「新日本」(11日、両国国技館)
忘れ物を取り戻した。IWGPヘビー級選手権試合は、挑戦者でG1クライマックス覇者の小島聡(40)=フリー=が、王者・真壁刀義(38)=GBH=を必殺のラリアートで完全KOし、第55代王者となった。小島は05年5月14日に王座から転落して以来2度目の戴冠で、同王座の外部流出は1年9カ月ぶり。真壁は4度目の防衛に失敗し、5カ月天下に終わった。
◇ ◇
真壁の必殺パターンを、すべて摘みとった。
15分前には川田利明ばりの垂直落下式パワーボム、デスバレーボムから狙われたキングコングニードロップをかわした。終盤には、キングコングニーの前奏曲となるスパイダージャーマンを食らったが、すぐに立ち上がってコーナー上でもたつく真壁の後頭部をラリアートで撃ち抜いた。
小島は雪崩式バックドロップ、垂直落下式ブレーンバスターで追撃。真壁の原爆固めをカウント2で返し、ラリアートをラリアートで断ち切って破壊力の違いを見せつけると、正調ラリアートで息の根を止めた。
05年2月20日、場所も同じ両国で行われた史上初のIWGPと3冠のWタイトル戦。3冠王者・小島が、IWGP王者・天山広吉を撃破して2冠王となったが、天山の脱水症状によるTKOという敵失による不本意な勝利ゆえ、リング上にベルトを放り出した。
3カ月弱で天山の奪回を許したこともあり、IWGPは忘れ物として5年間、小島の胸中に刻まれたままだったが、今年8月にフリーとして闘魂マットに帰還。G1初優勝を果たし、忘れ物を取り戻す資格を得た。
この日の小島はベルトを大切に持ち帰り「ずーっと持っていきたい」ときっぱり。12・11大阪府立体育会館大会で予定される初防衛戦の相手には「中邑真輔を指名したいと思います!」‐。05年3月26日の初防衛戦で60分フルタイムを戦い、今年8月14日のG1公式戦で敗れた年下の宿敵を挙げた。
5年ぶりにヨリを戻したからには、もう離さない‐。新王者は「新日本の選手!取れるモンなら取ってみろ、バカヤロー!」と、リングの中心でIWGP愛を叫んだ。