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中国、毛沢東元秘書ら23人 言論自由、ネットで訴え

産経新聞 10月14日(木)7時57分配信

 【北京=川越一】故毛沢東主席の元秘書、李鋭氏を中心とする中国共産党元幹部ら23人が13日までに、言論や出版の自由をうたっている憲法第35条の順守などを求める公開書簡をインターネット上で発表した。温家宝首相らの発言さえも封じる党中央宣伝部を「見えない黒幕(邪悪な手)」として糾弾している。

 公開書簡発表は、民主活動家、劉暁波氏へのノーベル平和賞授与決定に呼応した動きとみられる。全国人民代表大会(全人代=国会に相当)常務委員にあてた公開書簡には、共産党機関紙、人民日報元社長の胡績偉氏や国営新華社通信元副社長の李普氏、中央党学校元教授の杜光氏ら改革派の長老が名を連ねている。

 李氏らが批判の矛先を向けている中央宣伝部は、江沢民前国家主席の影響力が残り、温首相の発言であっても党の利益に反するとあれば報道を制限している。

 8月21日、温首相は深センで行った講演で「われわれは経済改革を推し進めるだけでなく、政治改革も促進しなければならない。政治改革による保護がなければ、経済改革で得た進歩は失われる」と語った。9月22日にニューヨークで行った米国系中国メディアなどとの懇談でも同じ発言を繰り返した。国連総会でも政治改革に言及したが、新華社通信も中国中央テレビも発言を“黙殺”している。

 この状況を公開書簡は「宣伝部は党中央委員会や国務院よりも上位に位置している」と皮肉り、▽検閲廃止▽言論・出版の自由を保障する新聞出版法の制定▽ネット上での言論封鎖やアクセス規制の廃止−など8項目の要求を突きつけた。

 温首相も今月3日に放送された米CNNのインタビューで、「言論の自由はどの国でも絶対に必要だ。中国憲法は人々に言論の自由を与えている。人々の民主化要求を妨げることはできない」と発言。宣伝部に対する抵抗とも受け取れる。

 今回の公開書簡は、当局が劉氏のノーベル賞受賞に関する情報の波及を押さえ込んでいることに対し、党内改革派の反発がくすぶり始めていることをうかがわせるものだ。

 ■公開書簡要旨

 ▼メディア主管機関の廃止。経営を独立させ、出版機関の社長や編集長が責任を負うべきだ

 ▼記者の尊重と社会的地位樹立。人民の代弁者としての保護・支援。地方政府や公安機関による記者の拘束廃止

 ▼中国人記者が全土で自由に取材、報道する権利の保障

 ▼国家機密やプライバシーに関する言論以外のサイトや書き込みの削除禁止

 ▼党史に関するタブーの廃止。中国国民は党が犯した罪を知る権利がある

 ▼「南方週末」や「炎黄春秋」の民営雑誌としての改編。執政党と政府が税金を使いメディアに自分たちを称賛させることは民主国家では許されない

 ▼香港、マカオの書籍の本土での公式発行容認。わが国は世界貿易機関(WTO)に加盟している。文化面での鎖国は改革・開放の既定方針に反する

 ▼各レベルの宣伝部門は、党や政府機関に対する(メディアの)監督を支援する機関に変身せよ

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最終更新:10月14日(木)8時16分

産経新聞

 

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