韓国語訳『朝鮮王朝実録』、来年から翻訳見直しへ(下)

 この日の公聴会では、国防・医薬・科学・事件・人名・女真・日本記事の計9分野の専門家たちがミスと指摘された部分を分析し、どのように修正すべきかについての案を提示した。イ・グンホ国民大教授は、「世宗実録の“大司憲・申商(シン・サン)と大司諫・兪顕進(ユ・ヒョンジン)が申し上げる”という部分で、兪顕進というのは明らかに誤訳。本来の名前は兪顕(ユ・ヒョン)のため、翻訳もまた“兪顕が進み出て申し上げる”とするのが正確だ」と語った。チョ・スンヒ古典翻訳研究所長は、粛宗実録の「祖孫がお互いを頼る心積りで日夜気をもみ、傷を負い、さらに年を重ねるに至って、春・夏の間ずっと安らかでなかった」という部分を、訂正すべき翻訳の例として挙げた。チョ所長は、「この一節は、“孫に頼って生きていく心積りで昼夜を問わず気をもんだが、健康が損なわれた上、年を重ねた高齢者となり、春から夏へと過ぎ行く中で回復することはなかった”と解釈さなければならない」と説明した。

 来年から2016年にかけて行われる「実録翻訳現代化事業」には、48億ウォン(約3億5628万円)の予算が投入される見込みだ。ソ・ジョンムン事業本部長は、「1年目は基本計画を樹立し、本格的な修正作業は2012年から開始する予定。全413冊を5年間かけて、毎年82-85冊ずつ、専門の研究者32人が該当する箇所を訂正し、古語を簡単な現代語に変えていく作業を進める方針だ」と語った。

 一方この日の公聴会で、呉洙彰(オ・スチャン)ソウル大教授は、国訳実録の訂正作業が決して容易でないことを強調した。呉教授は、「実録全体の間違いを完全に修正するためには、専門家115人が丸2年、慎重に手を尽くさなければならない。現実的に、投入できるマンパワーに限界があるため、まず集中すべき分野を、明白な翻訳のミスの訂正と、文体の改善、必要な注釈の補強に限定すべき」と指摘した。

キム・ギョンウン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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