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【コラム 撃戦記】

“国を愛すること”とは

2010年10月13日

 またかっこいい日本人が脚光を浴びた。ノーベル化学賞受賞が決まった米バデュー大の根岸英一特別教授と北大の鈴木章名誉教授だ。研究に国費が使われたことを理由に特許申請をしなかった。特許で幅広く誰でも研究成果を利用できなくなることをマイナスと考え、オープンにすることを当然のように語った無欲がかっこいい。特に根岸教授は日本人の魂を揺さぶった。40年間の米国での研究生活中も日本籍を強調した。今は“日本人の日本人による日本人のための”政治や経済ではなくなっている時代。メディアもしかりで、テレビには多くの外国人や在日外国人がレギュラー出演し、日本の政治、経済、文化を語る。スポーツ界でも優秀選手の特権で国籍を取得した“日本人”を歓迎。大相撲に至っては今や外国人頼みだ。人種差別のつもりはないが、根岸教授の日本国籍論は痛快だった。

 国籍といえば、今月2日、在日韓国人3世の28歳、李冽理(リ・レツリ)がボクシングのWBA世界スーパーバンタム級王座を獲得した。先輩格に在日朝鮮人3世の元WBC世界スーパーフライ級王者徳山昌守(金沢)がいる。徳山は00年8月、世界初挑戦を機に朝鮮名の洪昌守(ホン・チャンス)を名乗った。李はその徳山にあこがれ、尊敬し、「デビュー時から韓国名を意識していた」という。根岸教授と李の快挙にあらためて“国を愛すること”を考えさせられた。 (格闘技評論家)

 

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