告発者に忍び寄るインターネットプランナー(下)
2010年10月14日07時46分 / 提供:PJオピニオン
【PJニュース 2010年10月14日】しかし、私は自ら告発者として経験を重ねることで、ネット告発の真贋を見抜くリテラシーを身につけていた。文章を読めば、虐げられた弱者が身を切るようにして叫ぶ告発と、匿名の陰に隠れた鬱憤晴らしの悪口の区別は大体できるようになる。また、私は裁判中に東急不動産から公開法廷で年収などを暴露されるという攻撃を受けており(『東急不動産だまし売り裁判』62頁)、少々のことでは驚かなくなっていた。
そのため、プランナーと7月15日に会うことにした。彼は大幅に遅刻してきたが、出合い頭に彼は声を張り上げて右手をさっと前に突き出しつつ、同時に左手で私の肩をがっしりとつかんだ。まるで何年も会ったことがなかった旧友に会った時の態度であった。
彼とは鶏料理の専門店で話をした。話は盛り上がった。東急リバブルや東急不動産の不誠実な対応には大いに共感してくれた。彼は話題も豊富であった。料理で出される伊達鶏について説明する彼の声には鶏への敬意が溢(あふ)れており、その一羽をこれから食べることが信じられなくなってしまうほどであった。また、ワインについても詳しく、各地で栽培されている無数の葡萄の品種が整理されて頭に入っていた。
一方で引っ掛かる点もあった。第一に彼が「これ以上、東急リバブルや東急不動産の告発記事を書かない方がいい」と言ったことである。これまでも私は、その種の圧力に晒(さら)されてきたが、毅然と拒否してきた。ただし、彼は上手であった。決して高圧的な物言いはせず、ヤンワリと話した。そのために私は軽く聞き流すだけで終わった。
第二に彼は会計時に彼が領収書を求めていた。私には特定企業の依頼で取材しているとは説明しなかった。
第三に彼が東急不動産だまし売り裁判についての記事を発表することはなかった。逆に私の方が保険の意味で、取材の依頼により彼と会ったことを公表した。
その後、彼とは彼の関係するイベントなどで時々会うようになった。彼の仕事にも興味を抱き、そこから着想を得た小説も執筆した(林田力『小説インターネットプランナー』マイブックル、2010年)。彼との関係は良好であったが、彼は会う度に私に東急の批判記事を書くなと言い続けた。この点は引っ掛かり続けた。
とうとう私は2010年10月9日に彼に会って問い詰めた。その結果、取材は口実で、企業の依頼を受けての調査であることを認めた。このような事実は普通はなかなか認めるものではない。しかし、彼の場合は数週間前からインターネット掲示板で企業工作員でないかという疑いが強く流れていた。これが認めざるを得なかった要因であった。
彼は興信所の業界団体に出入りしており、ネット告発者対策の勉強会で私の名前が出たため、調べることになったと説明する。これは一般に告発者潰しのための情報収集である。しかし、彼は私と会って聞いた話を調査し、東急不動産だまし売り裁判が私の説明通りであることを確認した。そのためにクレーマーではなく、社会性のある告発であると報告したという。
彼に直接依頼した企業名は教えてくれなかったが、私の告発対象は明確かつ限られており、あまり問題ではない。加えて、この種の業務は下請け・孫受けの重層構造になっている。プランナー自身も駒に過ぎず、黒幕は分からないというのが正直なところであろう。
以下は私と彼の会話である。
「プランナーの仕事はネット告発者の敵なのか」
「我々にも良心がある。企業の不正が許せないと感じた時は密かに信頼できるジャーナリストに情報を流すこともある。そのためにも、あなたのような存在とも関係を築いている」
プランナーが取材と称して近づいた動機は、最初から予見可能なものであり、それにもかかわらず会うことに応じた点は賛否が分かれるだろう。「そのような人物とは会うべきではない」という主張は純粋である。一方ではマンション建設反対運動で反対住民が近隣対策屋と一緒に飲んで相互理解を深めた例も知っている。少なくとも告発者に対していろいろな罠が張られていることは認識しておいた方が良い。【了】
■個人ウェブサイト
林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』
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そのため、プランナーと7月15日に会うことにした。彼は大幅に遅刻してきたが、出合い頭に彼は声を張り上げて右手をさっと前に突き出しつつ、同時に左手で私の肩をがっしりとつかんだ。まるで何年も会ったことがなかった旧友に会った時の態度であった。
彼とは鶏料理の専門店で話をした。話は盛り上がった。東急リバブルや東急不動産の不誠実な対応には大いに共感してくれた。彼は話題も豊富であった。料理で出される伊達鶏について説明する彼の声には鶏への敬意が溢(あふ)れており、その一羽をこれから食べることが信じられなくなってしまうほどであった。また、ワインについても詳しく、各地で栽培されている無数の葡萄の品種が整理されて頭に入っていた。
一方で引っ掛かる点もあった。第一に彼が「これ以上、東急リバブルや東急不動産の告発記事を書かない方がいい」と言ったことである。これまでも私は、その種の圧力に晒(さら)されてきたが、毅然と拒否してきた。ただし、彼は上手であった。決して高圧的な物言いはせず、ヤンワリと話した。そのために私は軽く聞き流すだけで終わった。
第二に彼は会計時に彼が領収書を求めていた。私には特定企業の依頼で取材しているとは説明しなかった。
第三に彼が東急不動産だまし売り裁判についての記事を発表することはなかった。逆に私の方が保険の意味で、取材の依頼により彼と会ったことを公表した。
その後、彼とは彼の関係するイベントなどで時々会うようになった。彼の仕事にも興味を抱き、そこから着想を得た小説も執筆した(林田力『小説インターネットプランナー』マイブックル、2010年)。彼との関係は良好であったが、彼は会う度に私に東急の批判記事を書くなと言い続けた。この点は引っ掛かり続けた。
とうとう私は2010年10月9日に彼に会って問い詰めた。その結果、取材は口実で、企業の依頼を受けての調査であることを認めた。このような事実は普通はなかなか認めるものではない。しかし、彼の場合は数週間前からインターネット掲示板で企業工作員でないかという疑いが強く流れていた。これが認めざるを得なかった要因であった。
彼は興信所の業界団体に出入りしており、ネット告発者対策の勉強会で私の名前が出たため、調べることになったと説明する。これは一般に告発者潰しのための情報収集である。しかし、彼は私と会って聞いた話を調査し、東急不動産だまし売り裁判が私の説明通りであることを確認した。そのためにクレーマーではなく、社会性のある告発であると報告したという。
彼に直接依頼した企業名は教えてくれなかったが、私の告発対象は明確かつ限られており、あまり問題ではない。加えて、この種の業務は下請け・孫受けの重層構造になっている。プランナー自身も駒に過ぎず、黒幕は分からないというのが正直なところであろう。
以下は私と彼の会話である。
「プランナーの仕事はネット告発者の敵なのか」
「我々にも良心がある。企業の不正が許せないと感じた時は密かに信頼できるジャーナリストに情報を流すこともある。そのためにも、あなたのような存在とも関係を築いている」
プランナーが取材と称して近づいた動機は、最初から予見可能なものであり、それにもかかわらず会うことに応じた点は賛否が分かれるだろう。「そのような人物とは会うべきではない」という主張は純粋である。一方ではマンション建設反対運動で反対住民が近隣対策屋と一緒に飲んで相互理解を深めた例も知っている。少なくとも告発者に対していろいろな罠が張られていることは認識しておいた方が良い。【了】
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パブリック・ジャーナリスト 林田 力
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