岡山大大学院医歯薬学総合研究科のグループが、薬が効かない難治性てんかん患者の発作を抑えるメカニズムを世界で初めて解明し、7日付米科学誌「ニューロン」(電子版)で発表した。脂肪の分解で出る物質「ケトン体」が、てんかんの原因となる脳内の興奮伝達物質「グルタミン酸」の働きを抑える仕組みが判明。新薬の開発につながる可能性があるという。
研究グループの森山芳則教授(生化学)によると、てんかんは、脳内でグルタミン酸の伝達が過剰になると引き起こされ、飢餓状態で体内の脂肪が燃えてケトン体が出ると、発作は抑えられることが分かっていた。だが、ケトン体が有効に働くメカニズムは不明だった。
てんかん患者の3割強は薬が効かない難治性の患者だといい、森山教授は「研究を進め、新たな治療法を確立したい」としている。【石戸諭】
毎日新聞 2010年10月7日 1時30分