NHK広島県のニュース 広島放送局

  • 広島放送局
  • 全国のニュース

米の臨界前核実験 相次ぐ抗議

「核兵器のない世界」を目指すと表明したアメリカのオバマ政権が、9月、政権発足後初めて核爆発を伴わない「臨界前核実験」を実施したことがわかりました。
「核兵器のない世界」を目指すと表明したオバマ大統領のもとでの実験に県内の被爆者や平和団体等は強く反発しています。
アメリカ・エネルギー省の発表によりますと、臨界前核実験は、9月15日、西部にあるネバダ州の実験場で行われ、成功したとしています。
臨界前核実験は、核分裂が連続して起きる、いわゆる「臨界」に達する前の状態で行われるものです。アメリカが臨界前核実験を行うのは4年ぶりで、オバマ政権が発足してからは初めてです。
オバマ大統領は「核兵器のない世界」を目指すと表明するなど、核軍縮と核兵器の拡散防止に積極的に取り組む姿勢を示していました。それだけに、広島では強い反発が起きています。
今回の臨界前核実験について広島市の63歳の男性は「核廃絶を訴えてノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領のもとで核実験が行われたことは、本当に衝撃的で、とても残念です」と話していました。また、広島市の34歳の女性は、「核をなくそうと言っていたのにこれではうそをついたようなものです」と話していました。
アメリカがオバマ政権になって初めての臨界前核実験を行ったことについて、広島県被団協の坪井直理事長は「核をめぐる最近の流れを見て“夜明けは近い”と思っていたが、残念を通り越して怒りを覚えると共にオバマ政権に裏切られたと感じている。いかなる理由であっても核実験は絶対許せない。他の平和団体とともに強く抗議したい」と話していました。
もう1つの広島県被団協の金子一士理事長は「アメリカ政府は核廃絶の方向に向かっていると思っていたが、今回の実験は逆の方向に持っていこうというもので遺憾に思う。臨界前核実験は、核兵器を使う準備をしているのと同じで許すことはできない」と話していました。
広島市の秋葉忠利市長は「去年4月のプラハ演説以降、核兵器のない世界の実現を目指し世界をリードしてきたオバマ大統領の努力に大きな期待を寄せてきたが、臨界前核実験を実施したことは、被爆者をはじめ世界の多くの市民の期待や願いを踏みにじるもので激しい憤りを覚える。被爆地ヒロシマを代表して厳重に抗議したい。オバマ大統領は早期に被爆地を訪れて被爆の実相に触れ、一日も早い核兵器廃絶の実現に向け努力することを強く求める」とするコメントを出し、同じ内容の抗議文をアメリカのオバマ大統領とルース駐日大使あてに送りました。
広島県の湯崎知事は、「アメリカが主導した『核兵器のない世界』に向けた世界的な流れに、みずから水を差す極めて遺憾な行為であり、人類史上最初の原子爆弾による被爆を経験した広島県民を代表して厳重に抗議をします。『核兵器のない世界』の実現に向けて、オバマ大統領が広島の地を訪れ、核兵器による破壊の現実を直接見ることにより、核兵器廃絶への決意を深めていただくことを強く希望します」という抗議文を、アメリカのオバマ大統領あてに送りました。
また、広島平和研究所の浅井基文所長は「オバマ大統領はこれまで『核兵器がある限りは有効な核兵器庫を維持する』とも述べている。そもそもオバマ大統領は我々、被爆地が長年進めてきた運動があったからこそ、核兵器廃絶の問題に気がついたのだ。大統領を本気にさせるには広島がもっと強い声を上げるべきであり、いわゆる『核の傘』を非難するなど、世界に向かってだけでなく、日本政府に対しても積極的に発言していく必要がある」と話していました。

10月13日 12時17分

広島県のニューストップへ

ご覧になりたい地域を地図から選んでください

未登録のニュース

登録

解除

    未登録のニュース

    登録

    解除

      マイエリアの登録方法

      表示したい都道府県を最大2つまで登録することができます。

      1. 未登録の場合は「登録」ボタンをクリックします。
      2. 登録したい都道府県を地図から選択します。
      3. 確認ボタンをクリックすると登録が完了します。

      ※登録した都道府県を変更するには「変更」ボタンをクリックします。