KO勝ちした安田(左)
「デイリー後援・Sバンタム級8回戦」(11日、住吉区民センター)
日本バンタム級前王者の安田幹男(六島)が、ラファエル・バンガリバン(インドネシア)に1回KO勝利を収め、再起を果たした。ボディーに強烈な左アッパーを突き上げ、開始早々にダウンを奪うと、怒とうのラッシュで勝負を決めた。
7月の初防衛戦で山中慎介(帝拳)に敗れ、3月に獲得したばかりの日本王座を失った。「試合の映像を見たら、自分がふがいなさすぎた。自分には家族がいるし、もうやめないといけないのかな…」。一度は引退を決意した。ふさぎ込む安田に、妻・真理子さんが再び戦う力をくれた。
「このままズルズル続けたら、やめ時が分からなくなってしまう」とこぼす安田に、真理子さんは「あんたを一番近くで見ているのは私や。もう一回チャンピオンになれるし、もっと上にもいける選手やと思う。やめ時が分からんのやったら、私が言ってあげるから」と優しく背中を押した。この言葉で吹っ切れた。「まだボクシングを続けてもいいんだ」。
妻と2人の子供が見守る前で、見事な再スタートを切った。「リングの上から見たら、子供がめっちゃ喜んでた。『父ちゃん、ありがとう』って言ってくれた。もうちょっと頑張って、強い父ちゃんを見せたい」。再びベルトを巻いた姿を見せることが、支えてくれる家族への何よりの恩返しになる。
(2010年10月11日)