チリ鉱山落盤事故　69日ぶり“奇跡の救出”３３人全員生還

１３日、サンホセ鉱山落盤事故で最後に救出され、こぶしを突き上げて喜ぶルイス・ウルスアさん（中央）と笑顔のピニェラ大統領（右）＝チリ北部コピアポ郊外（チリ大統領府提供） Photo By ＡＰ＝共同

チリ北部コピアポ郊外のサンホセ鉱山落盤事故で、地下約７００メートルに閉じ込められた作業員３３人の引き上げ作業は急ピッチで進み、１３日午後１０時（日本時間１４日午前１０時）前、作業員のリーダー役のルイス・ウルスアさん（５４）の救出に成功、全員が地上に無事生還した。

　８月５日の事故発生から６９日ぶり、同２２日の全員生存確認から５２日ぶり。チリの基幹産業である銅鉱山を舞台に、地底からカプセルを通じて地上に搬送する「奇跡の救出」は成功した。「全員生還」を掲げたチリ政府は国内外に国家的威信を示すとともに、一連の作戦を通じて国民の間にも強い一体感をもたらした。

　救出されたウルスアさんは、現地入りして作業を見守ったピニェラ大統領と笑顔で抱き合った。大統領は現地で演説、「チリはかつてないほどに（国民が）結束した」と述べた。

　救出作業は当初予定の４８時間よりも大幅に速いペースで進み、１２日深夜の作業着手から約２２時間半で完了した。

　一方、マニャリク保健相は１３日、作業員が搬送されたコピアポ市内の病院を視察。搬送された作業員１７人のうち、１人が急性肺炎を患い、全員に虫歯が見つかった上、うち２人は全身麻酔を伴う歯科治療が必要な状態であることを明らかにした。

　全員救出に先立ち会見したゴルボルネ鉱業相によると、地下約６２０メートルの坑道で作業員にカプセルの乗り方などを指導する救助隊員を６人に増員し、作業ペースがアップ。１人当たりの救出時間は当初予定していた約４５分間から短縮され、カプセル降下から作業員を乗せて地上に戻るまで、約３０分間になっていた。 （共同）

[ 2010年10月14日 09:59 ]