原子力発電所で使う配管のバルブを製造している大阪市のメーカーが、10年余りにわたり、バルブの検査の証明書をねつ造していたことがわかりました。原発の安全に問題はないということですが、国は、同じようなケースがないか、電力各社に調べるよう指示しました。
経済産業省の原子力安全・保安院によりますと、大阪市に本社がある「首藤バルブ」は去年までの13年にわたり、原発で使うために製造した配管のバルブについて、実際には成分の分析や強度の試験を行っていないのに第三者機関の検査に合格したという架空の証明書を繰り返しねつ造し、電力会社に提出していました。バルブは関西電力や九州電力など5社の原発に納められ、台数はあわせて2411台に上ります。この問題はことし6月、内部告発をきっかけに発覚したもので、メーカーは「試験で不合格になるとバルブを大量に捨てなければならず、ねつ造した」と話しているということです。また原子力安全・保安院が、バルブを購入した電力会社から受けた報告によりますと、使っているバルブに亀裂などの異常はなく、原発の安全に問題はないということです。原子力安全・保安院は、ほかにも同じようなケースがないか、電力各社に調べるよう指示するとともにメーカーに対し、口頭で厳重に注意しました。