2010年10月13日18時40分
カラオケの発明者として知られる井上大佑さん(70)の手書きメモの著作権が2万口に分割され、各地のお年寄りらに1口100万円以上で売られていることが分かった。「配当が得られると聞いたが本当か」との問い合わせが相次ぎ、文化庁は9月から、著作権譲渡の登録を一時見合わせる異例の措置をとっている。井上さんは「配当は確約はしていない。末端で間違った営業があれば問題だ」と話している。
井上さんは兵庫県西宮市在住で、1971年ごろにカラオケ装置を発明。特許をとらなかったため巨額の権利収入をふいにしたと、後に話題になった。ユーモアにあふれた科学研究などに贈られるイグ・ノーベル賞を04年に受賞し、米誌「タイム」の「20世紀で最も影響力のあったアジアの20人」にも選ばれている。
販売されているのは「カラオケを創(つく)った男」と題した文書の著作権。本名の「井上祐輔」名義で昨年1月、文化庁に最初の著作権譲渡が登録された。
井上さんや、著作権譲渡の大枠を考えて井上さんに提案した東京都内の知的財産管理会社「ウイングラボ」によると、文書は15枚前後の手書きメモ。井上さん自身の生き様やカラオケ1号機の設計図などが書かれているという。
井上さんらの説明では昨年5月ごろから、都内や大阪市、福岡市の代理店などを通じて、2万口に分けた著作権を1口100万〜150万円で売り出した。購入すると、著作権が保護されている間は毎年、口数に応じた「権利金」が得られるとしている。
この権利金は、カラオケに関する文書について別途、米国で登録した著作権が、米国内で権利の侵害を受け、相手先に警告をして何らかの金を回収できた場合に支払うことになっている。だが、そうした認識のない購入者もいる。
1口買った都内の80代の男性は、自宅に突然訪ねてきた男に「3年たてば利息をつけて返す。150万円が200万円にもなる」と言われたという。1口買った都内の60代の女性は「1、2年後には配当が毎月1万円ほど入るという話だった」。
「井上さんに寄付したつもり。もうける気はない」(3口買った川崎市の70代の男性)という人もいる一方、2口買った大阪府の70代の男性は息子が不審に思い、代理店に解約を要求。手数料などを合わせて265万円払ったうち、200万円を返してもらったという。