ホームレス男性に中３が80度熱湯かけた

　東京都千代田区の公園のベンチで寝起きしていた荒川区の無職男性（６７）に熱湯をかけて大やけどを負わせたとして、警視庁少年事件課と神田署が１２日までに、千葉県浦安市に住む千代田区立中３年の男子生徒（１４）を傷害容疑で逮捕した。警視庁によると、少年は「リアクションが面白かった」などと供述しているという。公園付近のコンビニにあった電気ポットの熱湯を、ジュースの紙パックに入れ、ベンチまで運んでかけたという。

　逮捕容疑は９月１８日午後７時２０分ごろ、千代田区内の区立西神田公園内のベンチで寝ていた男性の首周辺に紙パックに入れた熱湯をかけ、首や胸、両肩に全治１カ月の大やけどを負わせた疑い。男子生徒は「リアクションが大きくて面白かった。やり過ぎた。石を投げるくらいにしておけばよかった」などと供述しているという。男性は入院中という。

　被害に遭った男性は公園の南東端にあるベンチに段ボールを敷いて、寝起きしていた。少年はこの日、同公園北西端にある入り口から約２０メートル離れたコンビニに入店。店内にあった電気ポットの熱湯を、持っていた５００ccのジュースの紙パック容器に入れ、男性が寝ていたベンチまで約９０メートル運び、犯行に及んだという。ポットの温度表示は８５～９０度で、犯行当時の温度は少なくとも８０度以上はあったとみられる。熱湯を運ぶ姿がコンビニの防犯カメラに写っており、逮捕につながった。逮捕は１０月１１日。

　この男性を知る付近住民によると、男性はこのベンチに段ボールを敷いて寝起きしていたといい、「竹ぼうきでの掃除が日課だった」という。男性は耳が不自由で、言葉もうまく話せなかったという。警視庁によると、男子生徒は千代田区内の中学に通学しており、この公園には同級生とよく遊びにきていた。

　千代田区教育委員会などによると、男子生徒は熱湯をかける傷害事件の約１週間前、同公園で掃除中の男性のほうきが体に当たったことでトラブルとなったなどと説明。男子生徒と同級生は、男性に石を投げたり、洗剤をかけたりするいたずらもしており、熱湯をかけた際も数人で遊びに来ていたという。「集団でムース整髪料のようなものを男性の頭に盛ったり、砂を投げたりしていた」との目撃情報もある。

　男子生徒が通学する区立中学の校長は事件発生から数日後、男子生徒の保護者からの連絡で事態を把握。その後の聞き取りに対し、男子生徒は素直に応じており、反省した様子だという。同校校長は「被害者は高齢で、耳が不自由と聞きました。それ以前に、人を大切にする観点において、本当に残念。生徒を預かる校長として、申し訳ない気持ちです」と話している。

　［2010年10月13日9時2分　紙面から］