24日午前6時20分過ぎ、沖縄県の尖閣諸島・魚釣島の領海内に中国船がいるのを警戒中の第11管区海上保安本部(那覇市)の巡視船が発見した。ボート2隻を下ろして活動家7人が分乗、11管の制止を振り切って午前7時20分、魚釣島に上陸した。島内で中国国旗を振るなどした。中国人とみられ、沖縄県警は約20人の警察官をヘリで島に派遣。全員を出入国管理法違反(不法入国)の疑いで現行犯逮捕した。
尖閣諸島に外国人が上陸するのは96年10月、台湾と香港の活動家数人が上陸して以来。海上保安庁によると、沖縄返還協定による施政権の返還後、尖閣諸島に上陸した外国人が逮捕された例はない。中国側は抗議している。
尖閣諸島を巡っては中国・台湾も領有権を主張しており、7人の取り扱い次第では外交問題に発展しかねない。不法入国者は出入国管理法に基づき、必ずしも逮捕しなくても処分できるが、沖縄県警の新岡邦良警備部長は、同日夜に会見し、「不法入国して上陸し、長い時間がたっていた。明らかに法違反があり、現行犯逮捕すべき状況にあった」と述べた。7人は氏名や年齢なども現段階では分からないという。
7人は今後、那覇市に身柄を移し、いったん警察の事情聴取を受けた後、福岡入国管理局那覇支局に引き渡されて強制退去させられる見通し。7人は全員が男性で、逮捕の際、暴れるようなことはなかった。
第11管区海上保安本部(那覇市)によると、7人が乗ってきた中国船「浙普漁21114」は中国方面に向けて去った。
上陸者のうち6人は午後5時35分までに逮捕し、残る1人も午後7時前に身柄を確保して逮捕した。いずれもオレンジ色のジャケットらしきものを身に着けていた。
上陸を実行したと見られる中国の民間団体はホームページ(HP)で「7人の中国民間保釣活動家が釣魚島の上陸に成功した」などと公表した。HPの記述によると、23日午前1時、活動家16人を乗せて中国・浙江省楽清市を出港した。24日の上陸計画から注意をそらすため、「28日に出港する」と報道関係者に事前に情報を流したとしている。
◇
〈尖閣諸島〉 沖縄県八重山諸島の北方約170キロに散在する無人の小島群。魚釣島など5島といくつかの岩礁からなり、総面積約6.3平方キロ。1895年の閣議決定で沖縄県に編入。51年に結ばれたサンフランシスコ平和条約でも、南西諸島の一部として米国の施政下に置かれ、71年の沖縄返還協定で施政権が返還された。日本が実効支配しているが、周辺の大陸棚に石油資源が存在する可能性が指摘され、70年代から中国、台湾が領有を主張するようになった。
(03/25 00:19)
|