尚成　来季は複数年契約確実…マイナーから“アメリカンドリーム”

　メッツの高橋尚成投手（３５）が１３日、メジャー１年目のシーズンを終え、帰国した。今季は先発と救援で１０勝（６敗）８セーブ。メ軍とは１年契約だったこともあり「自分が変なこと言って誤解されても困りますから。代理人に任せます」と来季の契約については慎重に言葉を選んだが、メジャー関係者は「２年契約は保証される」と評価。マイナー契約で日本を飛び出した男は、複数年契約をゲットできる立場の大リーガーとなって帰ってきた。

　尚成の表情は自信に満ちあふれていた。激動の１年を「うまくノリと勢いでできたんじゃないかと思います」と振り返った。約８か月ぶりの日本に「家でゆっくり食事して、子供と過ごしたい」と表情を緩ませた。

　メ軍について話が及ぶと「自分にチャンスを与えてくれた球団。それ（残留）ができたら一番いい」と愛着をのぞかせた。しかし「こればっかりはわからない」とビジネスと割り切る覚悟もできている。今季は先発、中継ぎ、救援と大車輪の活躍だったとあり、契約の焦点は付帯する出来高となる。

　どの役割もこなせるのが尚成の強みだ。来季の契約には登板数、イニング数といった先発の要素に加え、交代完了など救援の要素など“何でも屋”として他の投手よりも多い複数の出来高をゲットする可能性が高い。金銭的に余裕のないメ軍の提示は２年契約で約３００万ドル（約２億５０００万円）と見られる。興味を示すヤンキースやフィリーズが獲得に乗り出せば、それ以上の金額は確実。まさに“アメリカンドリーム”を手にしての凱旋となった。

　１年間メジャーで戦えたシーズンに尚成は「満足はしてますけど、満足ばかりではいけない。２、３年と成績を出すことが目標」と来季を見据えた。マイナーからはい上がった貴重な経験を糧にさらなる飛躍を目指す。

　◆尚成のこの１年
  ▽０９年１１月１７日　フリーエージェント（ＦＡ）の権利を行使して巨人から米大リーグに挑戦する意思を表明。
  ▽１０年２月１１日　メッツとマイナー契約に基本合意。１３日にキャンプ地フロリダ入り。
  ▽３月７日　ナショナルズ戦でオープン戦初登板。打者１１人に対し６三振無四球の好投。勝利投手に。
  ▽同１８日　マーリンズ戦に７回途中から５番手で登板し初セーブ。
  ▽同２７日　ナショナルズ戦で初先発。３回４安打４失点もオープン戦で結果を残し、開幕メジャー入り。
  ▽４月７日　本拠のマーリンズ戦の延長１０回、６―６の場面からメジャー初登板。１／３回を１失点でデビュー戦黒星。
  ▽５月２１日　本拠のヤンキース戦でメジャー初先発し、６回無失点。勝敗つかず。
  ▽６月１８日　ヤンキー・スタジアム初登板。ヤ軍をまたも６回無失点に抑え、６勝目をマーク。
  ▽８月１６日　アストロズ戦でメジャー初セーブ。抑えのロドリゲスが右手親指腱（けん）を痛め戦列離脱したため、クローザーを務める。
  ▽１０月１日　ナショナルズ戦で９回から２回を投げ１０勝目。チーム２５年ぶり新人２ケタ勝利。

　

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