2010年10月14日15時0分
電車で通勤・通学している女性の14%、うち10代では4人に1人が過去1年間に車内で痴漢に遭ったとの結果が、警察庁が大都市圏で実施した初の痴漢被害調査で明らかになった。警察に通報・相談した被害女性は1割にとどまり、多くが「泣き寝入り」に終わっている。一方、男性への調査では、6割が痴漢に間違われる不安を感じていた。
調査は民間の調査会社に委託して8月に実施。東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫の7都府県で電車を使って通勤・通学する調査モニターに過去1年の状況を尋ね、女性2221人(平均年齢33歳)、男性1035人(同36歳)から回答を得た。
痴漢被害に遭った女性を年代別にみると、最も多かったのは10代の26%。次いで20代18%、40代11%、30代10%の順だった。
事後どうしたかを被害女性に尋ねると、89%の人は警察と接触せず、届け出なかった。「我慢した」「その場から逃げた」「警察ざたになるのは面倒」「犯人は捕まらないと思う」などの理由が目立つ。警察庁は今後、被害者への事情聴取にできるだけ女性警察官が当たり、時間も短くするなどして、訴え出やすい環境を整えたいとしている。
男性への調査では、車内で痴漢に間違われる不安について、22%が「感じている」、38%が「やや感じている」と答えた。不安を感じない人も含めて複数回答で間違われない対策を尋ねたところ「両手でつり革を持つ」「手を上へあげておく」という答えがそれぞれ4割強あった。
過去1年で痴漢を目撃したことがあるという男性は全体の8%に当たる84人。目撃後の行動を複数回答で尋ねたところ「犯人を捕まえた」は16人、「やめるよう犯人に働きかけた」が22人、「何も行動を起こさなかった」のは38人いた。何もしなかった人は「時間を取られるのがいやだったから」などと答えた。
警察庁の統計では、電車内などでの痴漢や盗撮容疑での逮捕・書類送検は2009年に6521件あり、03年に比べて9.4%増えている。(五十嵐透)