「デイリー後援・バンタム級10回戦」(11日、住吉区民センター)
ボクシングのWBA世界Sフライ級前王者の名城信男(28)=六島=が11日、大阪市住吉区民センターで行われた再起戦に臨み、インドネシアスーパーバンタム級4位のイワン・キー(インドネシア)に3回1分42秒、KO勝ちで飾った。試合後、六島ジムの枝川会長はタイトルを奪われたウーゴ・カサレス(メキシコ)に対戦オファーを出すことを明言。「メキシコでも構わない」と敵地挑戦もぶち上げた。日本人4人目となる2度目の世界王座返り咲きに向けて、名城が再び走り始めた。
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荒々しく倒す‐。戦前の宣言通り、相手を3度もキャンバスにたたきつけた。「試合は楽しかった。再起戦としてはいいでき」。2度目の世界王座返り咲きへ、名城が力強く再スタートを切った。
2回、早くも強打が火を噴いた。逃げる相手に連打をまとめ、なぎ倒すようにダウンを奪う。終了間際にはコーナーに詰めて猛ラッシュ。キーは崩れるように倒れ込み、立ち上がったところでラウンド終了のゴングが鳴った。
勝負は持ち越した3回で決めた。再びコーナーに詰めて連打。最後はたたきつけるような右ストレートで、相手に10カウントを聞かせた。
5月に陥落した後、メキシコへ旅行し、現地のジムで汗を流した。9月には1週間、名古屋へ単身“武者修行”を敢行した。その成果を存分に発揮し、「どんどん、あっちこっちに行きたい。緊張感が出るし、もっと出げいこに行きたい」と満面の笑み。「次のチャンスのために経験を積んでいきたい」と世界再挑戦を見据えた。
陣営は早くも世界戦へ動き出した。枝川会長は「今日勝ったから、すぐにカサレスにオファーを出す」と明言。さらに「メキシコでもいい」と敵地挑戦も辞さない構えだ。メキシコでは、9日にWBA世界Sウエルター級王座決定戦で石田順裕(金沢)が判定負けしたばかりだが、「構わない」ときっぱり。タイとメキシコで防衛に成功したWBC女子世界Lフライ級王者の富樫直美(ワタナベ)を例に出し「指導してもらおうかな」と“先生役”に指名した。
名城はカサレスとの再戦について「それが一番の希望」と目を輝かせ、「(V2戦は)強い内容で勝ったと聞いている」と腕ぶした。「今は場数を踏むことが自分には大事」と焦りはない。ゆっくり、着実に、3度目の頂点を目指す。