医療介護CBニュース -キャリアブレインが送る最新の医療・介護ニュース-

医療介護ニュース   >   医療現場   >   タイアップ記事

「地域医療のプロフェッショナルを」―島根大学に新講座

Yahoo!ブックマークに追加 はてなブックマークに追加 この記事をlivedoorにクリップ! この記事をdel.icio.usに登録する

 深刻な医師不足に悩む島根県では、地域医療に従事する医師の養成・定着につなげるための新たな試みが始まっている。島根大学医学部は、医学生、研修医などが地域医療に関心を持ち、地域医療のモチベーションを膨らませながら、医師としてのキャリアを高め、県内の医療機関で安心して働ける環境づくりを支援するための「地域医療支援学講座」を県の寄付を受けて4月に開設。同講座は6月、県下の自治体や医療機関が学生に情報発信する「地域医療交流サロン」を学内にオープンさせた。4月に同講座に着任した谷口栄作教授は「地域医療のプロフェッショナルを育てたい」と意欲を見せている。

■島根の医師不足状況と医師確保策
 東西に長く延び、総人口71万6000人余り(6月現在)の島根県は、がん対策推進条例を全国で初めて制定するなど、がん対策の先進地域として知られる。しかし、全国的な医師不足が叫ばれる中、県内の状況も例外ではない。
 国の調査によると、県全域での人口10万人当たり医師数は、2008年末現在264人で、全国平均の225人を上回り、全国10位にランクしている。しかし、二次医療圏単位で見ると、全国平均を上回っているのは7圏域のうち、県東部の松江、出雲の2圏域のみ。特に県西部や離島である隠岐、中山間地域で医師不足が深刻化している。

 こうした中、県では、医師無料職業紹介所「赤ひげバンク」を通じた県内の医療機関への医師紹介や、県外の医師に県内の医療機関を視察してもらう「地域医療視察ツアー」などの医師招聘策、医師の休暇取得や学会参加を容易にするための「代診医派遣制度」、医師の孤独感軽減やチーム医療を実現する「ブロック制」の導入など、県内で働く医師を支援する施策にいち早く取り組んできた。その結果、06年度からの4年間に42人の医師を招聘した実績がある。
 島根大学医学部に設置した地域医療支援学講座もこうした医師確保策の一環で、地域医療に対する学生の興味を促し、卒業後の県内定着を促そうという試みだ。

■医療現場との交流の場「地域医療交流サロン」
 講座は、▽学生教育▽医師のキャリア支援▽地域医療支援−が柱。
 このうち学生教育は、地域枠推薦で入学した学生や地域医療に関心を持つ学生が対象。医学部で6年次の前半に始まる「地域医療臨床実習」や、春と夏に実施する「地域医療実習」を支援する。谷口教授も実習先を訪れ、必要に応じて指導医と意見交換したり、学生の感想を聞いたりするなど、現場の声を実習に生かす取り組みをこれまでより強化した。

 一方、6月末にオープンした「地域医療交流サロン」は、自治体や医療現場が学生に情報発信するいわば「学内のアンテナショップ」。
 各自治体や地元医師会に呼び掛け、各医療機関のパンフレットや広報誌、市町村の生活情報を閲覧できるようにした。現在では、県内にあるすべての公立病院が情報発信しているという。今後は、学生一人ひとりのための「レターボックス」を置き、希望する医療機関や地域の情報を持ち帰れるようにする。

 サロンのオープンに先立ち、6月8日に邑智郡内の公立病院と民間病院の関係者が、7月には浜田市や雲南市の行政関係者がサロンを訪れ、学生と意見交換した。8月中には大田市との交流会も開く予定だ。

 学内にもこれらの地域の出身者が多いというが、大学に入学すると、地元との接点はどうしても少なくなる。谷口教授は「地域のことを熱く語れるのは地域の人たち。この人たちと一緒に働きたいと学生が感じられるような出会いの場にしたい」と話す。サロンのオープンから1か月余りがたった今、この活動を継続していくことの大切さを感じている。

 講座では、学生のキャリアパス作成も支援する。「必要があれば、県外や国外への留学も視野にパスを調整します。長い目で見たら、それが地域医療のためになるはず」と谷口教授。
 学生側の意向と地域医療への貢献を両立させることが狙いだ。同大附属病院や県内医療機関に勤務する医師のキャリアアップや研修についても、同講座が医局と地域との窓口になり、調整に当たる予定だ。

■地域医療の魅力は住民との近い距離
 谷口教授は1999年からの11年間、県職員として各地域の医療提供体制の構築に従事してきた。同講座では、谷口教授のこうしたキャリアを生かして「地域医療システムマネジメント支援」も行う。理想の医療提供体制を実現するためのプロセスの研究を通じて、地域医療への貢献を目指すという。

 「規模の小さい医療機関が多く、住民や患者さんとの距離が近いのが島根の医療の魅力。病院、住民、行政、大学の連携により、医師の働きやすい環境づくり、地域医療体制の構築を目指したい」と谷口教授は話す。
 同講座を通じて地域医療のプロフェッショナルを育て、住民や患者をも巻き込んだ医療のサポート体制を築くことが、谷口教授の最大の目標だ。

( 2010年08月11日 16:33 キャリアブレイン )

Yahoo!ブックマークに追加 はてなブックマークに追加 この記事をlivedoorにクリップ! この記事をdel.icio.usに登録する


この記事をスクラップブックに貼る

この記事についてつぶやく



新着ニューストピックス

動画ニュース

2010.10.13 13:49 Update

前へ 赤丸 黒丸 黒丸 次へ

「【動画】「高齢者医療制度、変える理由どこに」−加藤衆院議員(自民党)」画像

 自民党の加藤勝信衆院議員は、キャリアブレインの取材に ...

2010.10.13 UP

「介護福祉士の医行為で提言書を提出へ―介護人材養成の在り方検討会」画像

 厚生労働省の「今後の介護人材養成の在り方に関する検討 ...

2010.10.12 UP

「改正案の素案、「障害」の定義めぐり意見分かれる」画像

 内閣府は10月12日、「障がい者制度改革推進会議」の ...

2010.10.12 UP

注目の情報

本格適性診断CBコンパス

SPECIAL

タイアップ記事

CBニュース 注目コンテンツ

アクセスランキング

タイアップ記事

お知らせ

CBニュース × twitter

CBニュース × twitter

twitterで最新の医療介護ニュースや、記者のこぼれ話などを配信しています!

最新医療ニュースをあたなのブログで配信!

最新医療ニュースをあたなのブログで配信!

あなたのブログに医療介護CBニュースのブログパーツを設置しませんか?

CBニュースでは皆様からの情報提供をお待ちしています。

皆様からの情報提供をお待ちしています。

報道してほしい情報、詳しく調査してほしいニュースなど、ご意見をお待ちしています。

ドコモの「おこのみ」でCBニュースを配信中!- 医療介護CBチャネル

ドコモiチャネルでCBニュースを配信中!

NTTドコモiチャネル"おこのみチャネル"でCBニュースを配信しています。

RSS  My Yahoo!に追加  Add to Google

ページトップへ