空援隊の男:「ミンドロの周りにはあっちにもこっちにも島があるからかなあ。空援隊は何も悪くないよ。問題があるなら実際に骨を集めた人間が悪いんだ。彼らのやってることをすべて監視できないよ」
「盗みは指示していない」と言う男性。「仮に、盗まれた遺骨が持ち込まれたとしても、日本人の骨と区別する仕組みがある」と主張する。
空援隊の男:「最後に専門家が鑑定して証明するんだよ。遺留品なんかが出れば俺でもわかるけど、専門家が死亡した年などきちんと調べているんだ」
空援隊が集めた遺骨は1ヵ所にまとめられ、最終的に専門家によって「日本兵のものかどうか」鑑定されるという。専門家の鑑定とはいかなるものなのか。追跡チームは首都マニラに乗り込んだ。
2年前から遺骨の鑑定を引き受けているという人物を直撃した。国立博物館学芸員のアーネスト・フィルメ氏だ。「日本兵の遺骨」をどう選別しているのかと問うと、その答えは「驚くべき」ものだった。
フィルメ氏:「私は『これは日本人の骨だ』と言ったことはありません。人間の骨を肉眼で見たって、どこの国の人間かなんて分かるはずがありません」
追跡チーム:(え?つまり…)
フィルメ氏:「無理です。無理」
そもそもフィルメ氏の専門は「鉱物学」。彼の仕事は、集まった遺骨の数を数えることが中心だという。
フィルメ氏:「鑑定はしていません。全ては宣誓供述書が根拠だよ」
追跡チーム:「そのことは日本の厚生労働省や空援隊は知ってるんですか?」
フィルメ氏:「当然、知っています」
「形ばかりの鑑定」と「いい加減な宣誓供述書」。3週間にわたる追跡から見えてきたのは、厳正であるべき遺骨収集のずさんな実態だった。さらには、「フィリピン人の遺骨が日本兵のものとして送還されている」という疑惑。もはやそれは疑いようのない事実だと確信を持った。
「空援隊」幹部を直撃。
遺骨疑惑は確信犯?
追跡キャップの鎌田靖が向かったのは、東京日本橋にある空援隊の本部。事務局長の倉田宇山(くらた・うさん)氏に、「このことをどう受け止めるのか」問うた。
鎌田:「盗難騒ぎが各地で起きていて、その骨がですね、空援隊が盗んだかどうかは別にして、空援隊の収集事業の中に混じっている。そういう疑惑があります。それについては?」
倉田氏:「はっきり一言で言っときますけど、その可能性については、盗んだものは全くないと言えますね」
鎌田:「空援隊がそういうことやらせていると言っているわけではなくて、つまり遺骨を盗んだ人間が逮捕されて、逮捕された人間の動機というのが、空援隊が骨を集めているからということなんですよ。つまり、結果的にそういう犯罪の根拠になってしまっているということです」
倉田氏:「なるほどね。そういうことは言えるかもしれませんね。実際問題として。ですから現実にいま、先ほど申し上げましたけど、末端まで行くとうちが直接管轄している人間が300人ぐらいいるわけですね。それがまあピラミッド型の組織形態になってはいるんですけど、各地の全てのスタッフの顔や名前まで知っているわけではありません。そこまで把握できていないですから」