アメリカの臨界前核実験を受けて、広島市では、被爆者たちが抗議の座り込みを行いました。
座り込みを行ったのは、金子一士さんが理事長を務める「広島県被団協」や「広島県原水協」などのメンバーおよそ50人です。広島市の平和公園で原爆慰霊碑に黙とうしたあと、アメリカの臨界前核実験に抗議する横断幕を掲げながら、およそ30分間、座り込みをしました。そして最後に「臨界前核実験は核大国の身勝手な行為と言わざるをえない。広島と長崎の被爆者の65年の苦難を受け止めて、核兵器廃絶のため積極的なイニシアチブを発揮するよう強く求める」というオバマ大統領あての抗議文を読み上げました。この抗議文はアメリカ大使館にファックスで送られたということです。座り込みに参加した「憲法と平和を守る広島共同センター」の尾野進代表は「オバマ大統領には大きな期待を寄せていたが、今は失望している。これまで以上に核兵器の廃絶に向けて世論を高めていきたい」と話していました。広島市の秋葉忠利市長は「去年4月のプラハ演説以降、核兵器のない世界の実現を目指し、世界をリードしてきたオバマ大統領の努力に大きな期待を寄せてきたが、臨界前核実験を実施したことは、被爆者をはじめ世界の多くの市民の期待や願いを踏みにじるもので激しい憤りを覚える。被爆地ヒロシマを代表して厳重に抗議したい。オバマ大統領は早期に被爆地を訪れて被爆の実相に触れ、一日も早い核兵器廃絶の実現に向け努力することを強く求める」とするコメントを出しました。アメリカの臨界前核実験について、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の代表委員で、広島県被団協の坪井直理事長は「残念を通り越して怒りを覚えるとともにオバマ政権に裏切られたと感じている。いかなる理由であっても核実験は絶対許せない。ほかの平和団体とともに強く抗議したい」と話していました。広島県被団協の金子一士理事長は「アメリカ政府は核廃絶の方向に向かっていると思っていたが、今回の実験は逆の方向に持っていこうというもので遺憾に思う。実験は核兵器を使う準備をしているのと同じで、許すことはできない」と話していました。