中国:台湾に南シナ海の共同防衛打診

2010年8月19日 2時30分

 【台北・大谷麻由美】中国が領土保全などにかかわる「核心的利益」に新たに加えた南シナ海について昨年来、台湾に対して非公式に数回にわたって共同防衛の構想を投げ掛けていることが、台湾国防関係者の話で分かった。台湾側は「現在は話し合うことはできない」と拒否しているが、中台関係の改善によって海を巡る中台協力の可能性も排除できなくなってきた。

 台湾(中華民国)は南シナ海の主権に関して「歴史的、地理的、国際法の観点から、南沙、西沙、中沙、東沙の諸島とその周辺水域は中華民国の固有の領土と水域であり、その主権は中華民国に属する」と主張する。中国もこの範囲を踏襲する形で主権を主張している。

 関係者は「主権の主体がどちらなのかを除けば、台湾と中国大陸は南シナ海の主権の立場は一致している」という。

 実際に提案を受けた関係者の話では、台湾の馬英九政権が08年5月に発足後、中台関係が改善する中で中国側から提案されたという。関係者は「あなた方は西沙を管理すればよい。我々は実効支配している太平島がある南沙などを自分で管理する」と拒否したという。また、毎日新聞に対して「我々は日本とも南シナ海で協力関係にあり、それを非常に重要だと考えている」と強調した。

 一方、中台関係の改善は、日本、中国、台湾が領有権を主張する東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)に関しても状況を変化させる可能性を秘めている。総統府直属のシンクタンク・中央研究院欧米研究所の林正義研究員は、馬政権が尖閣諸島は日米安保条約の適用対象であるため、中国との協力は避けていると指摘。しかし「中台関係の改善によって、過去には考えられなかった中台の防衛協力の可能性が排除できなくなった」と指摘する。

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