成田国際空港の年間発着枠を現行の22万回から30万回に増やすことが13日、国土交通省と千葉県、地元9市町、空港会社(NAA)でつくる四者協議会で決まった。増えた分は格安航空会社(LCC)の誘致や国内線の拡充にあて、ハブ(国際拠点)空港としての機能を強化する方針。
環境悪化を懸念する周辺住民の声もあったが、9市町は羽田空港の新滑走路供用開始や国際定期便就航をにらみ、現状維持では成田の地盤沈下が避けられないとの認識で一致。環境対策の充実などを求める確認書を交わしたうえで、発着枠拡大を了承した。
NAAは当面、駐機場増設や誘導路新設で12年度に27万回程度まで増やす方針。LCC誘致に向けた新ターミナル建設も急ぎ、早ければ14年度にも30万回に増やせるという。
成田空港を巡っては前原誠司・前国交相が昨年10月、羽田ハブ空港化を表明。成田の地元首長らは「国際線は成田、国内線は羽田というすみ分けの原則を無視するもの」と反発、成田の地位低下に危機感を募らせてきた。
NAAは昨年末、発着枠を30万回にする方針のもと、地元に騒音予測図を公表。これを受け、航路直下の住民を対象に成田市は約40回、芝山町も約20回の説明会を開いた。同市の小泉一成市長は「羽田の新滑走路供用が迫り、非常ベルが押されている状況だ」と発着枠拡大の必要性を強調していた。成田の発着枠は昨年のB滑走路2500メートル化で20万回から22万回に増えた。【山田泰正、斎川瞳】
毎日新聞 2010年10月14日 東京朝刊