今ごろわかっても遅い高橋尚成の価値 G投壊の真因

2010.08.20


いなくなってわかるベテランの味。高橋尚の経験を軽視したつけが巨人投壊を招いた (AP)【拡大】

 投手陣崩壊でリーグ4連覇どころか、3位に転落した巨人。最大の原因は、高橋尚成(35)のメッツへのFA移籍だ。

 「こうなってみると、高橋尚がいなくなったダメージの大きさを改めて思い知らされる。昨年まで高橋尚がいたから、巨人のローテーションがスムーズに回っていたんだなと」。巨人OBがこう高橋尚を再評価する。

 昨年25試合に登板した高橋尚は10勝6敗。が、2ケタ勝利以上に価値があったのは、1年間ローテーションを守ったことにある。今の巨人は、高橋尚1人が抜けたことで、ローテーションがスムーズに回らなくなっている。

 左腕の高橋尚が抜けた穴は、日本ハムからFA移籍した藤井で埋めるつもりだったのだろう。開幕から6勝をあげた藤井だが、パタリと勝てなくなり、今月初めに二軍落ちしている。これでは代役は務まらない。

 巨人が5年ぶりにリーグ優勝した07年、高橋尚は28試合に登板して14勝4敗、防御率2・75でタイトルを獲得している。連覇の08年は8勝5敗に終わったが、23試合に登板している。リーグ3連覇の昨年は、前記した通り、25試合に登板、10勝6敗だ。高橋尚の巨人リーグ3連覇への貢献度は決して小さくない。

 ところが、左腕エースとして内海を高く買っていた原監督は、高橋尚を過小評価。先発させても交代のタイミングが早かった。「あれではやる気をそいでしまう。巨人に見切りをつけるのでは」という関係者の危ぐ通り、メッツにFA移籍してしまったのだ。

 マイナー契約からのスタートだったが、現在は持ち前の投球術で、メジャー昇格後、7勝6敗1セーブと活躍している。

 03年から06年までの4年間、巨人がV逸を続けたのは、主砲・松井がヤンキースへFA移籍したのが最大の原因だった。今度は、高橋尚のメッツへのFA移籍で、巨人のリーグ4連覇が消え去るのか。(夕刊フジ編集委員・江尻良文)

 

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