単身世帯を対象にした総務省の2009年の調査によると、30歳未満の女性の可処分所得は月21万8100円と男性を2600円上回り、初めて逆転した。男性比率の高い製造業で雇用や賃金に調整圧力がかかる一方、女性が多く働く医療・介護などの分野は就業機会も給与水準も上向きという産業構造の変化が背景にある。諸外国に比べ大きいとされてきた日本の男女の賃金格差も転換点を迎えつつある。
総務省がまとめた09年の全国消費実態調査によると、勤労者世帯の収入から税金などを支払った後の手取り収入である可処分所得は、30歳未満の単身世帯の女性が21万8156円となった。この調査は5年ごとに実施しており、前回の04年に比べて11.4%増加した。同じ単身世帯の若年男性は21万5515円で、04年と比べ7.0%減少。調査を開始した1969年以降、初めて男女の可処分所得が逆転した。
背景にあるのは産業構造の変化だ。円高や中国をはじめとする新興国の経済成長に伴い、製造業では生産拠点などの海外移転が加速。就業者数は09年までの5年間で77万人減少した。
仕事を持つ男性の20%超は製造業で働いており、女性の10%と比べて比率が高い。第一生命経済研究所の熊野英生氏は「ボーナスの削減や雇用形態の非正規化の影響を製造業で働く男性が大きく受けた」と分析する。男性の雇用者に占める非正規労働者の比率は07年時点で3割を超えた。女性は4割以上を占めるが、増加率は男性の方が大きくなっている。
可処分所得、製造業、厚生労働省、産業構造、男性比率
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