後継者問題:中国、正男氏のインタビューを黙認か
日本メディアに「世襲」「北韓」など堂々と発言、中国の身辺保障なしには困難との見方
事前に調整し「偶然」を演出か…中国、正男氏を通じ北へメッセージ?
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男・正男(ジョンナム)氏が9日に行ったテレビ朝日とのインタビューで、「三代世襲に反対する」と発言したことをめぐり、このインタビューが事前に調整されたものとの分析が聞かれる。外交消息筋は13日、「インタビュー画面と正男氏の発言を詳しく分析すると、インタビューに応じるという条件で、正男氏の身辺の安全とメッセージに対し配慮するよう、事前の打ち合わせがあったように感じられる」と語った。インタビューが実現する過程で、中国側の黙認があったとの見方も出ている。
テレビ朝日は、インタビューの場所を中国・北京と画面上に表示したが、正男氏の身辺の安全に配慮して背景はすべてぼかされ、場所が特定できないようにしていた。
また、正男氏に北京市内で偶然出会ってインタビューした形で報じられていたが、放送内容を見ると、事前に打ち合わせられた様子がうかがえる。日本の記者が韓国語で「金正男さんではありませんか」と声を掛けると、正男氏は慌てることなく「はい」と答え、インタビューが始まる。間に「これはオフレコ」という正男氏の小さな声も聞こえる。また、正男氏は北朝鮮では禁句とされる「三代世襲」や「北韓(北朝鮮)」などの言葉も堂々と口にした。外交消息筋は、「中国が身辺保障の約束をしていなければ、海外にいる正男氏がそのような言葉を使うのは困難だ」と語った。
正男氏がインタビューで語った内容も、中国の立場と一致するものだ。中国は、北朝鮮に使節団を派遣して三代世襲を祝福したものの、内部的には「世襲には不満だが、北朝鮮の内政には干渉しない」との立場だ。正男氏も、「世襲には反対だが、(世襲に)内部的な要因があるのなら、それに従わなければならない」と話し、中国と同じ立場を示した。
テレビ朝日は、「正男氏が、自分が後継者になれば北朝鮮を開放的な国家にする、というメッセージを中国に送ったもの」と分析したが、外交消息筋は、「中国が正男氏の口を通じ、遠回しに北朝鮮にメッセージを送ったようだ」と正反対の見方を示した。
鄭佑相(チョン・ウサン)記者