2010年10月08日
ヤマハ新AVアンプRX-V3067/V2067/RX-V1067を一挙チェック!高橋 敦が各モデルのポイントを整理&レビュー
高橋 敦
ヤマハから10月上旬発売となる新AVアンプ「RX-V3067」「RX-V2067」「RX-V1067」。外観やインターフェースではなく、内蔵DACのグレードなどクオリティ面に差異をつけ、「音質・画質に対するこだわりの度合いで選んで欲しい」と語られる新モデルだが、それぞれどのような差異があるのだろうか? 高橋 敦氏が3機種の特徴を整理。音質の違いをチェックする。■まずは全モデル共通の主なポイントを整理
ヤマハからミドルクラスAVアンプ3モデルが一気に発売される。ハイエンドで培われた高音質化ノウハウを着実に導入し、機能や操作性の面での進歩や挑戦も見られる、意欲作だ。
まずは全モデル共通の主なポイントを見ていこう。
左からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067。外観に変わりはない | こちらも左からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067。背面端子のレイアウトも同じ |
左からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067のリモコン。3067はLEDバックライト付きで、2067はボタンレイアウトは同じだがバックライトなし。1067は別デザインのリモコンとなる | 上からRX-V3067、RX-V2067、RX-V1067のケーブル。太さが違うほか、プラグ部のメッキも違うことがわかる |
機能面での最大のトピックは、DLNA 1.5とWindows 7に準拠する、同社いわく「ピュアオーディオグレードのネットワークレシーバー機能」だ。再生形式としてFLAC、しかも96kHz/24bitにまで対応していることに注目したい。高音質配信の主流と言える形式・仕様であり、そちら方面に興味のある方には大きな魅力となるだろう。
加えて操作性も良好。画面のメニューからアーティスト名やアルバム名などをたどっていくときの、リモコン操作へのレスポンスが軽快で、ストレスを感じない。アーティスト名などの日本語表示にも完全対応する。
ネットワークオーディオ機能使用時のインターフェース | タイトルやアーティスト名の日本語表記にも対応する |
PlugPlayerなどUPnPアプリでの操作も可能だ | このようにばっちり認識される |
では3モデルの差異はどこにあるのか?
細かく見ていけばこれも多々ある。例えば自動音場補正は、最大8地点での計測結果を総合的に判断・評価するマルチポイント計測に加え、初期反射音を制御するYPAO-R.S.C .(Yamaha Parametric Room Acoustic Optimizer Reflected Sound Control)を備えた新世代YPAOとなっているが、1067のみYPAO-R.S.C.は非搭載。また、3067のみ視聴位置から見た各スピーカーの位置関係を把握してシネマDSP再生時の音場調整に反映させるスピーカー角度計測に対応する。
YPAOで計測をおこなった結果はこのように細かくチェック可能。こちらのGUIは3機種共通だ | 自動測定のほか、手動で設定することも可能だ |
とはいえまずは、「上位モデルに根本的な優位はある」とした部分について理由を説明しよう。V3067とV2067はフラグシップモデルDSP-Z11の筐体設計を踏襲。主要パーツの左右対称配置とH型クロスフレームによる、制振・高剛性シャーシだ。V3067はさらに、ダブルボトム構造や高剛性メタルレッグなども採用する。その他、採用パーツのグレードや最大出力なども、上位モデルの優位と言える。
では各モデルの試聴印象をレビューしていこう。
試聴をおこなう高橋氏 |
■上位モデルが必ずしも”好い音”であるとは限らないのがこのシリーズの面白味
RX-V1067 | RX-V1067(ゴールド) |
また声の帯域、描写力が特に充実。アクションの場面でも台詞が太く抜けてきて、力強い存在感。映画であれ音楽であれ、主役は人の声である場合が大半。その充実はすなわち、アンプとしての総合点を大きく引き上げることになる。
音調としては、高域側を無理に稼いでいないこともあり、少し柔らかめ。低域側は適度に緩め、ジャズのウッドベースの太さや量感も十分に楽しめる。
RX-V2067 | RX-V2067(ゴールド) |
声の太さや存在感は、こちらも良好。大柄な男性の胸の響きの豊かさや、アニメでのつるっと適度に無機質な感触も好い。
音楽を聴くと、特に高域の伸びや抜けの良さをさらに実感できる。端的に言えば、シンバルの透明感や抜けがV1067より上だ。低域側では、特にロックで顕著だが、ベースとドラムスのアタックのスピード感と音圧が増す。それもやはり、中高域の抜けのおかげだろう。
RX-V3067 | RX-V3067(ゴールド) |
クラッシュや爆発な大音響の中低域は、下位モデルよりもぐっと引き締められた印象だ。しかしアタックの瞬間は引き締めつつも響きは豊かで、物足りなさはない。ヘリが墜落して炎上する轟音サラウンドには、ゴロゴロゴツゴツという硬質な凄みと、音場全体に広がる爆音が同居する。
低域の引き締めやS/Nの向上もあってか、音場全体のクリアさもシリーズ随一。細かな物音やそのディテールもより浮かび上がってくる。
僕なりに3モデルの印象をまとめると、
シンプルな勢いを楽しめるRX-V1067
気持ちよい抜けっぷりを満喫できるRX-V2067
ハイエンド的な高音質を発揮するRX-V3067
というところだ。
繰り返すが、上位モデルが必ずしも”好い音”であるとは限らないのがこのシリーズの面白味。僕はV2067が好みだと感じた。それぞれ機能的には大きな差はないので、心置きなく、自身の音の好みで選んでほしい。
高橋 敦
埼玉県浦和市(現さいたま市)出身。東洋大学哲学科中退。大学中退後、パーソナルコンピュータ系の記事を中心にライターとしての活動を開始。現在はデジタルオーディオ及びビジュアル機器、Apple Macintosh、それらの周辺状況などに関する記事執筆を中心に活動する。また、ロック・ポップスを中心に、年代や国境を問わず様々な音楽を愛聴。 その興味は演奏や録音の技術などにまで及び、オーディオ評に独自の視点を与えている。
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