故犬飼政一神父様のすばらしかった点のひとつに『信徒の信仰教育』を挙げることができる。

数々の著作にもあるとおり、信徒の使徒職を非常に大切にされていた。そのためには、勉強会等を設けられ、求める者には時間や手間を惜しまれることはなかった。「信徒は遊びや政治活動のために教会に来ているのではない」ということを神父様の姿から感じることができた。『朝霞カトリック同志会』もそのような中から生まれ、育っていったのではないだろうか？

その意味では、格好いい人・可愛い娘を捜しに来ているような者たちにとって、犬飼神父様は、胡散臭い存在であったのかもしれない。

犬飼神父様は、従来の婦人会、青年会のような「サークル的集まり」を非常に嫌悪された。
また、我が教会でまず手を付けられたのが、『教会学校の改革』でもあった。教会はボール遊びやフルーツ・バスケットをする場所ではないのである。もちろん、野球をやりたい子、サッカーをやりたい子もいるであろう。そのようなこどもたちには、きちんとした専門の指導者の下、別途場所が用意されているはずであり、教会は「ボール遊び」に興じる場所ではないのである。

司教の権威の元、小教区における信徒の指導を託されている司祭とすれば、まずは、「教会学校」のリーダーたちの指導から始めなければならなかった。神学生や青年たちに「教会学校」を任せきりにし、こどもの信仰教育を放棄している多くの司祭とは異なっている点であった。しかし、この試みは、リーダーたちには不評であった。リーダーの誰一人、一度たりともこの教会学校のリーダーを対象とした学習会に参加する者はいなかったのである。
そして、そのような者たちをリーダーとして教会学校を任せることはできないということで、教会学校は廃止されたわけである（主任司祭も代わり、今では「ふれあいクラブ」と名前を変えて、復活してはいるが……。）。

信徒の大部分は、聖書も読んでいないし、バチカンから発せられる回勅などの文書にも目を留めようともしない。このような日本カトリックの現状は、犬飼神父様の最も残念に思われていたところであろう。


実際、後日、母から聞いた話ではある。神父様の周りをウロウロしていた自分を司祭にしようとも考えていらしたとのことであった。当時は、そのようなことも思い至らず、勉強会などに出席していたが、今になって思えば、そのような道もあったのかなぁというところではある。