名古屋グランパスのDF田中マルクス闘莉王(29)が12日、愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで行われた2部練習にフルで参加した。右ひざ痛のため、この日ソウルで行われた日本代表の韓国戦には参加できなかった。まだ残る痛みをこらえて、17日の新潟戦(東北電ス)に照準を切り替え、再始動した。
グランパスに、闘莉王が戻ってきた。「どんな形でもシュートを決めよう」、「ナイスボール」−。チームメートを、自分自身を、鼓舞する大きな声は健在だ。しかし、その声とは裏腹に、右ひざは悲鳴を上げていた。右足では、ほとんどボールをけっていない。「インパクトの瞬間が痛い。力が抜けるというか、すべて痛い」と言う。痛みは相当に激しそうだ。
右ひざの靱帯(じんたい)損傷のため、日本代表の韓国遠征を取りやめた。ザッケローニ監督の初采配(さいはい)となった8日のアルゼンチン戦(埼玉)も欠場せざるを得なかった。代表合宿では別メニュー調整だった。「結構走っていたから状態は変わっていない。本当はまだ、できるレベルじゃない」と闘莉王。
それでも、自分自身を奮い立たせなければいけない理由がある。「ピッチに出されれば、おれが走れないと大変なことになる」。チーム悲願のリーグ初制覇に向けて、自身が絶対不可欠な戦力であることは理解している。
2日の仙台戦(瑞穂陸)でも、右ひざの状態は悪かったが、試合終盤にはFWとして前線に上がり、MF小川の決勝弾をアシストする活躍で、チームを勝利に導いた。心身ともに疲労困憊(こんぱい)だったW杯南アフリカ大会直後にもピッチに立ち、その後も、首位を走るチームを、攻守で支え続けている。
17日の新潟戦を逆算している。ただ、「試合ができるかどうかは別の話」と、自身でも正直、分からないという。責任感が今、闘莉王を突き動かしている。 (伊東朋子)
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