海保ヘリ墜落:デモ飛行の間に 巡視艇から司法修習生見学

2010年8月19日 23時51分 更新:8月20日 1時22分

海中から引き揚げられたヘリの機体の一部。回転翼がねじ曲がり、大破している=香川県多度津町沖で2010年8月19日午後3時3分、馬渕晶子撮影
海中から引き揚げられたヘリの機体の一部。回転翼がねじ曲がり、大破している=香川県多度津町沖で2010年8月19日午後3時3分、馬渕晶子撮影

 香川県多度津町・佐柳島(さなぎじま)沖の瀬戸内海で、第6管区海上保安本部広島航空基地(広島県三原市)のヘリコプター「あきづる」が墜落し4人が死亡、1人が不明になっている事故で、同本部は19日夜記者会見し、2度のデモンストレーション飛行の間に事故が起きていたことを明らかにした。同本部はそれまでの記者会見などでは、デモ飛行の事実を明らかにしていなかった。

 同本部などによると、18日は岡山県倉敷市の水島海上保安部所属の巡視艇「みずなみ」に司法修習生11人を乗せた体験航海が2回行われており、デモ飛行は修習生に見てもらうためのものだった。

 あきづるは午後2時20分ごろ、事故現場の北東約17キロの六口島の北の海域でみずなみと合流し、1回目のデモで低空飛行。その後、当初計画に沿って南西方向に飛行しパトロールを実施。佐柳島付近でUターンして再北上し、別の司法修習生11人を乗せたみずなみと六口島近くで再び合流し、2回目のデモ飛行をする予定だったという。

 同本部によると、あきづるから18日午後3時1分、「高見島にて廃船調査中」との無線連絡があった。同10分にみずなみと「現在、佐柳島上空」と交信し、直後に事故が発生した。同12分に目撃者から118番があったが、異常を伝える交信はなく、みずなみが同19分にあきづるからの緊急通報を受信した。

 デモ飛行と事故との関係について、同本部は「デモ飛行の海域と事故海域は距離が離れており、デモ飛行のために低空飛行を始めていたとは考えられない」と説明。デモ飛行のことを明らかにしなかったことについては「司法修習生に迷惑をかけたくなかった」などと釈明した。

 一方、同本部は、記者会見などで、あきづるが事故前にデモ飛行をしていたことや、事故後にもデモ飛行が予定されていたことなどは一切明らかにしてこなかった。

 みずなみが所属する水島海上保安部も、みずなみとあきづるが合流した理由についての取材に「合同警備のため」などと、答えていた。

 ◇機体を引き揚げ

 19日午後2時過ぎから、墜落機体の引き揚げ作業が行われた。水深約10メートルの海底から激しく損傷した胴体部などが次々と引き揚げられ、作業は約2時間で終了した。

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