県は、暴力団の活動を容認するような雑誌や漫画などを来年度から有害図書に指定する方向で検討を進めている。「県暴力団排除条例」制定を目指す県警の動きに合わせ、青少年を暴力団から少しでも遠ざけ、健全育成を図るのが目的。県私学振興・青少年課は「九州では福岡県に続く取り組み。青少年に暴力団がかっこいいという意識を持たせないようにし、組への加入を防ぎたい」としている。
県警によると、県内には山口組傘下の暴力団組織が17ある。暴力団構成員は約480人(昨年末)と年々増加。最近は暴力団が組事務所から看板を外したり企業活動を装うなど、組の存在を隠す傾向にあり、実態は不透明化。福岡県では暴力団の抗争が激しくなっており、大分県内への影響も懸念されている。
条例案は、県民が一丸となって暴力団が社会悪であることを認識し、暴力団を排除することで、安全で平穏な県民生活を確保するのが目的。9月定例県議会で制定案が可決されれば、来年4月に施行される。
県内に出回っている暴力団を容認する本は、組幹部の写真やプロフィルの紹介、入れ墨や服装の写真などを掲載した月刊誌のほか、漫画、写真集などがある。書店では一般の週刊誌と同じように陳列されている。
県は今後、どの本を有害図書に指定するか、具体的な基準を検討する。来年2月に県青少年健全育成審議会(会長・山岸治男大分大学教授)の意見を聴いた上で、知事が決裁する。
有害図書指定の動きについて、大分市内の書店の店長は「暴力団関係の本の購入層は限られている。青少年が買うことはほとんどなく、店の売り上げに影響はなさそう」。別の書店の店長は「ほかの週刊誌の横に並べるのに抵抗があった。一般論として有害図書指定は当然」とする一方で、「反社会的な本に対する規制が過剰反応で広がれば、出版の自由にかかわる」と危惧(きぐ)している。
<ポイント>有害図書
県青少年健全育成条例に基づき指定される。現在、有害図書に指定されているのは、性描写や暴力的描写の激しいものや犯罪や自殺を誘発するような本。18歳未満には販売できず、ほかの図書と区分して陳列しなければならない。18歳未満と知りながら販売すると20万円以下の罰金または科料。
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