アメリカ政府がオバマ政権下で初めてとなる臨界前核実験を実施したことに対し、広島市の秋葉市長は13日、大統領あての抗議文を送り付けました。「核兵器廃絶の願いを踏みにじるもの」と非難しています。
アメリカの実験を受けて県原水協や県被団協などは平和公園の原爆慰霊碑前で座り込みをして抗議をしました。
「核兵器のない世界目指すといいながら、核抑止は必要なんだということが決して両立できないものであることを見事に現したものだと思っています」(県原水協 高橋信雄代表理事)
アメリカのエネルギー省・核安全保障局は、先月15日、ネバダ実験場で臨界前核実験を成功させたとホームページ上で公表しています。
核爆発を伴わない臨界前核実験は通算24回目。およそ4年ぶりとなります。
核安全保障局は、「実験で得たデータと情報は保管する核兵器の安全性や有効性を維持するのに役立つ」と説明しています。
今回の実験は「核兵器なき世界」を掲げるオバマ政権下で初めてで、国際社会に向けたメッセージに反する行動があらわになった形です。
広島市の秋葉市長は出張先のアルゼンチンからオバマ大統領に対し、「被爆者をはじめ核廃絶を求める世界の多数派市民の期待や願いを踏みにじるもので激しい憤りを覚える」という抗議文を送りました。
また、平和公園にある平和監視時計は、最後の核実験からの日数が先月15日の時点にさかのぼってリセットされ、13日で28日目と表示されました。
「裏切られたという気持ち、もちろんありますし、一方で現実というものも感じざるを得なかった」(原爆資料館 前田耕一郎館長)
被爆者団体も「核なき世界」の追求と矛盾する水面下の臨界前核実験に怒りや失望の声を上げています。
「核のない世界の大旋風を起こした、そのオバマ大統領の時代に、たとえ臨界核実験にしても、それを許しているのががっかり」(県被団協 坪井直理事長)(10/13 19:30) |