大空を飛ぶ航空機に的確な指示を与え安全な運航を守る。そんな立派な職業にあこがれを抱く少年に“夢”を与えたい…と考えるのは無理もないのだが、やってはいけない事をやってしまった。
国交省によると、実習は地元の中学生2人が参加し5〜7日に実施。6日に50代と60代の管制官3人が「福岡空港の管制官と通信してください」との英語の指示を片仮名で「コンタクトフクオカアプローチ」などとメモ書きにして渡した。
2人は午前10時44分から46分にかけ、飛行中の日本航空(乗客乗員387人)とスカイマーク(同177人)各1機との間で無線交信し、メモを読み上げた。だが、この行為は「管制業務は(資格を)有する職員以外の者に行わせないものとする」と定める国交省の内規に違反していた。
6日中に、メモを読ませた管制官の上司に当たる先任管制官ら2人が、中学生から礼を言われて事実を把握したが、中学生に「胸にしまっておいて」と要請。実習の窓口担当の職員にも依頼し、窓口担当からも中学生に口止めを頼んだ。
しかし、実習終了後の7日午後、管制部門以外の職員も参加した実習報告会で、中学生が「(交信できて)本当に感激した。一番うれしかった」と話したため問題が広まり、報告会の内容を8日朝に聞いた先任管制官が福岡航空交通管制部長に報告。国交省への報告を指示された。
同省の調査に対し、先任管制官は「大変なことをしたと思い、隠そうとした」と説明。交信させた管制官は「やってはいけないと認識していたが、業務に興味を持ってほしかった」と話したという。
国交省は「航空の安全を担う者としてあるまじき行為。事実関係をさらに調べ、処分も含め厳正に対処したい」として、関係者を処分する方針。