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検審「起訴議決」で小沢氏に辞職を迫るメディアの不見識(2/2)

週刊金曜日 10月11日(月)16時0分配信

 だが新聞全紙は五日、一斉に小沢氏を批判した。『朝日』は社説で〈小沢一郎・元民主党代表は今こそ、自ら議員辞職を決断すべきである〉と断定。『毎日』は〈小沢氏は自ら身を引け〉と題した社説で〈国会での究明と同時に、出処進退について、自らけじめをつけるべきである〉と主張した。『読売』社説も〈小沢氏「起訴」の結論は重い〉としている。

 その理由を『毎日』社説は次のように記す。〈要するに市民感覚として小沢氏の不起訴は納得できないということだ〉〈今回の議決書からは、審査員らが供述調書などの証拠を丁寧に読み込み、結論を導いた様子がうかがえる〉

 前出の魚住さんはこう指摘する。

「検察審査会の審査員は、検事調書しか読んでいない。村木事件ではっきりしたように、調書はストーリーありきの”検事の作文”なんです。なかでも特捜検事は”作文の職人”。プロの裁判官でも騙される作文なんです。どうしても小沢氏を起訴したいという検事の思いが乗り移っている調書を読まされて審査員が影響を受けるのは、審査員の責任でなく、検察審査会の仕組み自体の問題です。まして議決は、フロッピーディスクの証拠捏造事件の前に出されていますから、調書自体は疑わない」

 だが、そんなことは新聞記者は十分承知なのではないか。

「新聞・テレビは東京地検特捜部の筋書き通りに報道してきましたから、検察審査会の結論はこれまでの報道とピッタリ合うのでしょう。小沢氏が記者に嫌われているのもバッシングが加速する一因です。勉強不足の記者がいるのは事実ですが、小沢さんはそれをはっきり口に出すし、またごく一部の記者にしか情報を出さないので記者に嫌われています」(魚住さん)

 ある政治部記者は「社の幹部が小沢嫌いなので、報道がそうならざるを得ない」と嘆いている。

 郷原さんはこう話す。

「議員を辞職すべきという報道には、法的センスや見識を疑う。小沢さんが無罪になったときに誰がどう責任をとれるのでしょうか」

(伊田浩之・編集部)

最終更新:10月11日(月)16時0分

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