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将棋の清水市代女流王将(41)が11日、東京・文京区の東京大学で情報処理学会のコンピューター将棋システム「あから2010」と対局(持ち時間各3時間、平手)し、大激戦の末に86手で敗れた。公の場での対局で、プロ棋士がコンピューターに敗れるのは史上初めて。女流の第一人者として「やっぱり悔しい」と振り返った清水は、再戦について「機会があれば研さんを積んで臨みたい」とリベンジを誓った。
6時間3分の激闘の末に敗れた清水女流王将は、胸を張って微笑を浮かべながら感想戦会場に現れた。「また、指す機会があれば、今度はコンピューターの弱点をとことん突きたい」
まるでタイトル戦のように、風神の柄が入ったベージュ色の着物で臨んだ対局。振り駒で清水が先手番となった大一番は、序盤から戦況が二転三転した。超スピードで進むと予想されたコンピューターの指し手は、数手目から長考。以前のソフトでは考えられないほど定跡から逸脱した戦型に、大盤解説会場や控室も衝撃に包まれた。
清水は女流棋士との対局では経験がないような攻めにも耐え、中盤には優勢な局面もつくったが、最後はコンピューターの正確な寄せに屈した。中盤での大長考で3時間の持ち時間を使い切り、終盤は1分将棋になったのも敗因になった。「思いが一手一手にあり、熱い一局でした。コンピューターは冷たくて感情もない、というのが間違いだと気づいた」
史上初めて公の場でプロ棋士を破った「あから(阿伽羅=将棋の一手の選択パターンを示す10の224乗)2010」。世界コンピュータ将棋選手権の優勝歴を持つ「ボナンザ」「激指」「GPS将棋」「YSS」という4ソフトが結集し、169台のコンピューターで計算作業を行う“最強の刺客”だった。4ソフトの多数決で手を決める合議制を採用。限りなく悪手のリスクを回避して、最善手を選択するパーフェクトな将棋に、女流の第一人者も勝てなかった。
将棋ソフトの開発を始めて35年で、大きな壁を突破した情報処理学会のはこだて未来大・松原仁教授は「さらに先を目指して開発を進めたい」と今度は男性棋士との対戦を熱望する。究極の野望は、渡辺明竜王や羽生善治名人ら棋界の最高峰を倒すこと。棋士がプライドを取り戻すためには勝つしかない。強いのは人間か、コンピューターか。大きな命題を掲げて戦いは続く。
◆佐藤九段「相当強い」 〇…歴代6位となる通算12期のタイトルを獲得し、永世棋聖の資格を持つ佐藤康光九段(41)が大盤解説会に登場。コンピューターの実力について「相当強い。かなりのレベルと認識しています」と警戒した。以前より進化している点について「序盤からじっくり考えていく、という人間的思考に変化してきている。意表をつかれる手が多いですね」と分析していた。
◆600人立ち見客も 〇…大盤解説会に参加した里見香奈女流名人・倉敷藤花(18)は「清水さんは将棋も立ち居振る舞いも尊敬している先輩。(戦う決断は)素晴らしいことだったと思います」と話した。定員500人の解説会にはファン約600人が足を運び、立ち見客が出る盛況ぶり。自身がコンピューターと対戦する可能性については「(挑まれても)すぐに(戦うとは)答えられないと思います」。
◆コンピューター将棋の歴史
▼1975年 情報処理学会などがコンピューター将棋ソフトの開発に着手。
▼85年 ファミリーコンピュータで初の将棋ソフトが発売。
▼90年 第1回世界コンピュータ将棋選手権開催。
▼92年 第3回同大会でアマチュアを相手に初めて人間との対局が実現。
▼05年3月 プロ棋士として平手で初めて対局した橋本崇載五段(当時、現七段)が、特別公開対局で将棋ソフト「タコス」に大苦戦するも126手で辛勝。「『人間敗北』という見出しが頭をよぎった。棋士人生15年で、こんなに頭が真っ白になったのは初めてです」
▼同6月 「激指」が第18回アマ竜王戦で初出場ながらベスト16入りの快挙。
▼同10月 日本将棋連盟がプロ棋士とコンピューターとの対局を原則的に禁止。
▼07年3月 渡辺明竜王が「ボナンザ」と大和証券杯ネット将棋棋戦の特別対局で激突。序盤はまさかの苦戦を強いられたが、後半に入って渡辺竜王が貫禄を示して112手で勝利。「機械ではなく、まるで人間と指しているようでした」
▼08年5月 第18回世界コンピュータ将棋選手権のエキシビションマッチで、アマ名人の清水上徹さんが「激指」に、朝日アマ名人の加藤幸男さんが「棚瀬将棋」に敗れる。
(2010年10月12日06時02分 スポーツ報知)
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