衆院予算委員会は13日、沖縄県・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像について、国政調査権に基づき那覇地検に提出を求めることを全会一致で議決した。提出後のビデオ映像を公開するかどうかの取り扱いは予算委理事会で協議する。政府・民主党は日中関係への影響を考慮して全面公開を見送る方針のため、予算委理事が非公開で見ることなどが検討されている。
建設会社「フジタ」の社員が全員解放されたことを受け、野党側が求めていた決議に民主党が応じた。菅直人首相は13日夜、首相官邸で記者団に「国会で議決をされて、検察庁、しかるべきところに要請が行くから、捜査当局がきちんと判断してくれると思う。判断を待って、(日中関係への影響など)その後のことは考えたい」と述べた。
与野党は9月30日の予算委理事会でビデオ提出を要求することで合意したが、刑事訴訟法で初公判前の証拠公開を禁じているため対応を協議。国政調査権であれば、刑訴法が例外として定める「公益上の必要」に該当するとした。衆院事務局によると、国政調査権に基づく資料要求(国会法104条)は、95年2月の東京協和、安全の2信用組合の経営問題で大蔵省(当時)と東京都に預金者リストなどを求めて以来。【横田愛、念佛明奈】
毎日新聞 2010年10月14日 東京朝刊