2010年10月14日13時8分
最後に救出されたルイス・ウルスアさん(左)とピニェラ大統領=ロイター
チリ北部サンホセ鉱山で13日、最後に救出されたルイス・ウルスアさん(中央)とピニェラ大統領(右)=ロイター
【コピアポ(チリ北部)=平山亜理】「チリ万歳!」「鉱山労働者、万歳!」――チリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山落盤事故の救出現場で、地下に閉じこめられていた33人の最後の一人、ルイス・ウルスアさん(54)が13日午後10時前、地上に姿を現した。救出現場では人々が叫び、紙吹雪や国旗が舞った。
33人を奇跡の生存に導いた「指導者」のウルスアさんは、自らしんがりを志願し、認められた。ひげをたくわえた顔に、生気がみなぎる。息子を固く抱きしめた。
肩に、国旗がかけられた。ピニェラ大統領に向かって、直立不動で「あなたと、交代します」。鉱山作業員が坑内から出た際のあいさつを使って、肩の荷を下ろした思いを表現した。そして、大統領と抱き合った。
「こういうことが二度と起きないようにしたい。チリ人であること、そして鉱山労働者であることを誇りに思います」と、おだやかに語った。
弟のハイメさん(49)が、地上で兄の救出の瞬間を見守っていた。「兄は、私にとって父でもある。いつも厳しい人で、私たちを仕切っていた」
ウルスアさんは6人きょうだいの長男で、14歳の時に父親が病死した。早くから弟や妹たちの面倒を父親代わりになってみていた。生還劇の立役者となった背景にある指導力は、そうした環境で育まれた。「ジャガイモを洗え、とかよく怒られましたよ」とハイメさんは振り返る。
地上と連絡がつかずに過ごしていた落盤事故直後の17日間、33人はわずかな食料を分け合い、閉じこめられていた地下の坑道や避難所のスペースを分け、役割分担をするなど驚くべき規律を保った。ウルスアさんのリーダーシップのおかげだった。