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マンガ等の性描写が問題を生じさせる根拠を答えられない外務省(3/3)

週刊金曜日 9月17日(金)17時23分配信

        あえて認めた外相の率直さと残る問題点

 質問から二週間たっても、岡田外相は科学的な根拠を示すことができなかった。日本政府として国際的な会議で行なった公式声明について、科学的根拠がないことをあえて認めた岡田外相の率直さについて正直評価したいと思う。これも政権交代の成果かもしれない。

 会見の内容が伝わると、ツイッター上などでは岡田発言への賛否のほか、外務官僚を批判するつぶやきが飛び交った。

〈「surely」という安易な単語挿入等のせいで、我が国の大臣と我が国が恥をかいたことにも憤りを感じます。まともな人権外交をするためにも、この関係の外交処理や対応は、どうなっているのかもいち国民として気になります〉(九月四日、@pinknausagi)

 表現規制問題に詳しい山口貴士弁護士はこう指摘する。

「リオデジャネイロでの会議を受けて〈児童の性的搾取を防止・根絶するためのリオデジャネイロ宣言および行動への呼びかけ〉が発表されました。この宣言を、表現規制派は創作物規制の根拠をつくる戦略の一環として位置づけています」

 表現規制派は国際的な問題視を規制の根拠として語ることがある。その根拠のひとつが、このリオ宣言や日本外務省の公式声明だが、岡田外相発言によって、公式声明は科学的根拠がない外務官僚の”作文”であることがはっきりしたといえるのではないだろうか。

 前出の山口弁護士はこう続ける。

「岡田外相は、技術の進歩によって本物か創作物かの区別がつきにくいと述べています。取り締まる側の便宜だけを重視したロジックであり、外務官僚のレクチャーの内容を明らかにする発言です。反面、明確に創作物とわかるアニメやゲームの規制根拠はないことを事実上認める発言とも言えます」

 岡田外相の発言だけで規制推進側の根拠が根本から崩れたと断言できないかもしれない。だが、規制派官僚のいい加減さが浮かび上がったことは間違いないだろう。

(編集部 伊田浩之)

最終更新:9月17日(金)17時23分

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