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マンガ等の性描写が問題を生じさせる根拠を答えられない外務省(2/3)

週刊金曜日 9月17日(金)17時21分配信

 時間的な余裕を考え、再質問は二週間後の九月三日に行なった。少し長くなるが、会見の概要を紹介する(なお文章量の制限上、質問は簡潔にしたが、岡田外相発言はできるだけ全発言に近くした)

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筆者 性の対象とする風潮を助長すると外務省は〇八年に述べられています。この科学的根拠についてお教えください。

岡田外相 科学的根拠といいますか、児童そのものの場合と、そういった漫画とかアニメという場合で直接の被害者というのは児童そのものの場合と比べて存在しないという違いは確かにあります。ただ、そういった児童ポルノという意識を蔓延させるという効果においては、実際のものであっても、あるいは漫画、アニメといったものであっても、それは変わらないということだと思います。したがって、そういった状況を助長しないという意味においては、そういったものについても含めて、議論の対象にしていくという考え方を述べたものであります。

筆者 私が聞いているのは、変わらないという科学的な根拠です。たとえば社会学者の宮台真司さんは、もともとそういった趣向がある人に引き金を引くようなことはあり得るけれども、それを助長することはついに証明できていないと言います。また最近の研究では、実際の犯罪にいかないで代替措置としてそれで満足してしまい、禁止した国の方がかえって犯罪率が上がるというデータもあります。

岡田外相 学者の中でさまざまな議論があると思いますので、ここでそういった科学的根拠について証明しろと言われても、それはなかなか簡単なことではありません。しかし、実物だからだめでアニメーションだからいいというのは、私個人的には非常に考えにくいことだと思っております。違う意見もあると思いますが、しかもこれは表現の自由に関わる話ではありますけれども、私にはその違いが大きくあるとは思いません。

AP通信記者 「アニメだからいいとは個人的には考えにくいと思う」というご発言がありましたが、それでは、大臣は、こういった描写はよくない、反対である、禁止すべきであるという個人的なお考えをお持ちなのでしょうか。

岡田外相 そういうことは、私は何も語っておりません。それは、まさしくこれから議論していく話であります。ただ、被害者が直接いない、いるの違いはもちろんありますが、しかしアニメや漫画の描写も、特に最近はいろいろな技術の発展によって、本物か、あるいは人工的につくり出されたものなのかということの差もほとんどなくなってきておりますので、そこできちんと分けるという考え方は、私はよく納得できないのです。それが社会的に及ぼす影響という観点から見たら同じではないかと、あるいはかなり近いのではないかと、そういう気が私はしています。

(編集部 伊田浩之)

最終更新:9月17日(金)17時21分

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