開幕投手の最有力だった大竹は、シーズンの大半を廿日市市の大野屋内総合練習場で過ごした。春季キャンプで270球の投げ込みをした後に右肩を痛めた。「未知のことをやって何かつかめると思ったけど、失敗だった」。9年目の調整ミスを悔いている。
▽主力投手の故障が再発
今季は主力投手に故障が相次いだ。大竹のほか、リリーフ陣の柱と期待されたシュルツと永川も離脱。昨季は3投手で316回2/3を投げ、18勝(17敗)37セーブを挙げたが、今季は投球回は39回2/3で、2勝(3敗)8セーブ。主力の離脱は選手層の薄いチームに決定的なダメージをもたらした。
故障の原因は、昨季に比べ投げ込みや走り込みを強化した反動という見方もある。福永トレーナー部長はこれを否定する。「確かに主力のけがは目立ったが、故障者の数自体は昨季とほぼ同じ」。練習環境の変化と主力の故障に因果関係はないとみる。
▽首脳陣判断で早期復帰裏目
誤算は離脱が長期化したことに尽きる。ブラウン前監督時代にはほとんどなかった、シーズン中の「故障再発」が続いたためだ。内転筋痛を繰り返した永川は「自分の判断なので仕方ないが、急がずに完治を優先させればよかったかもしれない」と自戒を込めて振り返る。
「再発」は首脳陣の判断ミスも絡んだ。右肩痛の大竹には2軍戦に登板後、大野ヘッドコーチが「尻をたたいて(復帰を)後押ししたい」と早期復帰を促した。結局、3試合に登板した後、右臀部(でんぶ)肉離れで再び離脱。離脱者の穴を埋めようと故障上がりの選手を起用、再び故障して戦力はさらにダウンする悪循環だった。
シーズンを終えた今、大竹と永川はリハビリを優先させ、実戦を意識した練習から離れている。主力の離脱に首脳陣は焦り、戦力整備ができなかった1年。「再発」を防げなかった選手の自己管理とともに、チームの危機管理も問われている。(友岡真彦)
【写真説明】右臀部の肉離れで今季最後の登板となった大竹=6月22日の阪神戦(米子)
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