吉本興業主催のイベント「吉本お笑いフェスティバルin中国2010上海万博」(15日まで)が11日、上海万博の総芸大庁(エンターテインメントホール)で開幕した。これまで日本産業館など日本関連のパビリオンへの日本人の出演はあるが、上海万博のオフィシャルステージの総芸大庁に日本人が出るのは初めて。“ひのき舞台”に立った漫才コンビ「中田カウス・ボタン」のカウス(61)は「世界中の注目が集まる万博の場で、吉本が認められたのがうれしい」と感激の表情を見せた。
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尖閣問題をきっかけに、中国では反日運動も激化していたが、観衆の約1千人はほぼ現地の人が占めた。カウスが通訳を介して「笑いは全世界共通。たくさん笑って楽しんでください」とにこやかにあいさつすると、温かい拍手が起きた。
この日のステージには“お笑い友好大使”としてイベントのオープニングを担当した「カウス・ボタン」のほか、吉本からはタレント・渡辺直美(22)が出演。さらに、中国のコメディアンや音楽パフォーマーら6組が参加した。
吉本は十数年前からアジア進出をテーマに掲げ、2006年に中国最大級のイベント会社・中国祥宇文化発展有限公司との業務提携を発表。08年12月には現地で役者やスタッフを採用し、上海吉本新喜劇を立ち上げるなど、着々とアジアでの足場を固めてきた。その流れが結実し、今回のイベントとなった。
開幕以来、総芸大庁では少林寺拳法をベースにしたショーや中国のサーカスなど中国人パフォーマーによる舞台が上演されてきたが、万博側から吉本に打診があり、初の日本企業主催のイベントが実現した。
カウスは「大阪万博では若手リポーターとして仕事して、オネエちゃんに声をかけたりしてたのに…」と笑い、「40年後にこんな形で万博に参加できるとは思ってもみなかった」と感慨深げ。相方のボタン(62)も「笑いで皆さんに喜んでもらうということを、万博という場でできることがうれしい」と胸を張った。
吉本は2012年に創業100周年の大きな節目を迎える。カウスは「お笑いはホンマにすごいもんやと痛感した。世界の人に喜んでもらえるなら、吉本が1000年続くことも夢じゃないと感じました」と日本のみならず、吉本が世界を笑わせる未来へと、思いをはせていた。