きょうのコラム「時鐘」 2010年10月13日

 エジプトやギリシャにも森があり巨木がそびえていた。文明はそこに興り、木を切り尽くし森をなくした時に滅んだという

環境問題は自然が先に立って人間はないがしろにされがちである。だが、環境を破壊するのは人間であって、環境問題には人類の文明を発展し続ける現実的な視点が必要だ。それがなければ、木を見て森を見ないことになる

今年は「国際生物多様性年」である。名古屋で国際会議が開幕し、18日からの締約国会議(COP10)と続く。石川県でクロージングイベント(閉年行事)が予定され、富山県も海洋生物の保全をアピールするなど北陸も積極的にかかわっている

専門的な内容で取っつきにくい会議だが、われわれも毎日、木を切り森を削って暮らす当事者である。持続可能な環境づくりはひとごとではない。科学者の専門会議ではなく、身近な民俗学や地方史研究の会と考えればいい

地域のことは地域の人間が知ろうとしなければだれが研究してくれるだろう。地域の変化に最初に気づくのは地域である。色々な「ふるさと学」を重ね、地球の明日を考える目を育てていきたい。