準大手ゼネコン(総合建設会社)のフジタは、中国の河北省石家荘市での遺棄化学兵器処理施設に関連する事業を断念した。中国の国家安全機関に拘束された社員4人は全員無事に帰国したものの、4人が担当した工事の入札準備は「続行が極めて難しい」(土屋達朗取締役)と判断した。
フジタは日本政府が石家荘市に整備する予定の施設に関連した工事受注を目指していた。中国での遺棄化学兵器の処理事業は総額2000億円以上のプロジェクトとされる。フジタが入札準備に入っていた施設は「移動式処理設備」と呼ばれ、設備の移動に伴う組み立て業務などが繰り返し必要になる。
中国北部には30万~40万発の化学兵器が遺棄されたままとみられており、各地で解体や組み立てに関連した工事を継続的に受注すれば商機は大きかった。だが現場視察作業で、軍事管理区域に立ち入った社員が拘束されて中断した。9月に処理が始まった江蘇省南京市での施設を建設したのに続き、「二匹目のどじょう」を狙ったが、思わぬつまずきが待っていた。
海外工事を手掛けるゼネコンにとっては人ごとではない。業種を問わず、国外事業にリスクの高さはつきものだが、ゼネコンは政府が絡む工事を請け負うことが多いため、政治リスクにさらされやすい面もある。「アジアで高速道路の工事を請け負ったところ、政権交代で約束を反故(ほご)にされたことがある」(準大手ゼネコン社長)
ただ国内の建設需要が1990年代と比べ半減した現実を直視すれば、海外市場の開拓は避けられない。「どこの国でもリスクはあり、覚悟が必要」(鹿島の中村満義社長)。リスク管理を厳格化するしかないのが現状だ。
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