10年度に採用が内定し、県内で臨床研修医になる予定だった81人のうち、12人が医師国家試験不合格や留年のため、不採用となっていたことが、分かった。採用者数は前年度比5人減の69人となり、3年ぶりに減少した。県医師支援推進室は「残念だが仕方ない。来年度はぜひ合格して来てもらいたい」と話している。
臨床研修は、新人医師が医学部卒業後の2年間、希望する病院でさまざまな診療科を受け持ち研修を積む制度。研修医は、医療現場で即戦力として期待されるだけでなく、研修終了後も県内にとどまる傾向が強い。将来の医師確保にもつながるとして、各都道府県が研修医確保にしのぎを削っている。
岩手も都市圏から研修医を呼び寄せようと、東京や大阪、名古屋での説明会に参加し、医学部生にPRするなどしてきた。10年度は東北6県や北海道、島根県などの出身者81人(前年度比2人増)の希望者を集めた。
しかし、今年度の医師国家試験で岩手医科大の卒業生9人など10人が不合格、同大生2人が留年となり、採用できなくなった。同試験の合格率が全国平均で89・2%だったのに対し、岩手医大は77・4%と低迷した。
医師国家試験不合格や留年になった場合、卒業生は翌年度、改めて研修を受ける病院を希望することができる。不採用となった12人には、研修が決まっていた各病院は面談を続け、引き留めるという。【山口圭一】
毎日新聞 2010年10月14日 地方版