鎌田:「仮に、盗掘されたものがそのまま焼かれて日本に持ってこられるということになると、あるいは盗掘じゃなくても混じった物が日本に行くことになると、フィリピンにも遺族の人たちいるわけですよね? そこに感覚が欠落しているというか、配慮が足りないんではないかと」
倉田:「そうですね。確かにフィリピンの人たちへの配慮というのは、そういう面から見ればかなり低いかもしれません。ただそれを気にしてしまうと、もう遺骨収集はできないですよ。はい。実際問題として。もし仮に、われわれがこうやってNHKさんにも叱られたことで、もうやめましょうと言って止めたら、フィリピンから遺骨は帰ってこないですよ。こんなの全部、本来は国がやることですよ。私もそう思います。民間でやるべきことじゃないと思う。でも、これがもしわれわれが声をあげなかったら、国がやりましたか? いままでのまんまで、フェイドアウトしていったんじゃないんですか?」
追跡チーム:「この体制組んだときに、こういうことが起こることは当然想定なさっていると考えていいんですか?」
倉田:「はい。そこは確信犯です」
追跡チーム:「確信犯?」
倉田:「はい」
倉田氏は、戦後65年たったいま、遺骨収集を進めていくにはこの方法しかありえないと主張した。
民間に丸投げしてきた
国の責任は?
では、空援隊に委託し、その収集方法を認めてきた厚生労働省は、どう受け止めるのか。担当部署である、厚生労働省の社会援護局外事室長、梅原一豊さんを直撃した。
鎌田:「日本兵以外の骨が混じってもある程度仕方がないと。つまり、遺骨が日本に戻ってくることを優先するわけだから、その中に混じっても仕方がないという風なおっしゃり方をするんですよ。やっぱり国もそういう同じ考えですか?」
梅原氏:「いや、それはないです。それはないです。やはり先ほど言いましたように、やはり判断がつかないものについては持ち帰るべきではないと思いますし、はい。多ければ良いとは全然考えていませんので、はい」
鎌田:「いま鑑定されている人が自分は専門家ではないとおっしゃっていて、そもそも鑑定などできないとおっしゃっている。そういうことはご存知だったんですか?」
梅原氏:「日本人とフィリピン人の区別がつかない、ということをおっしゃっていたことは承知しています」
鎌田:「そうすると、それは鑑定の意味をなさないんじゃないですか?」
梅原氏は絶句して、言葉を継ぐことができなかった。
鎌田:「基本的に戦争を始めた国家が、国家の行為として行なってしまったわけですから、国家が国家としての責任をきちんと果たしてないようにも思えるんですが、いかがですか?」
梅原氏:「当然おっしゃる通り、遺骨収集については国の責務であるということについては十分承知しております。改めるべきところは改善をしていきたいと思いますけど、いま、時間が非常に短い話なので具体的に何をするのか、どうするのかということを言われも、すぐに右です、左です、という形での回答は申しかねますので」
結局、厚生労働省は実態調査を行なうことを約束したものの、そもそもこの遺骨収集事業を今後どのように進めていくのか、という問いについては答えることができなかった。