジェンダー概念が正しく理解されるよう、近く猪口大臣あてに要望書を提出するということです。

20060427[vol:124]
【裁判】住友金属と女性社員が和解 4月25日

大阪にある住友金属工業の女性社員4人(1人は定年退職)が、女性を理由に昇給や昇進で差別されたとして、過去の差額賃金や慰謝料などの支払いを求めた訴訟の控訴審が25日、大阪高裁(井垣敏生裁判長)で和解しました。同社が女性労働者の処遇について今後も十分配慮し、原告に一審で認定した賠償額を上回る7,600万円を支払うとした和解案を両者が受け入れたことによるものです。今回の和解により、住友グループの女性差別訴訟はすべて和解したことになります。

20060406[vol:123]
【裁判】東京地裁 婚外子差別の国籍法に違憲判決 3月29日

9組の婚姻関係のないフィリピン人女性と日本人男性の間に生まれた子ども9人の日本国籍を求めた訴訟で、東京地裁(菅野博之裁判長)は3月29日、婚外子であることを理由に日本国籍を認めない国籍法の規定は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると判断し、原告全員の日本国籍を認めました。
 国籍法の違憲判決が初めて示された昨年4月13日の東京地裁(鶴岡稔彦裁判長)(mネット通信第100号参照)では、原告が日本に居住し、父親の支給する生活費で扶養され、完全同居ではないが週末に家族としての交流をしていることなどが認められたためで、家族としての共同生活が認められない場合は国籍取得を認めなくとも「違法と断ずる根拠はない」と条件付けをしていました。
 しかし、今回の判決は、婚外子差別の国籍法の規定そのものが違憲であるとして、国に対してより厳しい内容となっています。また、国が国籍を認めない理由の一つに「偽装認知の防止」をあげたことに対しては、「真実の認知についてまで排除するのは本末転倒」と厳しく非難しました。

20060323[vol:122]
【裁判】女性排除の入会権の正会員規定は憲法違反と最高裁が判断 3月17日

沖縄県金武(きん)町の女性26人が、米軍に接収されている共有地の杣山(そまやま)の入会権者でつくる金武部落民会を相手に「女性排除の正会員規定は憲法違反」として、正会員の地位の確認と補償金の支払いを求めた裁判で、最高裁判所第二小法廷(津野修裁判長)は3月17日、男性のみの正会員資格要件は「憲法の基本理念に照らして無効」と判断しました。ただし、世帯主に限定していることについては公序良俗に反しないとして、夫を戦争で亡くした世帯主の2人については審理を福岡高裁に差し戻し、残る24人については請求を棄却しました。
  沖縄県では入会権をめぐる裁判は珍しくありませんが、男女差別の観点から争われたのは今回が初めてです。一審の那覇地方裁判所は原告の請求を認めましたが、二審の福岡高等裁判所那覇支部は請求を全て棄却しました。
  先月17日には上告側に弁論の機会が与えられたこともあり、控訴審判決が覆される可能性もあると期待されていましたが、24人の請求が破棄されるという厳しい結果となりました。
  しかし、男性に限定した正会員規則は違憲とされ、今後は世帯主の女性にも正会員の道が開かれることから、一歩前進といえます。

20060309[vol:121]
【裁判】東京高裁 母親が外国人の婚外子の国籍を認めない判断 2月28日

婚姻関係のないフィリピン人の女性と日本人男性の間に生まれた子どもの日本国籍の確認を求めた訴訟で、東京高裁(浜野惺裁判長)は2月28日、原告の訴えを認めた一審判決を取り消し、国籍法3条の規定を厳密に解釈するとし、請求を棄却しました。
  昨年4月の東京地裁判決では「父母が法律上の婚姻関係を成立させた子と内縁関係にとどまる子との間に不合理な区別を生じさせている国籍法は憲法14条に違反する」と判断し、原告に日本国籍があることを認めていましたが、高裁では憲法判断に踏み込めませんでした。男児側は上告する方針です。
  現行の国籍法では、母親が日本人の婚外子の場合、出生と同時に日本国籍を取得できます。一方、日本人男性と、外国人女性との間に生まれた婚外子は、胎児認知であれば日本国籍となりますが、出生後に認知された場合は日本国籍を取得できません。日本国籍を取得するには、父母が婚姻届を出すか、帰化を申請する必要があります。
  このケースは、男児の出生から2年後に、日本人の父親が認知をしていたものです。その後、母親が再び父親との子を懐妊し、父親が胎児認知をしたことから、男児の弟は日本国籍が認められています。
  ちなみに、国連子どもの権利委員会は、婚外子差別を解消することや胎児認知を国籍取得の要件としないよう日本政府に勧告しています。

20060223[vol:120]
【国会】民法改正を求める院内集会開催

2月22日、衆議院第二議員会館でmネットが主催した「法制審議会答申から10年!民法改正を求める院内集会」に、衆・参の国会議員や市民など150人が参加しました。
  集会では、選択的夫婦別姓制度や婚外子相続差別撤廃を待ち望む声に加え、子どもの父親が誰であるかを推定している民法の「嫡出推定」の規定が人権侵害をしている例が紹介されました。
  各党代表の意見表明で、民主党の枝野幸男党憲法調査会会長は「自由化、自由化と言っている小泉さんが、どうしてこのことについては自由化しないのか、この明らかな不合理を放置できるのは、人権感覚の欠如だと言わざるを得ない」と自民党の責任を指摘しました。
  社民党の福島みずほ党首は「参議院で法案を出す予定。公明党と一緒に出せれば成立するが、そうした政治状況を作り出せていないことをお詫びする」と発言しました。
  共産党の石井郁子副委員長は、「私たちも民法改正運動に取り組んできた。この集会をきっかけに、気持ちを新たに取り組んでいきたい」と決意を述べました。
  民法改正に賛成する議員として出席した自民党の森山眞弓元法務大臣は「10年も放置されて法制審議会でも困っているのではないか。昨年、自民党の女性議員が増え、新しい時代に新しい考え方の方がいらっしゃるので、現実的な方法で動かしていきたい」と話しました。同じく自民党の広津素子議員は「昨年初当選した16人の女性議員で16会を作り、基本計画などを話し合っている。その中ではコンセンサスができていて、次は自民党の先輩議員を説得することになっている。婚外子差別の問題は、法律婚をしていない女性の側からでなく、生まれた子どもの側から権利の主張をされた方がいいのではないかと思う」と発言しました。
  民主党の小宮山洋子議員は「多様な価値観を認められるのは本当に豊かな社会、男女共同参画社会基本法がバッシングの象徴になってしまった。党派の枠を超えてがんばっていきたい」と発言しました。
  mネットの呼びかけ人の赤松良子元文部大臣は、「法制審議会が立派な答申をしているのに、政府がそれをほったらかしにしているのはおかしい」と政府の対応を指摘しました。
  富山県から参加した塚本協子さんは「私は現在70歳。法制審から10年と言われますが、私は45年間別姓を望んできた。生まれた姓で生き、死んでいきたい」と訴えました。
  清水澄子前参議院議員は「政府にも問題があるけれど、答申が出たわけだから、それを出させないという国会の責任だと思う。市民としても、国会議員に対する説得が必要」と発言しました。
  集会の最後には、民法改正の早期実現を要望する集会のアピールを採択しました。アピール文はmネットのホームページで全文を掲載しています。

20051208[vol:115]
【国連】ユニセフが女性性器切除の被害を報告 11月24日

国連児童基金(UNICEF)は11月24日、中東、アフリカ地域の計28か国で毎年300万人の女性が女性性器切除(FGM)を受けているとの報告を発表しました。
FGMは、女児、女性に慣習として施され、切除の際の激しい痛み加え、出血多量や不衛生な道具の使用によるHIV感染やその他の感染症のリスクを伴い、死に至る場合もあります。性交時には苦痛を伴い、心理的には不安感やうつ病に悩まされることから、FGMは女性に対する暴力であり人権侵害とされています。国連人口基金の『世界人口白書2005』においても、FGMがリプロダクティブ・ヘルスを脅かす女性に対する暴力と指摘されています。
  報告書によれば、性器切除の被害者は1億3000万人に上るということです。被害者はこれまで毎年200万人以下と見られていましたが、報告書は実数のみならず、被害者の住む地域が移民の増加に伴って拡大している実態を明らかにし、廃絶に向けた取り組みへの協力を呼びかけました。報告書の概要は以下をご覧ください。
http://www.unicef-icdc.org/bulletin/  日本では1996年にFGM廃絶に取り組むNGO「FGM廃絶を支援する女たちの会」が発足し活動を続けています。
http://www.jca.apc.org/~waaf/ 

20051124[vol:114]
【国会1】戸籍続柄差別裁判で最高裁が原告の上告を退ける決定 11月18日

事実婚カップルの子どもの戸籍に、婚外子とわかる記載をするのは差別であるとして、国と中野区にその訂正と慰謝料を求めた裁判で、最高裁(今井功裁判長)は11月18日、原告の請求を棄却した二審の東京高裁判決を支持し、上告を退ける決定をしました。これで原告の敗訴が確定しました。
 婚外子の差別記載をやめることを求めた訴えについては、一、二審とも棄却し、一審の東京地裁が「婚外子と判別できる記載は、プライバシーの権利を侵害する」と判断しましたが、二審では「プライバシーの権利を侵害する違法な記載であるとはいえない」と一審を翻す判断をしていました。

20051110[vol:113]
【国会】衆議院法務委員会で津村啓介議員が夫婦別姓について質問 10月28日

10月28日、衆議院法務委員会で民主党の津村啓介議員が選択的夫婦別姓制について質問しました。
 津村議員は、「平成15年8月に女子差別撤廃委員会から最終コメントが出され、夫婦の氏の選択に関する日本の民法の規定が差別的な要素を含むと、大変厳しい内容の懸念が表明された。その後2年間、法務省としての特段の取り組みが見られない。法務大臣として、このコメントに対する考えを聞かせてほしい」と質しました。これに対し南野千恵子法務大臣は、「民法の規定では、夫または妻の氏のいずれを称するかを夫婦の選択にゆだねているので、男女の平等の理念に反するものではない。女子差別撤廃条約に違反するものではないと思っている」と答えました。さらに津村議員は、「コメントは『民法に依然として存在する差別的な法規定を廃止し、法や行政上の措置を条約に沿ったものとすることを要請する』と、かなりストレートに表現されているが、このコメントには応じない、意に介さないという意味か」と質しましたが、南野大臣は「(女性差別撤廃委員会が)条約の適用に関する理解を誤っていると考えているので、最終コメントを受けて民法を改正する必要はないと思っている」と答弁しました。
 津村議員は「アンケートでは若い世代の賛成意見は大変大きい。未婚者からニーズのある制度の一つだとすれば、少子化対策の一助となる可能性はある。これは単に女性の権利とか人権の問題として考えるだけではなく、より大きなフレームワークで考えるべき問題。これを5年間、国民の理解を得られることが重要だと言っておきながら、その理解が得られているかを確認する作業さえしていない。それは行政の怠慢」と指摘しました。

20051027[vol:112]
【国際】国連人口基金が「世界人口白書2005」を発表 10月12日

国連人口基金(UNFPA)は12日、「世界人口白書2005」を世界に同時発表しました。
 20世紀後半から人口が急激に増加し、世界人口は65億人に達しようとしています。開発途上の貧困国を中心とした人口爆発は深刻な問題となっており、特に貧困の被害が集中する女性(女児)への戦略的投資が必要であることを訴えています。
2000年に189カ国の首脳が会した国連ミレニアム・サミットでは、貧困削減を目指した合意をもとにミレニアム開発目標(MDGs)が設定され、その達成期限を2015年と定めました。MDGs達成にはジェンダー平等とリプロダクティブ・ヘルスが不可欠であるとしています。今年の白書は、これらの視点から人口問題を捉え、表題には「平等の約束 ―ジェンダー公正、リプロダクティブ・ヘルス そしてミレニアム開発目標」を掲げています。
 また、貧困削減の目標達成には男性と手を組むことが不可欠として、「女性のエンパワーメントがすべての人に利益をもたらすことを男性が認識したときジェンダー平等と社会変容が達成可能になる」と述べています。なお、「世界人口白書2005」の全文はhttp://www.unfpa.or.jp/4-1.htmlでご覧になれます。

20051013[vol:111]
【国会1】衆議院内閣委員会で小宮山洋子議員がジェンダーについて質問 10月12日

10月12日、衆議院内閣委員会で民主党の小宮山洋子議員が、ジェンダーや少子化問題などについて質問しました。
 小宮山議員は、「一部の人たちが主張している、(男女)同室での着替えや宿泊をジェンダーの視点に基づいて行っているという事例は、おそらくないと思う」と述べたうえで、文部科学省に実態を把握しているか質しました。これに対して政府参考人が「学校現場で男女同宿あるいは男女混合名簿などの実態を把握したい」と答えたことから、小宮山議員がその答弁内容に不快感を示し、「男女混合名簿というのは男女共同参画に必要だと思っており、その実態を調査せよなどとは言ってない」と厳しく指摘しました。
  さらに、小宮山議員は「男女共同参画の推進のために、ジェンダーという言葉、概念は重要だと考えている」と政府の見解を質したのに対し、細田博之官房長官は「これまで使われている言葉の意味、趣旨、それから今後の基本計画においても同様の視点でこれを盛り込んでいくということは、方針として決めている」と答弁しました。

20050929[vol:110]
【GO】男女共同参画会議の専門調査会が「最も子育てしにくい国」と報告 9月13日

政府の男女共同参画会議(議長・細田博之官房長官)もとにある「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」(会長・佐藤博樹東大教授)は9月13日、少子化と男女共同参画に関し、社会環境の国際比較を行った報告書を取りまとめ公表しました。これは、少子化と男女共同参画の関係を明らかにするとともに、少子化の流れを変えるための課題を検討するもので、近く行われる男女共同参画会議で報告されるということです。
具体的には、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち、1人当たりの国内総生産(GDP)が1万ドル以上の24か国について、1970〜2000年の女性の労働力率と合計特殊出生率との関係を調べ、類型化を試みています(大きくはタイプA、B、C)。
日本は、韓国、イタリアなどとともに、合計特殊出生率の下げ幅が平均未満であり、かつ2000年時点での合計特殊出生率と労働力率がともに平均未満のタイプC2に位置していますが、過去20年間に出生率を上昇させているタイプAには、アメリカ、北欧諸国、オランダが含まれます。
この報告書では、労働力率と出生率に関連すると考えられる制度、価値観、公共政策などの社会環境要因についても指標を作って検討しており、タイプAの国々が社会保障制度等について大きく異なるにもかかわらず出生率を上昇させている理由として、ライフスタイルの多様な選択が可能になっていることをあげています。
日本は24か国中労働力率の上昇率が最も小さいにもかかわらず、出生率は下げ止まらず、低下幅もわずかに増加しています。社会環境指標では、「仕事と生活の両立可能性」および「ライフスタイルの選択可能性」の水準が特に低いことが指摘され、この側面での施策・制度の推進が日本の取り組むべき課題であることが示唆されています。
詳しくは、内閣府男女共同参画局のホームページhttp://www.gender.go.jp/をご覧ください。

20050915[vol:109]
【国会】衆院選で女性43人が当選 9月11日

9月11日に投票が行われた衆議院議員選挙で、女性当選者数が過去最多の43人に上りました。前回の34人に比べると9人上回っていますが、全衆議院議員に占める女性の割合は9%と、依然として低く、先進国の中でも極端に少ない状況は変わっていません。当選者の選挙区と名前は次のとおりです。
自民党
【選挙区】(栃木2区)森山真弓、(群馬5区)小渕優子、(埼玉13区)土屋品子、(東京10区)小池百合子、(東京14区)松島みどり、(千葉2区)山中あきこ、(福井1区)稲田朋美、(静岡1区)川上陽子、(静岡7区)片山さつき、(大阪2区)川条志嘉、(大阪7区)渡嘉敷奈緒美、(大阪17区)岡下信子、(奈良2区)高市早苗、(福岡10区)西川京子
【比例区】(北海道ブロック)飯島夕雁、(北関東ブロック)永岡桂子、中森福代、(東京ブロック)猪口邦子、(東海ブロック)藤野真紀子、佐藤ゆかり、(近畿ブロック)近藤三津枝、井脇ノブ子、井沢京子、(中国ブロック)阿部俊子、(四国ブロック)西本勝子、(九州ブロック)広津素子
民主党
【選挙区】(北海道7区)仲野博子、(新潟1区)西村智奈美、(新潟4区)菊田真紀子
【比例区】(東北ブロック)田名部匡代、郡和子(北関東ブロック)小宮山泰子、(東京ブロック)小宮山洋子
公明党
【比例区】(北海道ブロック)丸谷佳織、(東京ブロック)高木美智代、(南関東ブロック)古屋範子、(近畿ブロック)池坊保子
共産党
【比例区】(東北ブロック)高橋千鶴子、(近畿ブロック)石井郁子 社民党
【比例区】(南関東ブロック)阿部知子、(近畿ブロック)辻元清美 無所属
【選挙区】(新潟5区)田中真紀子、(岐阜1区)野田聖子

20050818[vol:108]
【国会】国際婦人年連絡会が女性国会議員との懇談会を開催 8月3日

国際婦人年連絡会(加盟41団体)は8月3日、参議院会館で女性国会議員との懇談会を開きました。衆・参の14名の議員が出席し、男女共同参画推進の取り組みと課題ついて発言しました。
政府は、男女共同参画社会基本計画の改定案を今年中につくる予定ですが、自民党の「過激な性教育・ジェンダーフリーを考えるプロジェクトチーム」の安倍晋三座長が、今年5月末のシンポジウム(mネット通信第103号を参照)で、男女共同参画社会基本法の見直しに言及し、ジェンダーという言葉の使用についても否定的な見解を示していることから、自民党の動きに危機感を持った連絡会が女性議員との意見交換を行ったものです。
民主党の小林千代美議員は、「出身校で『つくる会』教科書が採択されてしまった。入学式の来賓挨拶で東京都の米長教育委員が『男は男らしく、女は女らしく』と挨拶したことに驚いた」と発言しました。水島広子議員は、「バックラッシュの根底には、男女共同参画が進むと、自分が持っているものが失われるとか、今まで守ってきたものが壊されるのではないかという不安があるのではないか。表から攻撃するのではなく、不安を解していく取り組みも必要」と発言しました。 公明党の池坊保子議員は「男女共同参画の推進は、大いに教育によるところが大きい。人間としての尊厳と個の確立が必要であることを教えることが必要」と発言しました。共産党の吉川春子議員は「ジェンダーという言葉はわからなかったが、言葉を知って何が問題かということがわかった。女性が闘う言葉を手に入れたということ」と発言しました。
主催者を代表して事務局長の山口みつ子さんが「男性にも入っていただけるような超党派の男女共同参画推進議員連盟を作ってほしい」と要望しました。出席議員は以下のとおりです。(敬称略)
【衆議院】
  (民主)小林千代美、小宮山洋子、石毛えい子、水島広子
(公明)池坊保子
(共産)石井郁子
【参議院】
  (民主)和田ひろ子、神本美恵子、森ゆうこ、 下田敦子、円より子
(共産)紙智子、吉川春子
(社民)福島みずほ

20050728[vol:107]
【国会】男女共同参画会議の答申について民主党が会見 7月25日

民主党『次の内閣』ネクスト男女共同参画担当大臣の小宮山洋子衆議院議員らが25日、男女共同参画会議の答申を受けて記者会見を行いました。
小宮山議員は、国家公務員I種事務系の女性採用割合の目標を、2010年度頃までに30%程度とするなど、推進が求められる施策が具体的に示された点を評価した一方で、「ジェンダー」の表現などを引き続き調査するとした答申については、「極めて異例」と指摘しました。男女共同参画に対する反動も含めて、「憂慮される事態」が見られるとの見解を示し、正しい方向で議論が行われるよう今後とも注視していくとしています。
 なお、会見には、同党の男女共同参画委員長の水島広子議員や西村智奈美議員、田島一成議員が出席し、ジェンダーに敏感な視点で政策をつくる政党として、ジェンダーバッシングを行う自民党との違いをアピールしました。

20050714[vol:106]
【地方自治体】結婚観や性別役割分担意識などの調査を富山県が公表 6月24日

富山県が6月24日に公表した、富山県男女共同参画社会に関する意識調査で、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」に反対(43.8%)の意見が、初めて賛成(40.0%)を上回ったことが明らかになりました。
 この調査は、昨年11月から12月にかけて、20歳以上の男女各600人に面接し、973人から回答されたものですが、内閣府が行った調査とほぼ同様の結果となっています。
 富山県は今回の調査結果を、(1)増加傾向にあった脱結婚志向が減少したこと(2)性別役割意識が減少したこと(3)家事育児の7割を妻が担っていること(4)男性優先の意識や職場慣行が根強くあること(5)男女の地位に関し、女性に高い不平等感があることなどを特徴としてあげています。
 富山県によると、この調査結果は、富山県民男女共同参画計画の見直しや関係施策の基礎資料として活用していくということです。
 なお、広島県が行った男女共同参画社会に関する県民意識調査では「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」に64%の否定の意見がありました。初めて実施されたドメスティックバイオレンス(DV)に関する質問では、女性の約3割が暴力を受けたと回答し、DV防止対策を求める声が多数を占めたことが明らかになっています。

20050630[vol:105]
【海外】韓国国会で家族概念を拡大する「家族支援法」を発議 6月27日

朝鮮日報によると、与野党の議員29人が27日、従来の家族概念の範囲を、大幅に拡大させる法案を発議したということです。
 従来の家族概念は、結婚・血縁・養子縁組などが想定されていましたが、法案では、同棲、シングルマザー、委託児童共同体なども家族として認め、政府がこれらの家族の解体を防ぐための各種の支援を行うべき、としています。 
 なお、「家族支援法」が国会で成立すれば、従来の「健康家庭法」は廃止されるということです。
 今年から施行された「健康家庭法」は、政府が家族の解体を防ぐため、離婚などの家庭問題を予防し、プログラムを開発するための健康家庭センターなどを運営するよう規定していますが、一部の女性団体は昨年10月、「健康家庭法は結婚による家族だけを『健康な家族』と位置づけ、結婚をしていない家族、同性愛者の家族などに対する平等権を侵害する」とし、国家人権委員会に陳情を行っていたということです。この法案は、各女性団体のこうした認識が大幅に反映されたものです。戸主制の廃止に次ぎ、再び国会審議過程で家族概念をめぐって論争が起こることが予想される、と報じています。

20050616[vol:104]
【GO1】政府、女性の再就職支援へ 6月10日

政府は6月10日、出産などを理由に仕事をやめた女性の再就職を支援するため、関係閣僚による「女性の再チャレンジ支援策検討会議」(仮称)を7月に設置することを決めました。
 これは女性の再就職を支援することが労働力の確保につながるうえ、少子化傾向に歯止めをかけると判断し、男女共同参画推進本部(本部長・小泉純一郎首相)の下部組織として設けるものです。細田博之官房長官、竹中平蔵経済財政担当大臣、尾辻秀久厚生労働大臣ら6閣僚で構成します。
 検討会議は、再就職のための能力開発やハローワークなど関連機関のネットワーク化による求人情報の提供の活用などを議論するということです。

20050526[vol:103]
中学校教科書検定特集2

*公民教科書の「夫婦別姓記述」変遷調査
中学校の公民教科書における「夫婦別姓」の扱いの変遷は次のとおりです。
 2002年版を発行する8社のうち「夫婦別姓」の記述があるものは、東京書籍と日本書籍新社の2社です。2006年版の申請本では東京書籍・日本書籍新社・教育出版の3社です。 「mネット通信第100号」でお伝えしたとおり、検定で意見がついたために東京書籍は夫婦別姓の記述をすべて削除し、教育出版は民法改正の動きについて修正しました。日本書籍新社は申請本で「男女の婚姻適齢差別問題や夫婦別姓問題など、民法そのものの改正も注目されるようになってきている」と記述するとともに、注で男女の婚姻適齢差別問題については「男は満18歳、女は満16歳にならなければ婚姻をすることができない(民法731条)を性差別とする」と
説明し、夫婦別姓問題は「夫婦同氏(姓)原則(民法750条)を結婚するときに、夫婦別氏も選択できるように改正しようとする動きのこと」と詳述しています。さらに「夫婦の姓に関する各国の実態」として「夫婦同姓・別姓の選択を認めている国」「夫婦別姓制の国」「夫婦同姓制の国」などに分けて国名を一覧表にしています。
なお、これらについて検定意見はついていません。

*「mネット通信第102号」で扶桑社が「男女共同参画社会の課題」で「男女のちがいというものを否定的にとらえることなく、正しい意味での男らしさ・女らしさという個性をみがき上げていくことが重要である」と記述したことに対しては、「正しい意味での男らしさ・女らしさの意味内容が明らかではなく、理解し難い表現である」という検定意見がつき、「男らしさ・女らしさを大切にしながらそれぞれの個性をみがき上げていくことが重要である」という記述に修正されました。


20050512[vol:102]
【寄稿】

法律が、娘の父を妻の前夫と推定したために、生後172日目にやっと真実に基づく出生届が受理されました。 娘は妻と前夫の離婚後に私と妻の間に妊娠した子です。民法772条1項も「婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」としています。なのに、医学的判断は無視されて、同条2項の「母の離婚後300日以 内に生まれた子は前婚姻中に妊娠したと推定する」という規定が優先されたのです。同条項の規定は妊娠時期を医学的に確定できなかった明治時代に立法化されました。妊娠期間は約266日間であること、医学技術で妊娠時期を容易かつ確実に確定できることから、300日間は長すぎで、根拠も皆無です。この規定により、実質的には待婚期間の大半の146日間(=300日−合法的中絶可能期間)は前夫に対して貞操義務を負っているのと同じことにもなるのです。
 私達夫婦は法定待婚期間を経て合法的に結婚しました。そして、再婚後に娘が生まれました。制度を踏襲して結婚した夫婦の間に子どもが生まれたのに、根拠のない法律によって私達家族は不当な干渉を172
日間も受けざるを得なかったのです。子どもが生まれるといった家庭にとって最高の喜びが一瞬にして打ち砕かれました。172日間は裁判のための時間でした。真実の出生届けを出すために要した精神的・経済
的負担は甚大です。何のための待婚期間なのでしょうか?根拠のない同条項が法定待婚期間の存在理由にされていますが、私達の体験からは同条項そのものが事実を歪曲化しているのですから、待婚期間存置理由になるとは考えられません。いずれにしても、法律は真実を明らかにして紛争を解決する手段であるはずです。しかし、同条項は捻じ曲げた虚構を作り出し、争いごとのないところに裁判上の紛争を創り出しています。立法府がこれまでこの条項にメスを入れてこなかったのは、その不当性に気づく機会がなかったからだと思います。ですから、これから改正すればいいことなのだと思います。私達が味わった苦痛を参考にしていただいて、一日も早い法改正を望むところです。 
                    (神奈川県 K)

20050428[vol:101]
【裁判2】事実婚女性への遺族年金支給を最高裁が判断 4月21日

別居中の法律上の妻と長年同居している事実婚の妻のどちらに遺族共済年金の受給資格があるか争われた裁判で、最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は21日、「法律上の妻と男性の婚姻関係は実体を失って形骸化しており、内縁の妻は事実上婚姻関係と同様の事情にある」として、事実婚の妻に年金受給権を認め、支を拒否した日本私立学校振興・共済事業団側の上告を棄却する判決を言い渡しました。これにより事実婚の妻を勝訴とした1、2審判決が確定しました。
詳しくは最高裁ホームページをご覧ください。
http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/dc6df38c7aabdcb149256a6a00167303/
909b21392b5ac0bc49256fea000d93b8?OpenDocument

20050414[vol:100]
【国会1】野党が民法改正案を提出 3月30日

3月30日、民主、共産、社民の野党3党が民法改正の議員立法案を参議院に提出しました。法案の内容はこれまで提出してきたものとほぼ同じものとなっています。
 昨年の通常国会で衆・参同時に提出された民法改正法案は、衆議院では継続となっていますが、参議院は昨年夏の参院選により廃案となったため、今回提出されました。
 発議者は、千葉景子、吉川春子、福島みずほ、小川敏夫、神本美恵子、円より子、井上哲士、近藤正道 (敬称略)となっています。

20050324[vol:99]
【国会1】参議院で野党が民法改正法案提出へ

参議院の民主、共産、社民、無所属の野党が民法改正法案を3月30日に提出することが明らかになりました。
 法案の内容はこれまで提出してきたものとほぼ同じものとなっています。発議者、賛成者は確定していませんが、民主党の千葉景子議員、共産党の吉川春子議員、社民党の福島みずほ議員が調整をしているということです。30日の本会議終了後に参議院事務総長へ提出し、記者会見を行うということです。
 なお、衆議院では昨年の通常国会に野党が提出した法案が継続審議となっています。

20050311[vol:98]
【海外】韓国憲法裁判所が戸主制に違憲判断

 3月2日、韓国の国会は戸主制の廃止を盛り込んだ民法改正案を可決しました。
 戸主制廃止の見通しについては、1月3日付けのmネット通信第94号で、2月3日の戸主制違憲判決は第6号でそれぞれお伝えしましたが、戸主制に代わる新しい制度としては、個人別の身分登録簿が導入されるということです。そのほかに、離婚女性の6ヵ月の再婚禁止規定の廃止、「同姓同本」の男女の婚姻を禁じた条項の廃止、夫婦が婚姻前に合意すれば子どもが母親の姓を名乗ることができるというもので、改正法は2008年1月から施行されます。

20050224[vol:97]
【国会2】参議院憲法調査会で赤石公述人が憲法24条について陳述

 2月21日、参議院憲法調査会の公聴会で、婦人民主クラブの赤石千衣子公述人が憲法24条について意見陳述を行いました。
 赤石公述人は、「婚外子の相続分差別の違憲判決などを通して、憲法というものが、社会的な少数者に目を向けて法の下の平等を適用し、違憲であると宣言し、法律改正を促す明確な力を持っていることを実感した。憲法13条、14条、24条により男女の平等が一歩ずつ確かなものになってきているが、婚外子差別や選択的夫婦別姓制度は実現していない。両性の平等と個人の尊厳を規定した憲法24条を見直す案が9条とともに出てきたことに大変危惧している」とました。

20050210[vol:96]
【GO】内閣府「北京行動綱領評価」の意見交換会を開催 1月31日

 今月末からニューヨークの国連本部で第49回国連婦人の地位委員会(北京+10)が開催されますが、これに先立ち、内閣府男女共同参画局が主要テーマとなる「北京行動綱領及び女性2000年会議成果文書に関する実施状況の評価」等についてNGOや市民との意見交換会を開催しました。
 NGOからは、夫婦別姓などの民法改正や女性差別撤廃条約選択議定書の批准などを求める意見が出されました。これに対し、関係省庁の担当者からは前向きの回答はありませんでした。
 出席者からは、内閣府の意見交換会開催については評価するとしながらも、各省庁の消極的な回答には不満が数多くあげられました。
 出席する政府代表団には、関係省庁のほかNGOのメンバーも参加する予定で、4月には内閣府がNGOなどへ直接の報告会も予定しています。

20050127[vol:95]
【裁判】戸籍続柄裁判が結審、3月24日判決 

 1月25日、東京高裁で戸籍続柄裁判の第4回口頭弁論が行われ、原告側が昨年11月の戸籍法施行規則の改正の問題点を準備書面で提出しました。裁判は結審し、3月24日に判決が言い渡されます。

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 戸籍法施行規則改正の問題点については、「mネット通信第93号」でも紹介していますが、そのほかにも多くの問題が指摘されています。例えば、更正手続きによって婚外子の続柄を「女」から「長女」に変える場合、「女」の字に訂正線が引かれ、その脇に「長女」と書かれるため、更正前の続柄は一目でわかり、転籍しても変わりません。それを避けるためには更正とともに戸籍の再製をしなければなりません。
ところが再製の手続きの方法は戸籍の窓口ではほとんど案内されていません。
 改正に伴い出生届けの様式が変更されましたが、法務省がホームページ上で出生届けの書き方を旧様式で例示していたことが判明しました。また、自治体によっては旧様式の届出用紙をそのまま使っているところもあるようです。


20050113[vol:94]
【GO】内閣府 「北京行動綱領評価」の意見交換会への参加者を募集 

 内閣府男女共同参画局は、「北京行動綱領及び女性2000年会議成果文書に関する実施状況の評価」に関する情報・意見交換会を1月31日に開催します。これは、3月に開催される第49回国連婦人の地位委員会で採り上げられるテーマに関心を持つ人と内閣府が情報交換をするために行うものです。会議に参加を希望する人は今月21日までに登録する必要があります。
 詳しくはホームページ(http://www.gender.go.jp/)をご覧になるか、電話(03-5253-2111内線83716/83717)でお問い合わせください。