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【社会】

児童ポルノ遮断、実証実験へ 接続トラブルを調査

2010年10月13日 夕刊

 インターネット上の児童ポルノサイトの閲覧を強制的に遮断する「ブロッキング」について、総務省が来年度、実証実験を行う方針を決めた。他国ではブロッキングによって一般のサイトの閲覧に支障が出た事例があるため、ブロッキングがネットワークに与える影響や技術的な課題を探る。

 政府が導入を検討しているブロッキングはインターネットのプロバイダー(接続事業者)が行うことになっている。関係者によると、実際に導入されると、一般のサイトへの接続に時間がかかったり、児童ポルノ以外のサイトへの閲覧自体ができなくなったりする「オーバーブロッキング」が発生する可能性があるという。

 通信事業者などで構成する民間団体「児童ポルノ流通防止協議会」のメンバーで、ブロッキングに詳しいマイクロソフトの楠正憲・技術標準部長によると、海外ではブロッキング導入に伴うトラブルが複数発生。パキスタン政府によるブロッキングの影響で、世界の約三分の二の利用者が動画共有サイト「ユーチューブ」を約四十分間、閲覧できなくなったり、英国の児童ポルノのブロッキングで同国の利用者がネット上の百科事典「ウィキペディア」への書き込みができなくなったりした例があるという。

 実験では、仮想のインターネット空間を構築し、その中でブロッキングを実施。ネット環境に与える影響や弊害を調べ、技術的なガイドラインをまとめるという。実験費用などとして、来年度予算の概算要求の特別枠に約五億円を盛り込んだ。

 ブロッキングはインターネット利用者の全通信を検知することから、通信の秘密の侵害など法的な問題点が指摘されている。海外では児童ポルノのほか、ネット上の言論統制の手段としても利用されている。

 児童ポルノのブロッキングをめぐっては政府が七月、プロバイダーに対し導入を要望。警察庁は既に、対象とする児童ポルノサイトのリストを作成する事業を財団法人インターネット協会に委託した。総務省の実証実験は、警察庁の調査研究で作成されたアドレスリストを活用して行う予定という。

 

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